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C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
ビートルズ
308/317

308話

 ビートルズのメンバー間でも差が出てくる。ジョン・レノンは比較的訛りが少ないのだが、それは彼が幼少期から中流階級の叔母の家で暮らしていたから、というのが一般的である。逆に他のメンバーは労働者階級出身であり、特にジョージ・ハリスンはその訛りが長いこと抜けなかった。


「へぇ、詳しいね。アニエルカは話せるのかい?」


 なんだか楽しそうに問いかけるリディア。その事実は知らなかった。勉強になった。知識欲がほんのり満たされる。


 自慢げにアニーは胸を叩く。


「もちろんっス。とはいえ、言っていることがわかる程度っスねぇ。返す時は一般的な英語になります。話せる、というか『理解できる』のほうが正しいかもです……」


 尻すぼみに弱くなる。実際、この言語は普通の会話だとしても、同じイギリス出身者が理解できないこともあるほどに癖が強い。そこに住んで、アクセントなどを身に付けない限りたどり着けない領域。もちろん未体験。


 成績優秀なユリアーネも、英語とフランス語は国柄ある程度は話すことができる。しかし、それは標準的なものでしかなくて。方言などは預かり知らぬところゆえに。


「充分にすごいと思います。私の語学力ではアニーさんとは比べものになりません」


「たしかにねぇ。つまりはビートルズを表現するなら『相当にひねくれた』ショコラーデでも間違っていないわけだ。スタンダードな彼らを邪道で。ますます面白いね」


 ペロッ、とリディアは舌なめずり。楽しそうなことに混ぜてくれて感謝。次にパリに行ったらその、ジェイドとかいう子とも知り合っておこう。世界が広がる。


 英語学習の教材でビートルズはいい、と聞いたことがあることを思い出した。それは比較的簡単かつ実用的な英語を使用していること、ジョン・レノンの聴き取りやすい歌声によるところが大きい。しかし、ジョージ・ハリスンが歌う訛りも、これはこれでイギリスを知ることができる。


 なんだか結論が出たようで。難しいことはひとまず置いておいて。アニーが話を区切る。


「まぁ、作るのはボクじゃないっスから。でもそうっスね、一応ジェイドさんに伝えてみます」

 

 電話をする理由ができた。彼女の話すオランダ語はとても綺麗な『音』を持っていて。電話越しでも伝わるくらい。ウキウキする。それにやっぱり食に関することで議論できたり、役に立てたら嬉しいから。ボクも頑張るっス。

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