始まり
ここは見渡すばかり闇だった。
闇しかない場所だった。いや、場所と表現していいかもわからない。
そこは、所謂〝墓場〟と言われる場所だった。
ここには、あらゆる場所の〝終わったモノ〟〝あってはならないモノ〟〝存在してはならぬモノ〟が消滅し、裁かれ、ココに流れてきてたまる。
ココでは、闇が支配し、闇が全てで、闇でなくてはなくてはならない場所だった。
だが、〝ソレ〟はそこにいた……。
存在として、そこにあった……。
それは、消滅していなければいない場所で、〝存在〟していたのだ……。
かつてソレは、ドコカの王だった……。力が全て。ソレが全ての世界だった。ソレがその場所で自分の理想を追い求め、追い求める過程で〝戦う〟〝奪う〟は必然だった。そのやっていく過程でソレが手にした〝能力〟は強大で、ソレはその世界の頂点に君臨する王となった。
だが、その〝能力〟はソレの世界では【あってはならない】〝能力〟だった。
故に、ナニカノの法に触れ、消滅に追いやられることとなり、いつの間にかココに漂うこととなっていた。
故に、ソレは考えた……。
追いやられたモノ・消されたモノ・存在してはならぬモノ……。
そういうモノが、生きれる場所を創れないかと……。
そしてソレは、その〝能力〟で【創ってしまった】のだ―――…。
闇であり〝墓場〟と言われる、この場所に……。
―――【世界】という、ソレの【理想郷】を―――…。