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C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
オードリー・ヘプバーン
176/317

176話

 話をすり替えられたことに呆れつつも、ショコラのことなのでサロメも乗っかる。そっちのほうが大事。


「あーもう……ま、いいわ」


「じゃ、時間までごゆっくり。サロメちゃんは遅れないでね」


 釘を刺すロジェ。このあと普通に調律の仕事が入っているため、忘れないように。また寝たりとかよくある話。


 当のサロメも「あー、はいはい」と適当にさばいて了承する。仕事は仕事。ショコラはお菓子。


 ジェイドは、カバンから『WXY』の商品を取り出す。


「ありがとうございます、お土産置いておくので、みなさんでどうぞ」


「こりゃまた。こちらこそいつもありがとう」


 そして気がきく。うーん、誰かよりは調律師向き、とロジェは再確認。誰かはクレームはもらうし気分で断るし勝手に調律先の家のもの食べるし——


「あ? なんか言った?」


 パーテーションから顔だけ出して睨むサロメ。聞こえた、自分への悪口。


 その険しい視線のロジェは「ひょ」と、姿勢を正すが「なにも?」と平常心を装う。

 

「?」


 見えないやり取りがあったようだが、ジェイドは気にせず応対場所へ。


 ソファに深くもたれかかり、足を組みながらサロメは話の話題に移る。


「で、今日は? ていうか、前回の新作うんぬんはどうなったの? もらってないんだけど」


 忘れていない。ショコラの怨みは怖い。


「あぁ、それか。忘れてた。てことで持ってきたからあとで感想はもらうとして、今日はこっち」


 まぁまぁ、と手で制したジェイドが、手下げの紙袋から取り出したもの。片手で持てるサイズの小さなモノクロのカップ。


 この時点では全くなにかわからない。本当にショコラなのか。それすらも。早く食べたいサロメだが、手順は守る。


「……今度はどんなテーマにしたの」


 白と黒。サッカーボール? トゥ・アンサンブル・オン・シャントハ?


「あぁ、そういえば言ってなかったけど、私のショコラは映画の音楽をイメージしていてね。ぜひ、当ててみてほしい。好きならわかるはず」


 ジェイドからの挑戦。映画、そこから聴こえてくる音楽。当ててみなさい、と。


 唐突に始まるクイズ。当てなきゃ食べられない、というわけでもないけど、サロメはやる気を出す。


「……ほほぉ、このあたしに。これは、グラスのカップ? に、チッペンデール。と、布ゼラニウム」


 チッペンデールは猫足のこと。ピアノによくある脚部。調律師に有利になるアイテム。となるとクラシック系? 半生を描いた伝記? 容器はカルトナージュ、そして布でできた花、ゼラニウムも。中身は紙でできている。ひとまわり大きい蓋。本当にグラスが入っているみたい。


「その通り。どう? 絞れた?」


 催促するジェイド。まだ解けていないところを見ると、少し嬉しい。

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