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C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
レディー・ガガ
211/317

211話

 その反応にジェイドは好感触。


「それはどうも。でもやはりショコラのことばかり考えてしまう。私はやはりショコラティエールだよ」


「今だけはバーテンダーでいてほしいけどな」


 そこに他のお客との対応を終えた、バーコートの男性がオードの右隣の席に背後から忍び寄った。


 偉そうに教鞭をとっていたジェイドは、少し恥ずかしそうに声を張る。


「あー、店長」


 バーテンダーの心構えを最初に教えてくれた人物。難しいことはなし、ただ『話せ』と。


 このバーの店長、ビセンテ・ブルーフは人手不足の解消をなんとか工面できたことを〈WXY〉の店の方角に軽く感謝する。


「ワンディのとこの子だから、少し警戒してたんだが。筋はいいし、こっちでもいけるか?」


 向こうの店長はひと言で言えば適当。その血を受け継いでしまっていたら、と危惧していたがいらぬ心配だった。コミュニケーション力と聞く力、そこからの想像力。それだけはワンディと近いところがある。


 それも悪くない、そんな理想的な回答をしたいところだが、あくまでジェイドはショコラが一番。だがもしなにかやらかした際の保険はありがたい。


「追い出されたらよろしくお願いしますよ。この子と一緒に」


 この子。指定されたオードは辟易とする。


「なんであたしまで。で、ショコラティエールとバーテンダーの違い。店長さんはどう違うって思ってるわけで?」


 他の出店は私服で商売を行なっているところも多い中で、キッチリとした爽やかな髪型と雰囲気をしたビセンテ。店としてお金をもらうのであれば、形から入るのと同時に、プロとして明確な線引きを行う性格。


「そうだな。扱ってるものが違う、ってのは置いといて、まず灯りが違う」


 人差し指を上に示し、裸電球を指す。とはいえここはバーにしては明るいかもしれない明度。場所が場所なので、殺伐とした空気感は排除。


「どういうこと? そりゃ、しんみりと飲みたい人と、甘いもの買いたい人で目的は違うと思うけど」


 本来のバーとは違う、ということはオードにも分かりつつも、全く全容が掴めない。暗いバー。甘いものを欲する人達でごった返すショコラトリー。そりゃ灯りは違うだろう。


 あくまで冷静に。頷くビセンテは同調する。


「バーってのは大勢で飲みに来てくれると店は潤うが、ひとりで来るような人も断然多い。そういう人は、だいたいなにかしら辛いことを抱えてたりするものだ。だから灯りは間接照明だったり、暗くしてたりする」


 ここは陽気なバー。なので明るめに。多数を占める方に合わせる。

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