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C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
マリー・アントワネット
53/317

53話

「じゃ、申し訳ないんだけど、こいつと話があるから、みんなと待っててくれるかな? この後、試食をするから」


 厨房で待っていてほしいとロシュディから言われ、ジェイドは了承する。そして謝罪。


「はい、わかりました。あの……勝手にすみませんでした」


 自分ではどうすることもできなかったとは言え、オーナーの部屋に入ったこと。そして先に披露してしまったことなど、言っておかなければならない。


 しかしロシュディは全く気にしていない様子。全部の黒幕はわかっている。


「この部屋のこと? どうせこいつがそそのかしたんだろうから、いいよいいよ。見られて困るものもないし。作品もこのままで。じゃ、よろしくね」


 と、軽く受け流した。


「はい、ありがとうございます。失礼します」


 ゆっくりとドアを閉め、ジェイドは部屋から離れて行く。カルトナージュとショコラは置いたままでいいというのが気になったが、まぁ判断は彼らに任せるしかない。良い方に転がればいいな、と楽観的に考えることにした。


 そして、部屋内では、男二人が笑みを浮かべながら睨み合う。怒っているわけではないが、ピリついた空気で一触即発という雰囲気だ。


 先に喋るのはロシュディ。まずは現状について。


「で、なーにやってんのかな? ウチのショコラティエール捕まえて」


 変なプレッシャー与えないでくれる? と、ジェイドを気遣いながら牽制する。この男は信用できるかできないかで言ったら、できなさすぎる。


 男性も、それならばと反撃に応じた。


「そっちこそ、遅れてきて謝ってもらっていいかな。寒い中待ってたんだから」


 全ての原因はそこだ、と一歩も引かない。一〇月も下旬となれば、朝晩の寒さは身に染みる。


「そりゃ悪かった。じゃ、おあいこってことで。そっちも忙しいんだろ?」


「忙しいよ。全く、呼び出しといて遅れるなんて……」


 ロシュディは謝罪し場を収めようとするが、男性はまだまだ愚痴なら喋れる。なんだったら、数年前から掘り起こして、今ここで決着つけようか、とすら思っている。


「だから謝っただろ」


 やれやれ、とロシュディは一歩引く。こんなことで時間を使ってもしょうがない。自分も言ってやりたいことはあるが、とりあえず閉まっておく。もう一回同じやりとりになったらぶっ放そう。


「でも、そのおかげで面白いものが見つかった、かな。そこは感謝。なかなかいないよ、こんなこと考える子。考えても、やろうとは思わないし、行動力がすごい」


 まさか希少なマンティニークカカオを探し当てるとは。これにはさすがに男性も脱帽した。全てフランスでやってやろうという、強固な意志。あそこまでやられたら、失敗でも怒るなんてできない。中途半端に成功するより、よっぽど可能性がある。

続きが気になった方は、もしよければ、ブックマークとコメントをしていただけると、作者は喜んで小躍りします(しない時もあります)。

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