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GUARDIA(グアルディア)  作者: アクア・リーオ
序章~壊れたモノと託されたモノ
4/7

壊れた日常2


「……はぁッ……はぁッ……」


 悠也は走っていた。

ただただ走っていた。 

先ほど仲間たちと通った道を―― いつも買い物をして帰る商店街を――

自分今、出せる全速力で走っていく――


ざわざわ ブロロロロ――

 ――いらしゃいませ~! きょうはカボチャが安いよ~  あらじゃあ一つ貰おうかしら まいどー!

 ――!! おいアブねぇじゃねか! きーつけろ!!

「ッ!? すんません!!」


 人にぶつかりそうになりながら、謝りながら、足を止めることなく走っていく――

今は夕飯時ということもあり、主婦の方はもちろん。仕事帰りの人出で賑わうこの商店街は町の中心にあり、ここを通り抜ければ悠也の両親がいる繊月(せんげつ)病院まですぐそこだ。


「……ッ! ……ゲホッ!……クソッ……!」 


 商店街を抜けると、繊月病院の建物が見えている。息は荒く、せき込むようにもなっていた。ここまで走ってきた足は限界に近いだうが、足を止める事はなかった。


「……はぁッ……はぁッ……着いた……!」


 病院の前につくとその勢いのまま中に入ってい行った。中にいた人が驚いた顔を向けるが悠也は気にすることなく受付に向かた。

カウンターが近づき足を止めようとしたのだが、人間も車と同じ。急になど止まれるはずはなく、その勢いのままカウンターに手を突く形になってしまい、カウンターが衝撃で ガタン! と大きく音をたてた。

 その場にいた人達は勿論、音に驚いた人達が受付にいる音をたてた人物であろう悠也に疑心の視線をむける。受付をしていたであろう看護師のお姉さん方も、唐突に表れた男の子を前に体を後ろに引いて驚いていた。だがすぐに冷静さを取り戻してはいたが、声をかけるのをためらっているようだった。そんな中で1人の女性が悠也の前にでてきてくれた。


「……すいませんがここは病院ですので、申し訳ございませんが声のボリュームや騒音は他の患者さんのご迷惑になりますのでおやめください どうかされましたか?」

「……! すいません…… さっき警察から電話があって、両親が事故でここに搬送されたって言われて…… 俺の名前は神澤悠也って言います…… 両親はどうなったんですか……? 大丈夫何ですか……?!」


 悠也は、不安からくる恐怖で身体は今にも突っ走りそうななほど落ち着きがない。そんな悠也の両肩にそっと両手を置いた看護師を、不安な面持ちで見上げる悠也。看護師は悠也に落ち着かせるように言った。


「まずは君が落ち着こうね 神澤悠也君だったね 待っていたわ 貴方のご両親は今治療中です 容体とか今後の事とか先生からお話があるわ 面談ルームに案内するね 警察の方も中に居るわ 一緒に行きましょう? 他のご家族や親戚の方とかいる?」

「……はい…… 家族は俺だけで、親戚には会った事がありません…… 両親もいないと言っていました……」

「そっか…… じゃあ、行きながら聞いてもいい?」

「はい……」

「待って下さい!! 大変です!!」


 看護師に案内され、一緒に受付から離れしようとしたその時。

受付の奥から慌ててた様子で一人の看護師の女性がカウンターから出てくると悠也達に近寄ってきた。


「今、先生がおられる棟にご家族が来られた事を連絡入れたんですが! ご両親が危ないって言われて!!」

「!!」」

「! 嘘でしょ!」

「至急、xxxxに来てくださいと! って悠也君!」

「!! 待って! 悠也君!!」


 悠也は走った。後ろから2人の看護師の声がかかるが、それを振り切り病院の廊下をかける――

広い院内は軽く迷路だ。場所は分かったがどこに有るかは聞く前に飛び出してしまったので分からない――


 分からないはずなのだが、案内板を見ることもなく悠也は足を止める事無く走る。

まるで、行く場所が分かっているかのように――――








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