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C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
ビートルズ
284/317

284話

 そしてそれは鏡に映る自分にも言えること。自分は自分のことをどれだけわかっている? 適切な睡眠時間さえもわからない。だいたいで寝て起きる。適した枕の高さもマットレスもわからない。そんな自分を伝えるなんて。なんて烏滸がましい。


「嘘。偽物。欺瞞。そういったもので満ち溢れている世界」


 作中では多数のビートルズの曲を使用しているが、これは知的障害者の方々を取材した際、ビートルズを好きという声が大きかったかららしい。もしビートルズではなくマイケル・ジャクソン好きが多かったら、サムはムーンウォークしていたのだろうか。


 そして映画『アイアムサム』は。ビートルズが曲を歌っているわけではない。彼らの曲をそのまま使うと使用料が相当に高かったり、承諾を得るためにはかなりの期間を有してしまうということで、苦肉の策として様々なアーティストにカバーしてもらった、とのこと。逆にそれが好評で、最終的にサウンドトラックはグラミー賞にもノミネートされたらしい。


「ショコラに置き換えると。使いたかったカカオが手に入らなかったから、とりあえずで使ってみたほうが評判が良かった、という感じか。あるだろうねぇ、きっとたくさん。そんなことが」


 どんなものにも抜け道や打開の策はある、ということは、口にするのは簡単だとジェイドにもわかっている。わかってはいるが、鏡に映る人物は果たして諦めずに成し遂げられるのか、と問われれば、わからない。


 今のところ、全くと言っていいほど浮かんでこない。オードには嘘を言った。アイアムサム。ビートルズ。ルーシー。カバー。ショコラでこれを表現する、となると、いったいどんな風味で、食感で、見た目で、カルトナージュされるのか。完成品が脳裏でモザイク……どころか、真っ黒に塗りつぶされていて輪郭すら掴めない。


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