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C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
オードリー・ヘプバーン
152/318

152話

「お? 対抗する? 勝負しちゃう?」


 安全な場所から見下ろすキーラには、若い者同士でギラつくのは楽しい。どうせワンディも同じだろう。


 しかしすぐさまクロエは否定。


「いえ、売上などで勝負する気なんてありませんから。というか無理でしょう。この店が『WXY』に勝つなんて」


 勝手に弟子同士をライバルに認定していると予測。ジェイドさんも絶対弟子と思っていないはず。


 痛いところを突かれ、一歩後退するキーラ。


「……言うねぇ。まぁ、そうなんだけど。ターゲット層も違うし、しょうがない。で、どんなの?」


 なにも間違っていないので、進行の妨げはしない。実際、日々の売上は倍以上だろう。同じ地区だが、やはり観光客が飛びつくのはあちらだし?


 キッチンのほうをチラッと見て、よし、とクロエはひとり首肯。


「今、考え始めたばっかりなのでわかりませんが……」


 喋りながらも様々にイメージで失敗を繰り返す。黙ってからも何度も。その中でひとつ、まとめきった。


 キリのよさそうなタイミングをキーラは選び、一応聞いてみる。教えてくれないと思うけど。


「どんな?」


 口元を手で覆い、言いづらそうにしながらも、クロエは重く口を開く。


「……チャップリン、好きな言葉があるんですよ。ネットで知った言葉なんですけど、それをショコラにしてみようかなと」


 自己啓発として色々と探っていた頃見つけた言葉。今、それを形にしてみたい、と。


 しかし宣言されたキーラとしては驚き以外のなにものでもない。


「音楽じゃなくて?」


 向こうが音楽でくるなら、こちらも同じ土俵に立たなきゃ。サッカーと野球でどっちがトライを多く決められるか、みたいな勝負になってしまう。


 その提案も即座に拒否するクロエは、そもそも手料理を振る舞いたい、程度にしか考えておらず、勝負という概念はない。


「それはジェイドさんにお任せしますし、別に競ってるわけではないですから。ふと思いついただけです」


 全く違う趣旨のショコラ。同じで作ってもそれはそれで面白いかもしれないが、まずは自分のやりたいように。


「で、どんな風にするの」


 もう一度だけ、キーラは尋ねてみる。ほんの少しだけ……!


 その想いが通じたのか、一度キッチンのほうへクロエは向かう。


「お? お?」


 期待しつつキーラは待っていると、すぐにクロエが手に道具を携えて戻ってくる。


「これを使ってみようかと」


 そう言い放ち、両手に広げて見せたモノ。


「……これは……そういうこと」


 そこから想像できるもの。キーラはなんとなく思い描いたが、うん、中々面白いんじゃない? と、太鼓判を押した。

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