恋(トクベツなひとのうた)
街をゆく人人がみな
ピエロにみえる理由
それは
アナタが
鬼女だから
なにがあってもなかっても
幼いころからみた夢を消すほど勁い
陽光が街を身を焼くだろう
アナタだけではない
人人はすべからく死へむかうものだから
世界のことなんて
だれもなにも知らないわからないそんな
わからないままの消えかけの月の
怯えがアナタを震わせる朝未明
鬼や鬼女さえ泣くほどの
寂しい世界に生きる
わからないのはフリではなく
けして利口にはなれないから
知ってるね?
羽衣の揺れる松風の吹く浜辺
宇宙より堕ちた天女の微笑みに
身も心も奪われたのはアナタ
油断したような気がする
まるで白く清い純粋なひとが
あんな声をあげるだなんて
朝起き抜けにその寝顔をみたとき
真っ逆さまに恋に堕ちたのは
アナタ
だね
知ってるよ
聖地にはホントの百合の恋が咲くんだ
ちょっとした
ミステリーみたいだろ?
ほら
憶えてる?
あの海で初めて拾った貝ガラを
たいせつに本棚に飾ってさ
想い出に触れたいと
そっとため息をつくのも
夜毎の耳鳴りを波の音と
勘違いさせる嘘の告白なんだね
終わらないトクベツな恋は
いつまでも永遠につづく
かってにそう想っているのは
アナタだけかもしれないね
でも
生きて
ただそれだけが幸せなのなら
その正しさは月に聴けばいいのかも
しれないね
それを間違いだといっても
庭をゆく蟻たちに射す月光もやさしげで
もし夢よりも大事な恋があるのなら
光輝く満月に架かる虹の冷たさを
死の香りと認められれば
アナタもやさしげになれるかもね
べつに
トクベツな愛を棄てて
トクベツな恋を拾うわけではなくて
愛を棄て
棄て
棄てて
手を繋ぎたい
だけなんだよね