表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
オードリー・ヘプバーン
173/317

173話

 だが、そのやり方はオードには不評。なかなかたどり着けずジリジリとストレスとして蓄積していく。


《……まわりくどい。つまりどういうこと?》


 どんな違いがあったか思い出せない。なんか合唱隊みたいのが歌っていたような。


 ジェイドとしては、一番有名なギター片手に、のシーンは取り扱わないことにした。それよりも心情が見え隠れするのは最初と最後。


「テーマとしたのは対比。同じ曲でも全く違うってことさ」


《…………なるほど……いややっぱ全然わかんないわ》


 数秒間使って思考したがオードはギブアップ。お手上げ。降参。


 そして本題とは少しズレるが、ジェイドはあることを提案。


「それと、今回は最初に食べてもらいたい人がいてね。お店に持っていくよりも先にそちらに持っていきたい」


 お詫びも兼ねて。色々と迷惑もかけてしまったし。


 自分としてはもう、他にできることはないので、オードとしては任せるしかない。了承する。


《まぁ、いいけど。自信はあんの? また見本とかそういうのはアレよ、勘弁》


 すでに二度の前科あり。少しずつこうやって信頼は失われる。いや、最初からそんなには信じてないけど。


 だが、ショコラというものの捉え方が、クロエのおかげで変化してきているジェイド。焦りも緊張もない。


「さぁ? どうだろうね。なれたらいいし、なれないならそれはそれで仕方ない。また頑張るよ」


 全ては運、と割り切る。なら、自分にできることをやるだけ。結果は神様の気分で。


 思っていたものと違うリアクションに、オードは戸惑いを隠せない。


《……なんか調子狂うわね。どういう風の吹き回し?》


 根拠のない自信は、ある意味でこいつの取り柄だったのに。まぁ、変に気負っていないのは、それはそれでいいか。


「いや、まだまだ知らないことだらけだってことがわかったからね。『スマイル』だってあれで終わりじゃない。改良点が今後出てくるだろうし」


 ショコラは日進月歩。明日になったら、今日の常識が壊れているかもしれない。そんな達観した目でジェイドは冷静に取り組むのみ。


 完全に毒気を抜かれたオードは、眠気が勝ってきた。


《なんでもいいわ。あたしは店先に飾れるようなものの依頼さえくれば。じゃ、営業のほうは頼むわ》


 小さく発生した欠伸。そのまま電話を切る。ま、自分にできることはもうないし。あとでどんなショコラだったかだけ、聞いとこう。


 暗い室内に灯る液晶画面。その画面を消し、ジェイドは目を閉じた。


「さてさて。お口にあえばいいけど」


 そして電話を違うところへかける。まだいるだろうか。いないならまた日を改めて。と、策を練っていたら出た。


「あぁ、どうも。ジェイド・カスターニュです。先日はどうも。明日とかって彼女います? ……あの子ですよ、ほら。サロメ・トトゥ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ