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C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
レディー・ガガ
241/317

241話

 隠していたわけではないが、ユリアーネが言っていなかったこと。伝えずに終わればそれでもよかったのだが、信頼できる人だと認めた上で告白する。


「私は〈ヴァルト〉のオーナーで、アニーさんは店長をやられています。まぁ……わけにはいかない、というわけでもないかもですが……」


 言葉が難しい。そういう決まりはないし、実際〈WXY〉で働かせてもらっているわけで。だがとりあえず、店をずっとほったらかしにしておくわけにもいかないのも事実。税金とかあるし。そういえば〈WXY〉のぶんの時給とかはどうしよう。


 本日、何度目かのジェイドの沈黙。衝撃がそれなりにくる。同じ年ですでに店を持っていると。そういうこと。


「……そう、なのか。私よりも随分先を走っているわけだ」


 自分の店を持つ、というのは憧れのひとつ。ゆくゆくはジェイドもそうではあるが、目の前の頭ひとつ小さな少女が一国の主ということ。どうやってなったんだろう。


 思ったよりもあっさりと話が流れていく。あまりまわりに広げていきたい、というわけでもないため、ユリアーネとしては緩い空気感で助かる。


「……あまり驚かれないんですね。まぁ、パリはあまり学生で働く方もいらっしゃらない、ともお聞きしましたので、ジェイドさんも似たようなものではありますが……」


 その言葉通り、フランスは学生の労働にあまり寛容ではないほうの国。色々と制限があるため、声を大にして働いている、とは言いづらい。


 指摘を受けたジェイド。どんな言葉を返そうか、と悩みつつコーヒーに口をつける。


「……いや、充分驚いているよ。逆に、こっちをクビになったら〈ヴァルト〉で働かせてもらいたいくらいに」


 それも面白いかもしれない。彼女達が仕切るお店。色々とショコラを使った新メニューが考えついたら、即OKが出そう。とはいえ、専門店ではないので制限はあるかもしれないが。


「お待ちしています」


 微笑みながらラテを飲むユリアーネ。きっと、他の仲間達ともジェイドさんなら、と想像するだけでも楽しい日常を送れるだろうと確信している。

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