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GUARDIA(グアルディア)  作者: アクア・リーオ
序章~壊れたモノと託されたモノ
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託されたモノ

 今まで投稿していたのを消し、書き直しました。

宜しくお願いします。




バーン!

「父さん! 母さん!」

「!! 君は……」



 あれから、どこをどう来たのかは省くが悠也はココに辿り着いた。

 そこには、ベットの上で沢山の管に繋がれ、包帯だらけの両親が対になるように横になっていて、それを囲むように数名の看護師と医師1人がいた。医師達はいきなり入ってきた悠也にビックリして手を止めてしまった。

心電図のピッピッとなる音が響いている。


「は、いかん! お前たち何してる 早く戻れ!」

「「「は、はい!!」」」

「……君ね、急いで来て欲しいとは言ったが急に入ってくるのは駄目だ 誤って、があってはならないからね」

「……両親は助かりますよね……?」

「…………ベストはつくそう だが、危険な状態であるのは確かになんだ…… ココが山場になる…… 持ち直すかどうかはご両親の気力次第だ……」

「そんな……!」


 悠也は、医師の言葉に顔を伏せ、拳を握り締めた。

医師もこれ以上言う事はなく、自分がすべき事へ戻っていった。悠也はただ立ち尽くしていた。今ココで自分が出来る事はない、それが一番辛かった。部屋には、慌ただしく動く医師達の音と機械音が響いていた。


 暗く沈み込みそうになっていた悠也の耳に――


「…………ゆ、悠也……」


自分を呼ぶかすれた声が聞こえた――


「「「!!」」」


 悠也の父―龍一が意識を取り戻したのだ――


「……と、父さん……?」

「先生! 龍一さんの意識が戻りました!」

「龍一さん! 私が分かりますか!? 龍一さん!」


 まるで来たのが分かったかのように反応した龍一に、周りの看護師は驚きはしたがすぐさま声がけを開始する。が、龍一の視線は誰かを探すようにさまよい呼び掛けに答える様子がない。視線を動かし続け、ドア付近で立ち尽くしていた悠也をに捉えると目を細めると口を開いた。


「悠也…… こんなことに…… なってしまって…… すまない……」

「!! 父さんたちは悪くないよ! 巻き込まれただけなんだから……!」


 悠也はハッとした後、すぐ龍一に駆け寄った。

近くに来た事によってはっきり見えた父、龍一の顔は包帯で大半は覆われていて出ているとこは右目と口だけで、事故の悲惨さが改めて感じられる。だが、父の纏う柔らかな雰囲気は変わらず悠也を安心させてくれるものだった。


「……早くよくなれよ」

「……ありがとう ……お前は優しい子だな……」

「……何言ってんだよ…… ハズいからやめてくれ……」

「はははは……」

「たく……」

 

 看護師たちは状況確認をしよう声を掛けようとしたが、その様子を見ていた医師が止めた。龍一の様子に何かを感じ取ったのだろう。色々と聞くことや確認することもあるだろうに、割って入ることはせず看護師たちを集めると移動していき、悠也と龍一の様子を見守るように壁側にたった。


「……悠也 ……これを受け取ってくれ」

「これは……」


 父が先程までとは違い、真剣みを帯びた雰囲気をだし包帯だらけで、管が沢山付いた左手を出し差し出した。

その手に付いていたのは腕輪ブレスレットだ。

鎖の部分がドラゴンがモチーフになっていて、タグを繋ぐように両側に噛む様に繋がっている。タグの中央には青であり緑にも見える石が嵌め込まれていて、その周りに様々な彫がはいている。悠也は困惑しながらもソレを父の腕から外し受け取った。だが、今ココでこれを渡した父の考えが分からなでいた。確かに今日は自分の誕生日ではあるが、そんなのは両親の怪我が治ってから貰えれば良い。そう言いたかったが、父 龍一の纏う雰囲気が先程とは打って変てピリッとしたもので、悠也はどう反応していいのか分からないでいた。


 龍一は渡した後、黙ったままだったが覚悟を決めたように、開口一番にこういった。


「……コレを、お前に託す ……お前を守るモノだ」

「な…… 何言ってんだよ……」

「……ごめんな ……一緒にいてやれなくて ……守ってやれずに ……しかも ……こんな形で巻き込む形になってしまうなんてな……」

「おい! しっかりしてくれよ!」

「……ダメな父親でごめんな」

「そんな……!」


 父親の最後とも取れる言葉に悠也は泣きそうになる。

そんな言葉聞きたい訳じゃない。これからだって一緒に生きると言ってほしいだけなのに、言ってくれない父に心が締め付けられる。


「…………私もよ……」


 そこに女性の声が入ってきた。


「 !! 母さん!」


 悠也の母―弥生 だった。


 父―龍一と同じように包帯で顔を覆われて、見えているのは龍一と反対で左目と口だけだ。


「……すまないな、弥生 ……お前との約束 ……守れ ……なくて」

「いいのよ…… 覚悟はしてたもの…… だけど…… 悠也だけはまきこみたくなかった…… ……だから ……出てきたのに」

「ホントにな…… 結局は縛られる 〟     〝の因果は…… 相当に…… 深い……」

「母さんも父さんも何言ってんだよ……!」


 ドア側に面していた父の左に居た悠也は2人のベットの間に移動し、訳の分からない会話を続ける両親に堪らず話に割り込んだ。悠也の顔は、泣き出しそうな程歪んでいる。

 2人は悠也の方に顔を向けた。その眼には涙が浮かんでは目じりから流れていきシーツに吸い込まれていった。


「……悠也 ……ごめんなさいね 貴方を…… 置いて逝く事になって……」

「嘘だ! 嫌だ!!」

「これから ……色々大変な事が襲い掛かってくるだろう ……信じられない事ばかり起こるだろう…… けど ……悠也なら ……お前なら ……やってくれると ……信じている」

「母さん! しっかりしてくれ!! 父さん! どういうことだよ! 何が起こるんだよ!!」


 悠也は、叫ぶ。目からはもう止めどなく涙が溢れて頬を伝っていく。だが、悠也の悲願の声も虚しく母―弥生も父―龍一の目からは徐々に光が失われていき、声もかすれていく。


「……私…… たち…… は 逃げた…… けど ……悠也 ……なら」

「ああ ……〟   〝も ……変えて くれる だろう……」

「かあさん!! とおさん!!」


 2人の死がそこまで迫っている。それでも、叫ばずにはいられなかった。理解したくないと心が悲鳴をあげる。その心情のままに悠也は、両親を呼び続ける。

 医師達は目を閉じて、助ける事の出来ない命に悲痛な面持ちで見つめている。

何もしない してはいけない しないでくれ そんな風に言われているようで口もはさめず、ただそこに立っている事しか出来ずにいた。


「母さん!父さん!」

「…………悠也」


 2人が手を―龍一が右手を弥生が左手を―悠也に差し出した。悠也は差し出された手を自分の頬に持っていた。もう、助からない。何で、どうしてと、思っても自分の大事な人の命が消えていくのを止められない。

 

「……悠也 ……コレを ……絶対に ……肌身離さ ……ず もって いろ」

「必ず ……貴方 の ……力に な るから……」

「……あぁ グスッ……」

「何か…… あったら アイツを頼るんだぞ……」

「分かってる…… ズッ」

「最後まで ……ダメな親で ごめんなさい ……ね」

「駄目じゃな!! 俺にとって! 俺にとっては自慢の両親だよ!!」


 悠也の言葉に嬉しそうに目を細めると、2人は満足げに互いを見合い微かにうなずき合った。

悠也に視線を戻すと、微笑み。声を揃えていった。


「……悠也 お前は俺達の自慢の息子だ 愛してるよ」

「……悠也 貴方は私達の自慢の息子よ 愛しているわ」


ピ―――――――


 心電図の音が部屋に響く――


2人の―両親の命が消えた事を告げる音だった――



「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 病室には悠也の声が響き渡る――


 今日、この日――


悠也は両親を失った――


楽しい日になるはずの日が、両親の命日へと変わった――


 悠也の手には父から渡された腕輪(ブレスレット)が握られている。


コレがこれからやって来る〝非日常〟へ繋がるモノ(鍵)だとは――


 悲しみの中にいる悠也には――


知る由もなかった――





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