古より住まう山神様は愚かなる人類(主にお姉さん)にお怒りのようです。
人とは……愚かなる生き物なり。
哀れで、か弱く、醜く、そして何より浅ましい。
文明がどれ程進化を遂げようが、人間そのものは毛程も進化などせぬ!!
愚かなる生き物よ……!
我の目の前から消えよ──!!
「うー、ダメ。飲み過ぎた……あかん、吐く……ぅ」
「お姉さんお姉さん。ちょっとそこいいかな?」
「ぅ……えっ? あらやだ、いつの間にいたの?」
「そこ、僕の家なんだよね。出て行って貰ってもいいかな?」
「…………え?」
「だーかーらー。ここ、僕の家。お姉さんココでゲロゲロしちゃ駄目。オーケー?」
「……神社……だよね? ここ……」
うぬ等が作り出した酒に酔い、前後不覚に陥るまで酔い潰れる哀れなる人類よ……愚かなり!!
「分かったら出て行って、ね?」
「ぅ、ダメ……吐く」
「うわわわわ! 待って待って!?」
「♡&*#▲♬〓★●▲□☞♧!!」
「あーっ!! ココで吐かないでってば!!」
「ぅー。賽銭箱の中がパンパンだぜぇぇ……」
「スッキリした顔で寝るなー!!」
なんと弱き生き物だろうか……。
飲み、吐き、そして寝る。
無邪気を通り越して哀れが過ぎる。
──チュンチュン
「……あれ? ここは? なんか埃臭い……」
「起きた?」
「誰!? 何処!? なんで私下着なの!? えっ!? やられた!? 掘られた!? 犯された!?」
「お姉さん寝たままゲロゲロしたか──」
「変態野郎ー!!!!」
──バチィィン!!
「警察に訴えてやる!!」
「……ぶたれた」
なんと愚かな。この山の神に向かって手を上げるとは……。
自らの不始末すら片付けられぬ愚かなる人間共を、これ以上生かしておく理由などありはせぬ!!
我の神通力が満ち満ちる満月の夜、人類を無き者へと葬ってやろうぞ……!!
「あ、あのー。この前はゴメンね♪ よくよく思い出してみたら、賽銭箱とかお布団とかアレだったよね?」
「…………」
「お詫びにさ、おにぎり作ってきたから、ね? 許してよ♡」
「…………」
……人類の存続については、また今度とするとしようぞ。