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C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
オードリー・ヘプバーン
171/317

171話

 明るさを最小にした寮の部屋。本来は二人部屋なのだが、現在はひとりで使わせてもらっている三五平米。二段ベッドの下で寝転がるジェイドは、意味もなく『もし、上が落ちてきたらどうなるんだろう。痛いのかな』と頭を空っぽにして考えた。


 コーヒーを飲んでしまったからか、少し寝つきが悪い。そういえば、コーヒーが飲まれる前は人々は朝から酒を飲んでいたんだっけ、とどこかで得た知識が浮かび上がった。とすると、カフェインのおかげで人々の生活は向上していったってこと。ありがとう、名もなきどこかの誰か。


 今、この部屋にギターがあれば。窓にでも腰掛けて、歌を歌うのだろうか。いや、外の寒さは尋常ではない。ないな、とすぐに否定。少しだけ習っていたヴィオラ。もしそれがあっても弾かない。というか弾いたら怒られるか。


 ショコラは決まった。オードリー・ヘプバーン『ムーン・リバー』。富を追いかけるホリーと、本当の幸せを手にするホリー。虹。原作とはかなりストーリーが違うけど。


 不意に携帯が鳴る。誰からかかってきているのか。見ずに出る。


「オードかい? そっちはどう? なにか案はある?」


 違ったら、という考えはない。我々は繋がっている。というのは言い過ぎているか。ただ、数分前にメッセージを送っておいたから。きっと彼女。違ってもフォーヴくらいなものだろう。


 開口一番に畳み掛けられ、不満そうな口ぶりでオードが応じる。


《……あるっちゃある。けど、あんたのショコラに合うかはわからない。条件があるとすれば——》


 自分のアイディア。猫。そしてオードリー・ヘプバーンという人物が監督を困らせたこと。そして、カルトナージュ。容器はこれしかない。


 その箱と、ジェイドのショコラ。問題はない。ショコラは形を変える。ホリーのように。


「なるほどね。いいだろう、そのように調整する。むしろそのほうがいいかもしれない、私としても」


 これで完成。しかし猫か。意外だな、と少し人物像を深掘りできたような気がして楽しい。


《……今回はないの? その、前のクイズ、みたいな》


 警戒するオード。その声色がソワソワとしている。


 電波越しでもわかる、いつもと違う雰囲気に、ひっそりとジェイドは優越感に浸った。


「ないね。なんだ、楽しんでいたのか。用意しておけばよかったかな」


 口では面倒だと言いつつも、前回の角砂糖の件は楽しんでくれていたようで安心した。今回は勝手に作っているので、誰からもなにも言われていない。

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