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C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
オードリー・ヘプバーン
149/317

149話

「今のところはこれというものは。決めあぐねている、ということは、なにも決まっていないということさ」


 あっけらかんとジェイドは進捗報告。色々なところにヒントがあるのはわかる。だが取捨選択に戸惑う。捨てていいアイディアなのか、残すべきか。引越しする時も思えば結構悩んだなぁ。


 ここで叱咤激励でもするべきなのかどうかはわからないが、オードからしたらダメならダメで他の方法を捻り出すわけで。連続して期待を裏切られた結果、あまり過度にはしないほうがいい、という結論に至った。


「ふーん。ま、あたしができることといえば、カルトナージュしかないわけだから。効果的なアドバイスを求められても無理無理」


 できることとできないこと。人にはそれぞれある。自分にショコラ作りは荷が重いし、コイツにカルトナージュもそう。完全分業制。適当に待つ。


 なかなか力を貸してくれそうにない相棒に対し、初の共同作業を思い起こさせるジェイド。


「だが前回の角砂糖の件。二人だからこそ解決できたわけだ。あれだよあれ。私達ならなんとかなる」


 ほら、ゆっくり深呼吸して、と催眠術でもかけるかのように優しく語りかける。


 だが、オカルトの類も一切信用しないオードには全く効かない。


「あたし、なんかやったっけ? あんたが結局解決したんじゃない? いまだによくわかってないし」


 少しだけ悔しそうにしたあと、話を進めるジェイド。


「オードが修道士とマリーに気づいてくれなかったら、きっと正解できなかった。それに、花をイメージしたカルトナージュ。あれは見事だ。仕掛けまであるなんてね」


 予想以上、想定以上のものを作ってくれた。桜をイメージしたもの、とそれだけで。どこかでいい閃きでもあったのだろうか。


「純粋なのとは違うけどね。なんとなく、いけると思ったから」


 収納されていた花びらが開く演出は、カルトナージュというよりかは手芸の一種。まぁ、オードにはルールなんてない。あっても知らん。


 やはり彼女しかいない、とジェイドが心に決めた瞬間だった。自分の勘が怖い。


「ショコラはショコラだけでは完成しない。料理は容器も込みで料理だからね。今後も頼むよ」


「いいからなにかアイディアを出せ」


 遅々として進まない作品。だが、オードはこういう時間も案外悪くない、と考えを改め始めた。

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