第3話 勇者が入学を決める話
それからは街をひたすら走った。かなり長い距離を走っているはずだ。なのに俺の身体に疲労はなく、息切れ一つしていなかった。
(なんでだろ?)
そう思った時、少女はやっと止まった。
「……魔力が限界。お腹すいた」
「魔力だとおぉ!?」
「……そんな驚くこと?みんな使えるのに」
「e?まさか俺も使えるのか!?」
「……痛い。離して」
すっかり興奮してしまい、思わず少女の肩を掴んでしまっていた。
「……みんな使える。この天才が言うから間違いない」
天を仰ぎ、涙を流す。住み慣れた場所を離れ、寂しさがあったが、それも吹っ飛んだ。
「……あなたにも回復魔法かけてたから疲れた。ご飯食べよ?」
「そうだな。まず、ご飯にするか」
適当な近くにあった屋台で、ハンバーガーが売っていたので、ポケットの財布を取り出す。
「おっちゃん、これ一つお願い」
「あいよ!毎度あり!待て、それなんだ?」
俺の手にある日本のお金をおっちゃんは見つめ、眉をひそめている。あ、ここ、もしかして………
「ごめん、ここでは使えない?」
「いや、そんな金見たことねぇよ。金無いなら帰れ」
「……私払う」
はい来た。はい来たよ女神様。
女神様のお陰で無事(?)買うことが出来た。近くにあったベンチに腰を下ろし、一口ハンバーガーモドキをかじってみた。地球のハンバーガーとあまり変わらなかったが、お腹が空いていたためかとても美味しく感じた。しばらく二人で無言でハンバーガーをかじる。食べ終わり、最初に口を開いたのは少女だった。
「……名前聞いてもいい?」
「そういや、まだ言ってなかったっけね。俺は、鈴木悠斗だよ。おまえは?」
「……私はセレナ。見ての通り、天才」
「どこが」
「……この隠しきれない天才オーラに気づかないか貴様」
「出てないくせに」
めっちゃ頭叩かれた。一騒動あった後、俺が異世界から来た事を話すと、
「……だから何もわからないの?」
「うん、まあ、そうだね」
「……住むところもない感じ?」
「うん」
「……じゃ、剣聖学院に入る?」
なにそれ、と一瞬思ったが、転移後目の前にあった学校の名前が国立剣聖学院だったのを思い出す。きっとそこの学生寮とかだろう。
「……そこでは全くお金が必要ない」
「生活費無料?」
「……ん、国が負担する」
「行きます」
「……じゃ、行こ」
今走って来た道を歩いて引き返す。セレナが口を開かなかったので、俺は無言で街を観察する。子供連れの母親や、鎧を着込んだ屈強な男、軽装備な女の人などが歩いている。時々ブクブクに太った商人らしき男が馬車でゆっくりと通り過ぎていく。笑い声がよく聞こえてくるような、平和な街だ。しばらく歩き、学校の前に着いた。
みょんたですー。投稿ペース遅いですが許して!学校の定期テストあるんです!勉強頑張るでー!まあとにかく、ブックマーク、感想、友人への紹介などなどよろしくお願いいたします。これからも悠斗を見守って下されば幸いです。では次の投稿まで!ばーい!