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C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
オードリー・ヘプバーン
147/318

147話

「奢ってないからね。ちゃんと返しなさいよ」


 なにもかも忘れてピスタチオ脳になっている人に、現実を突きつけるオード。まぁ……給料日あとでいいけど……と、期限は設定しない。


 その後すぐに到着。アンバサドゥール公園。シャンゼリゼ通りに面しているというのに、穴場で知られる場所だ。観光客もあまりおらず、地元民もこぞって集まるわけでもない。低めの柵で仕切られた芝生の木々と歩道。ベンチが多く備え付けられており、軽いランニングで汗を流す人々を見ながら二人は座る。


「で、これにどうすんの? かけるだけ?」


 気温は低くなってきているとはいえ、当然少しずつ溶けてきているカップに入ったグラス。オードは急かすが、その前にバニラそのものの味を。うん、美味しい。いや、これでよくない? むしろ変えたくない。


 ヒョイっとスプーンでバニラを掬い、ジェイドも味を確かめる。そして瓶を開ける。


「で、これを乗っけて食べてみると——」


「いや、なにサラッと食べてんの」


 危うく見逃しかけたオード。あまりにも自然すぎて。油断も隙もない。


 そんなことは置いといて、バニラ味も堪能したジェイドはグラスに少量、カカオジャンをかけて勧める。


「さぁ、どうぞ。感想もぜひ」


 色合いはカカオと醤油なので褐色。バニラの白とコントラストが美しい。店でやったら追い出されていたかもしれない。


 おそるおそる口に運ぶオード。食べた瞬間は少し眉を寄せていたが、味わってみると案外。


「……うん、カカオの苦味とソジャのコク、みたいな。アリ、かな」


 好感触。味がより複雑になって、楽しいものになる。おかわりしてみるが、たしかにバニラだけとはまた違った良さ。これ、オプションとして出せばいいのに。


 オードがプレーンな味と比べていると、ガサゴソとジェイドがリュックを漁り、またも瓶を取り出す。


「で、こっちの粒タイプのもかけてみると……」


「いや、まだあんの?」


 まぁ、もらうけど。いや、カカオジャンって何種類あんのよ、とオードは家に帰ったら探ってみることを誓う。


 カカオジャンに使われている醤油は、発酵食品同士なら掛け合わせることができるのでは? という考えから生まれた。これ自体に甘さはなく、風味をプラスする役割。醤油とはまた違った使い方ができ、全く新しい調味料となっている。


「こっちはザクザクとした、クランチのような食感が楽しめる。この辺は好みだね」


 ペーストと粒、二種類存在するため、使い勝手もいい。魚料理や肉料理にも合うが、グラスにも合うのでは? とジェイドは密かに考えていた。

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