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C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
ビートルズ
272/318

272話

「『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ』。知ってるかい?」


 目をぐるぐる回しながら、自分の内部を探すオード。しかしその曲は見つけられず。


「……いや、知らない。『ヘイ・ジュード』とか『ヒアー・カムズ・ザ・サン』とかなら他にもわかるけど。どんな曲だっけ」


 あとは『ヘルプ!』とか。あれ、結構知ってんじゃんあたし。さすが。いや、さすがなのはビートルズか。そんなに詳しくなくても体が覚えている。


 ジェイドの瞳は街を歩く親子を捉える。父親と、まだ幼い娘。プレゼントでも買いに来たのだろうか、楽しそうな雰囲気を纏っている。


「映画『アイ・アム・サム』で使用された曲だね。主人公のサムと、娘のルーシーのハートウォーミングな映画さ」


 大人になって、子供が生まれてから改めて観ると、より深く染み込むらしい。その感覚は自分にはまだわからないけど。


「観たことないわ。で、香水のためのショコラなんて、見当ついてんの?」


 一聞いたらこいつは十、余計なことが返ってくる。それはオードにもわかっているので、サクサク話を進める。


 いつもなら「さて」と言いながら、誰からヒントをもらおうか悩んでいる最中のジェイド。上司だろうが初対面の相手だろうが、人類みな兄弟。もらえるものはなんでももらう。が、今回は少し違う。


「あぁ、もうすでにね。九割がたは決まってる。あとは煮詰めるだけ」


 風になびく髪。その揺れ方にも余裕が見え隠れするようで。


「早いわね。なにか裏でもあるの?」


「失敬な。私は使えるものは全て使う主義なだけだ。自分ひとりで完結できるならそれに越したことはない、と思っているよ」


 疑いの眼差しをガラスを通して向けるオードだが、それを微笑みながらジェイドは背中で受ける。チクチクグサグサと刺さっているのは承知。たしかに今まではそんな風だったことは認めよう。

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