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C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
レディー・ガガ
206/318

206話

 なんだかんだで友人がショコラに興味を持ってくれるのは嬉しい。饒舌になってしまうジェイド。


「まず、夏場でも溶けない。フルーツそのものに染み込んでいるから、フルーツが形を失わない限り、食べればショコラの味がするんだ。ショコラの技術ではなかったんだが、応用したものらしい」


 ショコラの一番の敵は当然『熱』。三〇度程度で溶けるように製造しているのだが、冬はともかく夏場ではかなり厄介。カカオに含まれるカカオバターという油脂が溶けてしまうのだが、口内で溶ける温度でもあるので変更はできない。


 そのため、それをある程度は防げるような技術は多々存在している。砂糖をまぶす、焼く、スナック菓子にするなどが代表例。その中でも含浸は少し方向性が違う。


 なんだかこんがらがってきたポーレット。ショコラにそんな違いが?


「でも、このショコラポップコーンも似たようなものなんじゃない? ショコラ絡んでるし」


 まとわりつかせることで云々。染み込んでいるわけではないが、溶かすというよりかは噛み砕くタイプ。温度は溶けさえしなければいいのでは。


 しかしカカオを使っていればショコラ、と一括りするのはジェイドとしては待ったをかけたい。それほどまでに特殊なやり方。


「まず、製造方法が全く違う。ショコラの染み込んだラスクなんかもあるが、こういった『浸して焼いたり冷やしたりして固める』製法とは違い、真空で一気に内部まで浸透させたら、そのまま遠心分離機で余計なショコラを落とす。すると、見た目にはショコラは見えないというわけ」


 先ほどの苺のように。見た目はそのままで味はあら不思議、ストロベリーショコラ、という見た目にも舌にも面白いお菓子が出来上がる。


 それでもポーレットからすると腑に落ちない点がいくつか。目には楽しい。味は美味しい。だが。


「なんで一見ショコラじゃないようにするわけ? 別に食べれればよくない?」


 そこに至った経緯。遠心分離などという、面倒な手法に至った経緯を。自分なら『X JAPAN』の紅くらい、激しく頭を振っても全然飛び出てこないだろう。


 知識としてだけは知っているジェイド。だが、実物を見たことはないので、ほんの少しだけ伝聞調になる。


「元々は野菜嫌いの子供に、蜂蜜などで甘く食べさせやすくすることを目的として、形はそのままに味だけ変化させた技術でね。その後改良を重ね、ショコラにも応用できると踏んだ結果の産物、だそうだ」


 人間の可能性。個人的にはノーベルショコラ賞をあげたい。いや、ないけど。

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