HAHA
プロローグ
___母性の源は、どこにあるのだろう?
多様性溢れるこの現代の中で
"母であること"に言葉にならないほどの
苦しさと恐ろしさを感じる場面が多くある。
自分のお腹に命を宿すという奇跡、
また、その生命が無事この世に誕生する尊さについては
紛れもなく私の中にも存在している。
その気持ちに相反するように浮き上がってくるコトバ。
「 あぁ、子どもを産まなければ良かった」
思わずそう呟いてしまったことを
誰にも打ち明けられない日々を過ごす中で
苦しさと向き合うと同時に
この想いがどこかの誰かに届いたら良いのに...と、
どこにでもいるような平凡な主婦である私は
拙い文章であることを承知の上ここに残すことにした
秋の空気に包まれた穏やかな光が差し込むこの部屋で_
育児がこんなにも忍耐を強いられるものだと
もう少し早く知っていたかった
私は物心ついた頃から
他人にそこまで興味を持つことも
また興味を持たれることも望まなかった。
干渉されることも大嫌いだし
他人に自分の力を捧げることも大嫌い。
やがて学校生活や社会に出て働きだす頃には
世間的や賃金の対価として
" 気遣いができる "
そんな風に評価されるキャラクターになることは
非常に簡単でもあった
不自由さの極み。
育児を語るにおいてこの言葉が一番に浮かぶ
食べたい時に食べられない
寝たい時に寝られない
見たい時に見ることはできない
奇声を耳元で永遠に聞かされる
意味がない事で泣き続ける
だけど決して。
いかなる理由があっても逃げる事は許されない
一時的に離れることはあっても
この先もう関わる事はなく離れることはできない
もう一度、子供を産む前に戻ったら
私は絶対にその選択はしなかっただろうと確信している
子供のことは愛おしい存在である、
別に手を上げることもなく
食べたいものを食べさせて
欲しいものを与えている。
かわいいと思うこともそれなりにはある。
ただ微笑ましい時間ばかりではないのである
誰に褒められることなく。
子供を育てることは
当たり前だと口を揃えて皆んなは言う
明日、自分がいなくなったら、
もし"母 "ではなく、1人の人間として
誰も自分を知らない場所で新しいスタートを切る。
そうしたら人生思い通りになるだろうか. . .
そんなことを考えながら今日も生きている
そうだ。
私には母性が欠けている。
そう呟きながらゆっくりと歩き出した。