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C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
ビートルズ
282/318

282話

 彼女達はまだ未熟だけれども。いい師に巡り合った一日は、無為に過ごした十年を超える充実を得ることができる。だからこそ。味方はひとりでも多いほうがいい。スカウトにも精を出す。が。


「断る」


 やはり気分が乗らないリオネル。そういうのは店を通して注文してほしい。口約束などビジネスにおいては言語道断。受けるかどうかは別として、ともかく安請け合いはしない。


 予想通りだけれども、はいそうですか、とギャスパーも簡単には引き下がれない。というのも。


「そう言わないでよ。これはキミのためでもあるんだからさ」


 もちろん向こうにもメリットはある。これで釣ってみる。使える手は全部使う。他にもフローリストのM.O.Fは知り合いに何人かはいる。だが、この男がいい。この人物だからこそ。


 ここまで爺さんが食い下がらないのはなにかあるな。こういう時はリスクとリターンが合ってない、ということはリオネルにはわかりきっている。


「どうせ労力に見合わんだろ。ゆえに断る。忙しいの。わかる?」


 この教会の花もそうだが、ノエルの時期は色々なところでパーティーやらイベントやらが盛り沢山。一応、パリを代表するフローリストではあるが、なんでもかんでも受け付けるというわけではない。これ以上仕事を増やすつもりもない。


 押し問答。娘が頑固なのは父親譲りか、と妙にギャスパーは納得。


「やれやれ。一緒に悪いことしよう、って誘ってるのに」


 まぁ、ここまでは想定内。でも結局、この親子は勝手に巻き込まれてるってことに気づくのは、全てが終わってから。

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