表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
オードリー・ヘプバーン
151/318

151話

 またも手を止め聞きいるクロエ。なに、なんだって?


「……チャップリン? 売り物じゃないって——」


「オーナー判断でダメだって。よりによって権利関係が厳しい人物を選んじゃったね。御愁傷様」


 あーあー、とキーラは表情を歪めた。まぁ、そういうこともある、と顔も知らぬ新人さんに同情。同時に、新作を作る難しさを知るといい。


 明らかに仕事のスピードが落ちたクロエ。なにか考え込んでいるのか、呆けながら同じところを何度も拭き取る。


「……それって見ることできますか?」


 ふと、なにか決意したようにクロエは自分の欲望を吐露した。見たい、見てみたい。そんなテーマ、考えたことなかった。マリー・アントワネットに続いてチャップリンて。


 常に平熱だと思っていた少女の、一瞬見せた炎。目を丸くしたキーラだが、すぐに笑む。


「できるよ。なんだったら今度、終わったら行ってみるといい。向こうはよくて、こっちはダメってことはないだろう。電話もいいけどね」


 ショコラトリーは基本、争うものではない。それぞれの店にそれぞれの味と個性があり、必要とあらば観光客などの要望を聞き入れ、お互いに紹介もする。ショコラの存続と発展には、若い力が必要。違う店であろうと、気兼ねなく教え、教わる国民性。


 しかし腑に落ちないクロエ。どこからきたアイディア?


「なんでチャップリンを? 映画スターだとは思いますけど、音楽っていうのは」


 なにかをイメージ、というのはよくある話。ブッシュ・ド・ノエルなどはいい例で、クリスマスの切り株という意味で定番である。だが、形として存在しない『音楽』というテーマ。ある意味で自由、やりたいようにできる。全く想像がつかない。


「私も知らなかったんだけど、チャップリンは音楽まで担当していたんだって。そこからショコラにしよう、なんて普通は思わないけど、若いっていいねぇ」


 ぶっ飛んでるね、とキーラは上機嫌。少しその子にも興味が出てきたし、カルトナージュ前提で作られているという、もうひとりの子との信頼感。相乗効果で高めあうのも楽しい。普通は店の名前がプリントされた箱などに入れるだけだし。通常に販売されるようになれば、カルトナージュの需要も増えるだろう。ショーケース用の見本、で終わらない可能性。


 半開きになったクロエの口内で舌が動く。声には出ていないが、言語化して脳内で形としていく。


「……ひとつ、作ってみてもいいですか?」


 ある程度まとまったところで提案。完全ではないが、思いついたものがある。たしかチャップリンは——。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ