第8 覚醒
それは、いきなりの出来事だった。
目の前に現れた漆黒のフードを身に纏った3人。
心見に憑りつかれた男より明らかに雰囲気が違う、重く重圧感がある空気あるいは圧力、プレッシャーなのだろうその3人を認知した瞬間、周りの空気が一瞬で変わったのがわかった。
目を離したら一瞬でやられてしまう、アニメや漫画でよくあるシーンだがまさに今のそれがこの場面なのであろう、漆黒のフードを身に纏った3人から目が離さないでいた。
それら3人の纏う圧力にやられたのであろう、僕の行く末を見守っていた人達が次々と倒れていくのがわかったが動けない。
桜さんの事も心配だが、これは本当に先程より危ない状況なのが肌で感じる。
瞬きをしたその刹那動きがあった。
先程数メートル先にいたフードを身に纏った1人が一瞬で目の前に現れ、天照と対峙した。
天照に振り下ろされた手刀は、天照が一瞬で張ったのであろう見えない壁のような物に弾き返された。
「ちっ」目の前に一瞬で現れた相手は、舌打ちをしすぐに後ろに飛び後の2人が居るところまで後退した。
「随分いきなりな挨拶だね、そんなに一瞬で終わらせたかったのかい?アヌビスよ」
天照が数メートル離れた攻撃した奴に向かって話しかける。
「はっ!!!今の一瞬でわかるとはさすがだなぁ!!!天照さんよぉおお!!、なんでてめぇがこんな人間で溢れている場所に来てやがる!!!」
先程攻撃してきた一人が纏っていたフードをバッと取り、投げ捨てて言い放つその声は凄い重圧感をおびて建物が震えるほどであった。
フードを脱いだその姿は、髪は黒髪で逆立ち身長はたぶん168センチくらいで、目の色は紫で肩には犬の首が乗せられており半裸で下は黒いダメージジーンズを履いていた。
「ここがどういう場所かは知っているだろう。ならば、私も人間たちが開催したこのコミケに参加している1人というわけだよ。もちろん現世に影響しない程度にね。」
天照はわらいながらその問いに答える。
「はあ!?日本の氏神の総元締め総大将のお前がこんな下らねえもんに、現抜かしてやがるなんてこれは笑い話だなぁ!!」
「下らなくはないさ、人間たちが作るアニメや漫画、二次創作物は素晴らしいものさおかげで天界でも退屈しないですむからね。」
アヌビスと言い合いを天照がしていると、そこにもう1人のフードを纏った者がフードを脱ぎ会話に割って入ってきた。
「まぁ人間共が作る物は確かに素晴らしい物もありますな。ですが、この二次元創作物ってのはいかんな。いつかあたし達に悪い影響がくるかもしれへんな。」
と答えるそいつは、髪はロングで茶髪綺麗な顔立ちで目の色は茶色そこそこ美人、着物を着ており腕にはお酒を持ちあるいていた。
「なんだ、お前も居たのかいネクタルお酒好きなだけのあんたまで出てくるなんてどういうことだい。」
という天照の問いにネクタルと呼ばれた女性は答えた。
「ふふっなんも理由なんてしれたことどすよ。二次元が邪魔そやし壊しに来たただそれだけどすよ。」
二次元が邪魔?どういううことだ?その会話から察するに3人は一度は面識があることがわかる、そして何だかよくわからないが二次元つまりアニメや漫画など創作物が邪魔だということらしい。
賭は、天照に守られながら話を整理していた。
「去年くらいからなんかいろいろ二次元創作物が関わるイベントに異変が起こってるのは知っていた、だから今年何か起こるだろうと踏んではいたがそうかい、あんた達が原因だったってわけかい。」
天照の声からは少し怒りの感情が声色で感じられた。
「だからなんだって言うんだ!!!二次元なんてぶっ壊れて消滅してしまえばいいんだよ!!!こんな下らないもんはこの世界から消えてしまえばなぁ!!!」
アヌビスという男が言う
その言葉にブチッと切れてしまい怖いのも忘れ叫ぶ
「ふざけんなあああああ!!!二次元が下らないなんて言ってんじゃねええ!!。二次元はな!とても楽しいんだ!!夢や希望をくれたり感動をくれたり時にはつらい展開もあったりするけど、だけどどれも下らなくない!!!何一つ下らなくないんだよ!!!!」
天照の後ろで固まって見ていたのも忘れ、二次元を馬鹿にされたのが許せなくて大声で言い返した。
それに天照もアヌビスもネクタルも少し驚いたようだった。
少しの沈黙の後、天照が答えてくれた。
「ああ!そうだね二次元はなんも下らなくない!!むしろ最高さ!!だから、あんた達止めさせてもらうよ!!!」
天照が振り向くその顔は覚悟を決めたような感じだった。
そして説いてきた。
「賭くん君と今日会えたのは偶然かもしれない、必然かもしれない、それはわからない、だけれどもこの場所で会えたのは運命だ!!!アニメや漫画に習って問おう!!「少年よ・・・力がほしいか?」」
天照が真剣に自分の目を見て答えを待った。
自分はアニメや漫画、それだけじゃない皆が作る二次元の物みんな大好きだ、だからこそそんな場所を大事な場所をめちゃくちゃに壊した目の前にいる奴らが許せない。
「アニメなら・・・漫画なら・・・ってずっと願って妄想して・・・それをずっとやってましただけど、これは夢でも何でもなくて、現実なんですねなら・・・二次元を守れる、皆が楽しめる物を守れる力がほしいです!!!」
天照の問いに答えると天照は嬉しそうに微笑みかけてくれて頭に触れた。
「日本の神天照が願う、汝秘められし力、才能を解き放ち今その力知らしめん!!!」
そう天照が言い放つと自分の身体が温かい光に包まれるのを感じた。
何だか身体を抱きしめられている、そんな感覚を抱くほどその光は全身を包んでいった。
その光が止み目を開け自分の身体を確かめるがなんも変化はない。
アーサーのコスプレをしているただの自分だった。
天照が振り返り、アヌビスとネクタルの方を向く。
「終わったかよ?そんなちっぽけな人間一人仲間にしたところでなにが変わるよ。どうせそこまで強くないだろうに、俺らをとめるだぁ?やれるもんならやってみなぁ!!!!心見!!!!」
そうアヌビスが言うとさっきまで倒れていた心見に憑りつかれた男が突進してきた。
「あっ天照さん!!!きます!!あいつきますよ!!」と慌てる自分を見て天照は言う。
「賭くん君には想像する才能があるはずだ。今までいろんなアニメを見てきただろうそれは君の頭の中で再現されてきたはずだ、だからその力を使ってもらう、さっき買ってもらったカードはあるね?」
そう言われ天照から買ったカードをポケットから取り出す。
「これですね!!!」
「そのカードの剣を手に持ち、今コスプレしているアーサーを想像して自分に乗り移る感覚をイメージするんだ!!イメージ出来たら詠唱をするんだ。」
「いきなりですね!!やりますけど。。手に持ちアーサーをイメージか・・・」
カードに額に当て想像する・・・アーサー自分の中で一番好きなアニメキャラクターとても強くて優しいかっこいい憧れの1人。
心臓の鼓動が早くなる、何だろう・・・大変な状況なのにワクワクする感覚とても暖かい。
するとカードが光りだした。
「イメージが成功したようだね。なら最後に詠唱だ!!!早く」
敵はもうすぐそこまで迫っていた。
天照が見えない壁で抑えているが時間の問題らしい。
息を吸い込み緊張しながら自分の中で考えた詠唱を唱える。
「我、夢見間 賭が願う!!!夢の間!!夢見る間!!!ひとときの瞬間我に力を!!!世界を守る!二次元を守る力を貸したまえ!!!永遠の想像ダウンロード!!!」
唱えるとカードが虹色に光を放ち賭を包む。
頭の中にBGMが流れてくる。
これも自分のイメージの力の一つなんだろうと感覚でわかる。金髪になり白いローブを着け、中の洋服は黒い薄い長袖、胸元には鉄の板があり黒いズボンに青いブーツ先程まで着けていたコスプレじゃない服装に本物の光り輝く剣。
変身が終わるとすぐに握られた剣で攻撃を放つ。
「レジェンドソード!!!!!」
そう叫んで剣を振りぬきアーサーの技を放つと天照をすり抜け心見に憑りつかれた男だけを吹き飛ばした。
成功したのを天照が嬉しそうにこちらを見て微笑んでいる。
「さあ!!!てめえらに!!二次元の力思い知らせてやるぜ!!!!!」




