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プロローグ
我らはまつろわぬ民である。
何処かより来たり、何処かへと去る。羽を休める枝こそあれ、根を下ろす地などない。
心せよ、同胞よ。我らが祖神の寵愛を受けし子らよ。
我らの祖神は流された赤子であり、流れ来た客人であり、災厄を運ぶ厄神であり、誰にも救われぬ者に唯一手を差し伸べるモノである。
心せよ、同胞よ。我らが祖神の寵愛を受けし子らよ。
孤独を嫌う祖神を、満たされぬ愛を求める祖神を、とめどない愛を注ぐ祖神を、慰め得るのは我らのみである。
故にこそ、心せよ。我らの子よ。
異貌の神の徒ですらも、我らにとっては哀れな子羊である。