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C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
チャールズ・チャップリン
99/318

99話

 しかし、ふざけているように見えたマスターだが、意外にもちゃんと答えは考えていた。


「うん。もうわかったよ。たぶん間違いないね」


 確信のコーヒー。うん、美味い。豆変えたのかな?


 ひらひらと漂い流されているだけのように見えたマスターだが、ギャスパーは結果的に喜ぶ。


「え、ホント? さすがチェスの元ドイツ王者。頭いいねぇ。で、答えは?」


 矢継ぎ早に語を当て、解答を待つ。やはり、持つべきものは友。


「むしろ、これはフランス人のキミ達がわからないとダメだと思うけどね。ほっほ」


 余裕を見せるマスターに、ギャスパーは焦ったさを感じる。


「もったいぶってないで。じいさん、教えてよ」


 答えを求め続けられるが、さらにマスターは引き延ばすかのように、携帯を取り出した。そしてなにやら指で操作する。


「待って。一応、教え子にも聞いてみる。頭のいい子でね」


 念のため、他の人の答えと合うか検証しだす。同じ問題に対して、同じ解答がくれば、安心して答えられる。石橋を叩いて渡る。


「教え子? チェスの子?」


 問いかけながらギャスパーは、すっかり冷めたエスプレッソをちびっと飲む。すっかり忘れていた。それほどまでにペースをこの老人に乱されている。


「教えてる、ってほど教えてもないけどね。ちょくちょくチェスを指してる。『角砂糖にショコラを染み込ませたもの』から連想できる歴史上の人物、で大丈夫かな」


 携帯を操作しつつ、マスターは質問にも答える。


 無駄はないが、一切文脈もなく、もし自分にこんなメッセージがきたら、見なかったことにするな、とギャスパーは半分以上諦める。


「こんなのでわかるのかね」


 先の先の先の先、くらい読める人じゃないと、意味すらわからないだろう。わかっても、ここから答えの人物にたどり着くことができたら、むしろ怖い。


 送り終えて携帯をポケットにしまいつつ、マスターは満足気にソファーにもたれかかる。


「どうだろう、まぁでもヒントは『植物』『三人』、そして『女王』かな」


 うん、間違いない、と自信ありげ。


 かたや、ギャスパーはよりわからなくなる。


「? なにそれ?」


 三つのヒントが繋がらない。どういうこと?


「あ、きた」


 すぐに返信がきた。マスターは楽しそうに、まるで恋する乙女かのように、ワクワクしながらメッセージを開く。そこには。


《くだらんことをメッセージで送るな》


 まずこの一文。


 厳しい意見だが、続きを読んでニヤリと笑う。


「と言いつつ、ちゃんと答えてくれるあたり、ツンデレってやつなのかな? 一緒だ」


「え、誰?」


 身を乗り出すギャスパーに、マスターは携帯の画面を見せる。そこに書かれていた名前。当たっていたらすごいが、それは当然マリー・アントワ——


「え?」


 心の中でその名前を呼んだギャスパーは、自身の目を疑う。


「どういうこと? え? え?」


 これは一体——?

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