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C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
マリー・アントワネット
6/310

6話

 パティシエ、そしてショコラティエになるためには、高校を卒業し、大学もしくは製菓学校で学び、洋菓子店やメーカーのショコラティエとして働く。そして人によっては独立。これが王道。


 しかし、かつてピエール・エルメのように、リセ入学前から巨匠の下で修行し、そのまま第一線で活躍するような強者もいる。どちらかと言われればジェイドはそういきたいのだが、なかなかそうもいかない。職業高校で製菓を学ぶというのもひとつの案だったが、職業高校はその後の就職率が決して高いとはいえない。ならば、普通科に入り、バイトとしてショコラトリーで働いて技術を盗むほうが早いと考えた。


 が、製菓学校で学んだ者を優先して採用するのは当然のこと。年齢も一八歳から。だが、ピエール・エルメの例もある。片っ端から当たり続け、そして断られ続けたが、ついに接客や清掃などであればと実を結んだ。フランスでの学生アルバイトは、労働監視局の厳しい目を掻い潜り続けなければならないが、一応学校からの申請は出ているし、問題がおきたらモンフェルナ学園のせいにする。


 ショコラトリー『デゥブルヴェ・イクス・イグレック』、つまりWXY。パリに昔から存在する老舗だ。店名がアルファベットの最後『Z』で終わらないのは、製菓に終わりはないから、だそうだ。ジェイドが働くのは、ラスパイユ通りの本店ではなく、セギュール通りの支店。他にも数店、パリ市内にある。そんな有名店がジェイドを採用した理由はひとつ。


「なんか大きなプロジェクトがあるらしくて、人手が足りてないそうなんですよ」


 水曜日の午後。


 フランスでは、大半の学校は水曜日の午後は学校がない。義務教育課程に至っては完全に休みだ。つまり、アルバイトするには最適の曜日となる。ジェイドはWXYにて接客を任されている。当然、実務経験などはないので、製造には携わっていない。


 人見知りせず、声をかけるのが得意な彼女には向いている。身長もあり、ハキハキとした態度から、高校、つまりリセに通っているとはお客さんからは思われていないようだ。黒を口調とした制服も、さらに年齢をごまかすのに一役買っている。


「それ聞いた。なんなんだろうね。これ以上忙しくなるのやだなー」


 先輩アルバイター、エディット・コティヤールは伸びをしながら愚痴をこぼした。今は少し余裕のある時間帯だが、もう少ししたら怒涛のラッシュがくる。カフェスペースなんてものを増設してしまったから、以前より余計に仕事が増えた。給料は変わらない。が、新作ショコラなどの試食ができるからやめられない。そんな大学生。

続きが気になった方は、もしよければ、ブックマークとコメントをしていただけると、作者は喜んで小躍りします(しない時もあります)。

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