表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
ビートルズ
275/317

275話

「本当にあたしが担当するの?」


 自分の気持ちを押し殺しながら、オードは再確認。本当であれば両親に今すぐ連絡して、お祝いの料理でも作っておいてほしいくらいだけど。まだ感情が追いついてこない。冷静な自分が自分じゃないみたいで。


 その反応も折り込み済みのジェイド。自身がその立場でも、その惑いは理解できる。


「あぁ、確認したからね。キミのカルトナージュも高く評価している」


 もちろん、一緒に作ってくれるのであれば心強い。すでに四作も共同で仕上げた仲間、だと思っている。言ったら否定されるのだろうけど。


 少しずつ心臓が加速していくのがオードにもわかる。そりゃそうだろう。突如道が拓けたのだから。それでも。どこか心は跳ねず。


「……どこで見たの? 言っちゃなんだけど、怪しさしかないわ」


 もっともな質問。隠すことなくジェイドは答える。


「初めて我々が作り上げたショコラとカルトナージュ。審査してくれたのがギャスパー・タルマ氏でね。えらく気に入ってくれた。らしい」


「らしい?」


「聞いた話だからね。運がいい」


 まだ警戒心を解かないオード。そして、言葉に自信がないジェイド。どこか上の空。


 微妙なその空気感の違いにオードはじんわりと気づく。いつものこいつなら。四割増しくらいで暑苦しいはず。それがない。ゆえに。


「ますます信じらんないわね。ありがたい話だけど。世界的な調香師が声かけてくれるなんて嬉しいことだけど。あたしみたいな知名度のない小娘に声かける? 普通」


 だが。言ってから、オードは思い出したことがある。そういえば映画監督のリュック・ベッソンは、映画『トランスポーター3 アンリミテッド』のヒロインに、街角で出会った演技経験もない美容師を抜擢したことがあった。もしかしてアーティストはそういうの、案外あるのかも?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ