表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
レディー・ガガ
214/317

214話

「そう? まぁいいか、キミにも期待してるよ。私はね」


 なんとなくワンディにはそうは見えないが、知り合いが増えるのはいいこと。細かく考えない。


「……どうも」


 もう一度軽く挨拶。あ、たぶん苦手だこの人。


 そんなことも気にせずワンディはドカッとイスに座り、遅くなったが駆けつけ一杯。


「それで? 私ももらおうかな。今の私に合うカクテル、なにがあるかね」


 流石にそれはビセンテに向けて。本人もカウンターに入り直し、どれにしようかと悩む。


「……そうだねぇ……今、今ねぇ……」


 そして視線を飲み干されたプッシー・キャットへ。氷だけがグラスに残る。


 それに気づいたオードは眉根を寄せる。


「?」


 ショコラを作るために来た二人。特にジェイドは忙しい状況にもすぐに対応してくれてるし。


「オードさん、キミには珍しいものを作ろう。なにかヒントになるようなものがあればいいんだけどね」


 ただで帰すのは忍びない。お土産がわりになればいいけども。


 ふとジェイドを探すオード。他の客に対応中。ひとり残された感じで少し窮屈。


「……オネガイシマス」


 ちゃんと言えたか不安。固かったかも。


 後ろの棚からボトルを取り出すビセンテ。ラベルはしっかりとお客に見えるように。自分達も確認しやすいし。


「まず、使うものはウォッカ、グリーンミントリキュール、ホワイトカカオリキュール……っていうとワンディならもうわかるね」


 言われてニヤリとワンディは笑う。今の状況。たしかにピッタリ。


「まぁね。そっか、そういうアレだもんね。なるほどなるほど、好きだね」


 というかお酒全般好きだけども。『それ』も当然好き。


 取り残されるオード。勝手に飲むことになって、勝手に話が進む。


「……よくわかんないけど、大丈夫なの、あたしあまり酒は強くないんだけど」


 法律的にオッケーでも飲むことはない。プッシー・キャットをもう一杯、のほうが嬉しいまである。


 そわそわしているその姿をほぐしにかかるワンディは、頬杖を突いて完成を待つ。


「安心して。あなたのは全く違う、けど同じ。そんなものだから」


 なぜそのカクテルなのか。二つの意味。ひとつずつ分け合うために。


「安心……いや、できないでしょ」


 やっぱりジェイドに似ている。この人はしっかりと上司だ、とオードはその受け継いでいるDNAの濃さを嘆いた。


 なにやら話が盛り上がっているようでビセンテも嬉しい。険悪にさえならなければいい。


「とりあえずこれらをシェーカーに入れてシェイク。そしてグラスに注いだら終わり」


 シェイクも基本を忠実に。慣れてくると自分にやりやすい方法でやる者も出てくる。が、それは自分のためのシェイク。カクテルのためではない。


 グラスに満ちる液体は電球の力を借り、さらに透明度を感じさせる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ