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C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
チャールズ・チャップリン
104/318

104話

「気づかないかい? ダコワーズとマカロンの話。要は『同じものでも、ほんの少しだけ調理の仕方を変えろ』と言っているようだ。ということは、なにか違うものを染み込ませていた、そう捉えられないか?」


 そもそもがダコワーズとマカロンの話は、ヒントになっていたのかわからない。ただの会話のネタの可能性もある。だが、様々な可能性は吟味するしかない。その視点から穴を空けてみる。


「そう……なのかな。そう?」


 ずっとショコラだと考えてきたため、オードはうまく飲み込めない。とりあえずそのまま会話を続行する。


「そう捉えてみたよ私は。合っているかはわからない。そしてその液体。おそらく酒だ」


 確実な証拠があるわけではない。可能性が高いだけなので、ここからは推測になるよ、とジェイドは前置きする。


 その想定でオードも考えてみる。たしかにそういうものがあることは、自分も知っている。


「酒? ラム酒とか? ショコラに使うこともあるし」


「いや、ラム酒はすでにサトウキビが原料となっている。そこにさらに角砂糖を合わせるとは思えない。なにか甘味を抑えた酒だ。おそらくね」


 ラム酒はたしかに、ショコラ以外にもケーキやタルトなどの焼き菓子に、風味をつけるために使用されることもある。そのため可能性はあったが、角砂糖との相性を考えた時、しっくりこないとジェイドは否定した。


 少しずつだが、たしかに謎を解いている感覚をオードも実感する。そう考えると、いずれは答えにたどり着けそうだ。


「なるほど。それなら少しずつ齧ったり、舐めてゆっくり味わうことができる。アリかもね。で、それから?」


 さらに核心に迫るため、情報を引き出そうとする。しかし。


「それだけ」


 くー、っと悔しそうにジェイドは机をバンバンと叩いた。


「……は?」


「いいところまではきたんだけどね。そこで終わり。ここまでだ。さっぱりわからない」


 おあずけをくらって呆然とするオードと、降参するジェイド。目線が合うが、お互いに同じタイミングで逸らす。


「……はぁ……」


 実はコイツはなんだかんだで解き終わってる、と心のどこかで考えていたオードは、目に見えて落胆した。なんでこんなことを思ったのか。


 続いて、選手交代とばかりに、ジェイドは話の主導を相棒に移す。


「そっちは? なにかしら考えてたんだろう?」


 連絡の返信が早かったことから、待っていたのではないか、と推測する。普段ならもっと遅く返ってくるはず。さて、どうでるか。


 問われたオードは、慌てた様子で否定する。


「いや、あたしは別に——」


「力を合わせたほうが、ここまできたのならいいと思うけどね。どうする?」


 煮え切らないオードを引き込もうと、ジェイドは協力の申請をした。持ち寄った情報のピースがもしかしたら、うまくハマって絵の全体像が見えるかもしれない。

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