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C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
オードリー・ヘプバーン
136/317

136話

 そこから学んだ、自身なりの解答。ジェイドは胸に刻む。


「失敗ではない、違う成功、というわけですか」


 そんなことをエジソンも言っていた気がする。


 明日は香り付けにリキュールでも入れてみようか、そんな新案がクロエに思いつく。


「そうです。だから、どんなショコラも成功なんです。自信があれば、値段を釣り上げてもいいんだそうです」


「……なるほど」


 納得した。ジェイドは残ったシェケラートを全て飲み干し、体に浸透させる。収穫があった。大きな。


「勉強になりました。すごく。美味しかったです。どこで洗えばいいですか?」


 グラスを持って片付けに入る。その他、シェーカーなど、自分が飲んだものは清掃しないと。


「大丈夫です。私もいただきますから。そのままで」


 ショーケース上のトレンチを示すクロエ。ここに置いておいてください、と指定した。


「すみません、ありがとうございます」


 乗せてまとめるジェイド。またここには、営業時間内に来よう。しっかりとこの店の味を知りたい。


「ん? もういいの?」


 ダイキリを三杯はすでに飲んでいるワンディが、どこかに行こうとする部下を引き止める。そろそろシェケラートも飲みたくなってきた。


 酔っ払いは引き取るべきかもしれないが、とりあえずそのままでジェイドは先に帰宅する旨を伝える。


「はい、ごちそうさまでした。よろしければ、ウチの店にも」


 ライバル、とは言えない。自分は彼女と肩は並んでいない。友人、とさせていただきたい。勝手にだけど。


 そのテレパシーが伝わったのか、クロエは微笑む。


「ぜひ。実はたまに行っているんですけどね」


 と、ここで新事実。『マリー・アントワネット』も見に行った。本来は『WXY』の関係者のみらしいのだが、ワンディに半ば無理やり。


「そうだったんですか? 気づかずすみません……」


 失礼なことを言ってしまった、とジェイドは反省。ひとりひとり、お客様の顔をしっかりと見て対応せねば。また学んだ。


 クロエも、少し落ち込ませてしまったようで、急いで取り繕う。


「いえ、そちらはカフェもあって忙しい時間帯が多いでしょうから。実際、いつも並んでるくらいですし」


 彼女にとっても、まさか見本のためのショコラは初めてだった。認めている、というと上からみたいで言えない。友人、と言えたらいいな。


「では、また」


 今度こそ店を出るジェイド。早く次のショコラを作りたくてしょうがない。考えて作るのはやめだ。その時その時、刻々と変わるその人に最適なショコラを。私達は、笑顔にするためにショコラを作っているのだから。

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