表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
ビートルズ
296/317

296話

《なるほど。流石にビートルズをチェロで演奏したことはないが、好きなバンドだ。手伝えるかは別として》


 電話越しに明瞭な声を上げたのは、ベルギーはブリュッセルにあるルカルトワイネ学園に通う女生徒、フォーヴ・ヴァインデヴォーゲル。趣味はチェロ。特技もチェロ。寝る前に聴くのもチェロ。母親のお腹の中で聴いていたのもチェロ。たぶん。


 その同郷の友人であるジェイド。趣味はショコラ。特技もショコラ。寝る前に食べるのも、朝起きて食べるのもショコラ。母親もきっと、制御しつつも妊娠中にショコラを食べていたに違いない。きっと。自室の二段ベッドの下段に腰掛け、枕元に置いた携帯のスピーカーで話す。


「手当たり次第、色々な人物に声をかけていてね。そのいいところを混ぜ合わせて形にするのが私の役割だから。優秀なコンサルタントが必要だ。フォーヴももちろんそのひとり」


 自分が知る中で、一番クラシックというものに傾倒しているのは彼女。あとはサロメ・トトゥとか。ベル・グランヴァルもか。あとヴィズ。結構いるな。とりあえず、同じ音楽という括り。相談できる人数は多いほうがいい。


 ビートルズといえば世界一有名な『ロックバンド』という認識だが、実は様々なジャンルの曲が作られている。音楽の源流であるブラックミュージックへ回帰する彼らの音楽は、当時では逆に新鮮に感じられるほどだった。


 そして中期ごろからクラシックの色合いが濃くなってくる。メロディーと和音ではなく、複旋律となるいわゆる『対位法』。クラシックでよく聞く技法ではあるが、曲の進行に合わせてその密度が高まっていく。曲によっては、バロック時代の『ラメント・バス』という半音階的に下がっていく低音もバッハに近い。


 ロック、ジャズ、ポップスなど多様な音楽を吸収し消化していく彼らの音楽。惹きつけられる理由のひとつでもある。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ