表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
ビートルズ
289/317

289話

 そこはまるでトンネルのような半円型の空間。奥の小さなステージにはドラムやアップライトピアノが置いてあり、客との距離や薄暗さからしてジャズバーということがわかる。


 今は演奏もされておらず穏やかな店内。六席あるカウンターにひとり腰掛ける少女に対して、私服のバーテンダーであるビセンテはグラスを磨きながら問いかけをする。


「オードは『虎』の反対はなんだと思う?」


「……は? 虎? 虎ってタイガー? 虎がなに? 反対? 反対ってどういう意味の?」


 ノンアルコールのカクテルをちびちびと飲みながら、つならなそうに頬杖を突いていたオード・シュヴァリエは顔を上げた。


 バー、とは言っても隠れ家的な重苦しい雰囲気のものではなく、グラウンドコントロールと呼ばれる、使われていなかった建物や敷地を再利用する計画のひとつ。そのため、外には開放的なテラス席や屋台などもあり、まるでショッピングモールのような賑わいを見せている。


 フードコートや古着を売るブティック。親子連れはもちろん、子供達だけでも遊べる一大施設。再開発のエリアであるため、いずれはなくなってしまうということもあり、今のうちにとパリの市民の集まる憩いの場となっている。


 そんなこんなで少しずつ賑やかになりつつあるバー。現在は注文が入っていないため、比較的落ち着いてはいる。なのでなんの気なしにビセンテは話題を提供。


「イギリスの詩人、ウィリアム・ブレイクの詩によるとな。虎の反対に位置する生物がいるそうだ。ま、クイズだな。気楽に答えてくれ。どうせ当たらない」


 首を振って未来を見通す。中々今の子達は詩とか読まないだろうし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ