表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
ビートルズ
303/318

303話

「ビートルズ、ですか。たしか以前はレディー・ガガ、でしたよね。リヴァプール……」


 くらいしかユリアーネ・クロイツァーには知識がない。あとは四人組であること。イエスタデイ。イマジン。イマジンはジョン・レノン、でしたっけ。


 部屋着兼寝巻き。それを身に纏ってベッドに腰掛ける。アパートの一室。天井を見上げる。手元のノンカフェインコーヒーの湯気が立ち上っていく。ライトが眩しい。眠気の混じった瞳には特に。


 一九世紀後半から二〇世紀半ばに建築された、いわゆるアルトバウという自宅。以前住んでいた人物がかなりDIYをしていたようで、原型がどんなものなのか気になるほどに改造されている。真っ赤で様々な装飾のついた玄関ドア。リフォームしたアルトバウは、カラフルなドアが多い。気分が上がる。


 同じく温かいノンカフェインの紅茶を嗜みながら、これまた同じく寝巻きのアニエルカ・スピラは同意する。


「そうっスね。ボクもよくわかんないんスけど、考えるの自体は楽しいです。それに、もしかしたら〈ヴァルト〉でも提供できるような新メニューに役立つかもですし」


 そうして隣に座った。定位置。落ち着く。香りも味も。雰囲気も。


 このように、二人は夜、どちらかの自宅でゆったりと過ごすことが多い。学校も同じで、どちらに泊まっても距離は変わらない。ベッドはひとつあれば事足りる。他愛のないことを喋る時間。とても大切で愛おしい。


 いつも前向き。そんな姿勢は見習わないと、と決意すると同時にユリアーネには尊敬の念さえ。


「それはあるかもしれませんね。みんなにプラスになる結果にたどり着けたらいいのですが」


「マイナスでもいいんですよ。マイナスからゼロ、あるいはプラスになる楽しみがありますから」


 コクッ、と紅茶をひと口飲むアニー。全身に染み渡る。今夜もいい夢が……たぶん見れる。といいなー。少し後ろ向きな願望の理由。それは、本人には言えないけど非常に寝相が悪いこと。そこも可愛いんスけどね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ