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C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
ビートルズ
304/317

304話

 そんな事実をもちろん知らないユリアーネには、穏やかで素敵な夢が約束されているようで。


「……アニーさんらしいですね。私も見習わないと」


 自身に発破をかけつつ、明日への活力に。常に勉強。学習。カフェの経営に終わりなどないのだから。


 なんだかアニーにはむず痒い。たいしたことをやっている、という自覚がないから。真っ直ぐに言われると。恥ずかしさも。


「い、いやいやいや! ボクのほうこそユリアーネさんに頼りっぱなしっスから。頑張らないと」


 さらに紅茶をひと口。さっきより味がわからない。緊張。それなりに一緒にいることもあるけども、やっぱりこの人は可愛いから。そんな人が横にいる。手を伸ばせば届く距離に。ていうか、いつも一緒に寝てるけども。


 すると。


「……ふふっ」


 なんだか。その慌てふためく様がユリアーネには可笑しくて。つい頬が緩んでしまう。


「にひひ」


 つられてアニーも笑う。こんな日がずっと続けばいいのに。いや、続いていく。そうに違いない。


「それにしても、改めて、音楽をショコラーデにって。全く想像がつきません」


 話は戻って、少なくとも。ユリアーネ自身には思い付かないこと。音楽は音楽。ショコラーデはショコラーデ。どういう感覚なんだろうか。それは楽しいこと? それとも生み出す辛さが勝るのだろうか。まぁ、横に香りを紅茶に表現する人もいるけども。


 ほんわかとした夜の宴。少女達。


 すると、その間にずいっと無理やり体を捩じ込む人物あり。


「アメリカの小説家、カート・ヴォネガット曰く。『神の存在を証明するには、音楽だけでいい』。あながち、その子の言っていることは間違いじゃないかもね」


 知識を披露しながら、二人と同じくこれまた寝巻きの少女が割り込む。リディア・リュディガー。年下ではあるが、一番不遜な態度で。手には紅茶とコーヒーのミックス、ユンヨンチャーの入ったカップを持っている。カフェインたっぷり。

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