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二、霊感従者

 幽世(かくりよ)。あやかしや土地神が住まう、人ならざるモノの世界。幽世への道は古神社の鳥居や山の洞窟、古ぼけた橋の上など、いろんなところから通じている。逢魔(おうま)(どき)幽世(かくりよ)現世(うつしよ)の境で、一縷(いちる)は道行くあやかしに声をかけていた。


「内大臣の末姫が、あやかし相手に婿探しですかあ?」

烏天狗(からすてんぐ)どの、ご興味がおありか?」

(わし)は男色ですのでなあ……」


 ほっと、一縷は安堵した。「それは失礼しました」と烏天狗を見送り。


「俺は考えてもいいよ。小柄な姫ならなおいい」

「赤鬼どの、お気持ちはうれしいのですが、姫君に手荒な真似はしないでくださいね」


 大きなツノを二本生やした赤鬼は鼻で笑った。


「それはお約束しかねる。手荒なことが好きなのでね。女子(おなご)の泣き叫ぶ顔はそそるものだ」

「こちらからお断りしますっ! ケダモノっ! 人でなしっ! 鬼畜っ!!」

「鬼だしね」


 豆を投げつけて鬼を追い返すと、川辺からざばりと河童が上がってきた。


「僕は? きゅうりくれるなら考える。女の子にもやさしーよ」

「河童かあ……姫、好きかなあ」

「そのお姫様、お嫁さんになったら、一緒に泳いでくれるかな? うふふ」

「あっ今姫の裸体を想像したな! すけべめ! 姫の柔肌を晒すなんて真似できません!! なしで!!」

「ええっ婿探しなのに!?」


 あーでもないこーでもない。

 ひっきりなしにやってくるあやかしたちに声をかけては難癖をつけ、結姫の婿候補を破談にしていった。そんな一縷を見て、呆れたような声が降ってくる。


「幽世の境で騒ぎがあると聞いてきてみれば。いったいなにしてるんだい? 一縷」


 黄昏の空に、にょろりと細長い管狐(くだきつね)が浮かんでいた。


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