ショコラ
うちのワンコの命日なので書いてみました
出会いはガラス越し
あなた達は何日も何日も私を観に来てくれました
私の仲間は日に日に居なくなっていく
ここはさみしい箱の世界
年の瀬に私を抱き上げてあなた達は私を外の世界へと連れ出してくれました
小さな私は初めて見る世界に怯え、あなた達にしがみつくことしかできません。
寒い夜は川の字になって挟まれて 窮屈でイビキもうるさいのに心地よい居場所になりました
あなた達の声も匂いも覚えました
私の名前が"ショコラ"だと言うことも知りました
あなた達と一緒に行く初めての散歩は桜咲く少し暖かい日
鼻先に着けた桜の花びらを観て 笑いながら頭を撫でられた時 幸せを知りました
2人がお仕事に行く時 お散歩だと思い玄関に座り込んで動かなかった時に初めて怒られたのも忘れてません
それでも幸せ
それも幸せ
私の身体はスクスク育ちます
あなた達より遅く産まれ早く旅立つ運命
イタズラもおふざけも笑顔で受け入れてくれる奥さん
ご飯の時に執拗に私の手を持つ旦那さん
大好きなおやつを沢山くれて
大好きなヤギミルクをたまにくれる
そんな毎日が大好きです
ある日あなた達がいつもよりバタバタしてる日を憶えてます
黒い服を着て
雑にご飯を置いたら 何処かに行っちゃいました
1人の夜を初めて過ごします
私は泣きました、箱の世界を思い出します
首を上げ空に向かって遠くに聴こえるように
あなた達の匂いが帰ってきました
嬉しくてお迎えに出たけれど
帰ってきたあなた達は暗かった
何がありました?
聞きたいけれど
私はあなた達の様に話せません
でも気になります
静かな奥さんに鼻先をツンツンさせて顔を見上げると、とても悲しい目をして私を抱き締め泣いてましたね
よく解らないけど私の役割だと感じたので私は身を預けたまま時間を過ごしました
月日は流れて行きます
みんなで歩く散歩道
初めて泳いだ知らない場所
気持ちの良かった温泉
白の世界は寒すぎで体を暖めようと走ると旦那さんがはしゃいで私に雪を投げ遠くに走って行きました
はしゃいでる訳ではありません
私は早く家に入りたかったのに
私が来てどれ位の月日が流れたのでしょうか?
突然小さな仲間が増えました
見た目は違えど同じの匂いがする茶色い子
甘えん坊できかん坊
イタズラ大好きで旦那さんによく怒られてますね
私がこの子を庇うと旦那さんは笑顔になって怒るのを止めます
茶色い子のイタズラも減りました
みんなで寝るには布団が狭くなり
この子と別の場所で過ごす日になりました
お眠の時はチョンと私のお腹に寄り添うから
私は貴方がとても大好きになりました
お散歩もみんなで行くとまた楽しい
おやつは取り合い、そこは譲れない
この時間が続けばいいのに
私は知っている
あなた達より遅く産まれ早く旅立つ事を
眠たい時間が増えてきました
散歩も長くは行けなくなりました
足がもつれ 走ることが出来なくなりました
旦那さんは抱っこして外の空気を私にくれる
抱かれている私の頭を名前を呼びながら撫でてくれる奥さん
目を細目
息を上げているのは嬉しいからです
私の身体は思う様に動きません
トイレも行けなくなりました
茶色い子、いつものように甘えなさい
旦那さん、奥さん泣かないでください
私の名前を呼んで撫でてくれるだけでいい
私は幸せでした
だから泣かないでください
最期の声が聴こえました
「ありがとう」と「がんばれ」が
私も話せたら伝えたい
「ありがとう」「大好きです」
先に旅立ちます
私は川の畔で気長に待ってます
ゆっくりでいいから
今度会えた時また抱き締めてください
最期まで読んで頂きありがとうございました