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二次元の力はこの手の中に!!!  作者: 神咲 勇気
第一章 世界はコミックマーケットから
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第6 不気味な足音は目の前に

ふむ。これはどうしたものか・・・


神子さんと別れ桜さんのメールに書いていた東館の飲食スペースへやってきた。

だが、またもや賭が見たものは飲食店にいる沢山の人であった。

えっ?なに?この中から桜さんを探せと?中々な高難易度なクエストじゃないのか?と思いつつ辺りを見回して見たが桜さんが見当たらない。


「参ったな・・・・これはまずい」


ため息交じりに弱気な声が漏れる。

というのも、スマホを見てみるとどうやら人が密集しているここビッグサイトの電波はいろいろな人に分担されている為繋がりにくいときたもんだ。

先程から桜さんに電話をかけようとしているが、どうやらあちらのスマホも繋がりにくくなっているようで「お繋できません」の一点張りだ。

近くには、それぞれの電話会社が誇るWIFIお兄さん・お姉さんが歩き回っていてもこの状態なのだからかなりの規模で人が密集してるのがわかる。


ちなみに、WIFIお兄さん・お姉さんとはコミケに来ている人達のスマホなどの電波改善の為に導入されている通称人間WIFI隊の事で、背中に大きなWIFIルーターを背負い歩き回りながら繋がりやすくしてくれる頼もしい人たちだ。

ノンストレスで通信ができるのと、その通信の早さからWIFI隊のルーターを沢山の人が使用している、言うなればネットの中継地点が歩いてきてくれていると考えたら良いだろう。

それを使用していても通信が良くならないのはさすがに困ったものである。


それに困った点はもう一つあった。

自分の服装である。

そう、桜さんは僕がコスプレをしてこの格好で歩いているなど知らないのだ。

驚かせてやろうとして教えていないので、あちらが自分を見つけられるのは奇跡に近いだろう。


なので、実際問題合流するには自分で歩いて探すしかないということである。

桜さんの格好は、黒髪ミディアムショート・・でカジュアルな格好・・・あれ?服装どんなんだっけ?

見回すがミディアムショートの女性なんて沢山いる。それに服装なんて少ししか話していないのであまり覚えていないのだ。

自分の頭の悪さにも本当に困ったものだ。

またため息がこぼれる。

すると不思議な声が聞こえてきた。


「壊してやる・・・壊してやる・・・・・二次元など・・・・破壊、破壊、破壊!!!」


そのとても暗く、怨念にも思えるような声に一瞬背筋が凍りそうになった。

だが、バッと振り向いたがそこにはイベントを楽しんで歩いている人達しかいなかった。


冷汗が止まらない・・

辺りを見回してもその声を聞いたあるいは、感じた人は誰も居ないようだった。

空耳?いや確かにあれは誰かが言っていた、心臓が鳴りやまない。


すると、「賭く~~ん」と声がした。


振り向くと桜さんが手を振っていた。

強張ってた身体が一瞬で元に戻った。手を振りかえすと嬉しそうに桜さんは手招きをしていた。

先程の声も気になったが、すぐに桜さんの元へ向かった。


手招きされた先に行くと桜さんはお店の席に座って待っていた。


「お待たせしてすみません。電波が悪くて通信が出来なくなって迷ってました。」

深くお辞儀をした。

「いいんだよ~。ご飯食べようってお誘いしたのは私だしね。」


ニコッと笑顔を見せてくれた。

その笑顔を見て、先ほど聞こえた声はやっぱり自分の聞き間違いだと心の中で振りはらった。

桜さんがせっかく誘ってくれたのに、固くなってはいけないと自分も笑顔を作った。


しかし、不思議なことがあった。


「それにしても、よくこの格好をしているのに自分だってわかりましたね?どうしてです?」


確かに、自分がアーサーのコスプレをするなんて一言も言ってないはずなのになんでわかったのか疑問でしかなかった。

すると桜さんが言う。


「ん~~なんとなくね。賭くんトランク持っているのになんにも目的がないって言ってたから、初めてのコミケだからコスプレ体験するんじゃないかって予想してたのよ。」


「なるほど・・しかしだからと言ってすぐ見つけられるのはおかしくないですか?」


もっともな疑問をなげかけた。


「あ~それはね、賭くんスマホにアーサーのストラップしていたからね。それで、もしかしたらアーサーのコスプレしているのかなって予想したってわけよ。」


恐れ入った・・まさかあんな少しの時間でそこまで見られていて、それにコスプレしている事やなんのコスプレしているか予想するなど凄い頭脳である、もはや探偵だ。

驚いているのを察したのか、桜さんはクスッと笑っていた。


「さっそれよりご飯にしましょう、お腹すいちゃった私」


桜さんはお腹をさすりながらアピールをしてきた。


「あっすみません!気づきませんでした。じゃあ注文しに行きましょう」


荷物を机に置き注文をしに行った。

そして、お互い注文したのを取り席に戻った。

自分はカルボナーラとオレンジジュースで、桜さんはスタミナ丼と呼ばれるお肉が沢山のったものと水という本来逆じゃないか?と言われても可笑しくないメニューを選んだ。


「賭くんカルボナーラって、これからコスプレしながら歩くのにお腹すぐすくかもだけど大丈夫なの?」


「僕体力はある方でこれだけ食べられれば大丈夫ですよ。桜さんはがっつり食べますね。」


「当たり前よ。あまりご飯が食べられないしそれに夕方まで会場を歩き回るんだから少しでもしっかりしたの食べとかないとね。」


と他愛無い会話を楽しんだ。

少し沈黙した後、桜さんが話を切り出した。


「賭くんご飯食べ終わったら西ホールの屋外展示場に行ってみない?」


「屋外展示場ですか??」


確か屋外展示場とは、コスプレをしている人たちが集まって多数のカメラマンさんに囲まれてとられる所であったと記憶している。


「いいですけど、桜さんあそこはコスプレしてる人が沢山いる場所ですけど誰かお知り合いとかがいるんですか??」と聞いてみた。


すると桜さんが

「いえ、居ないんですが沢山のコスプレイヤーさんが集まっているのでいろんな方が見れるんじゃないかなと思っているんですがダメかな?」と聞いてきた。


確かにいろんなコスプレイヤーさんが見られるのは嬉しい事だ、だがあそこの近くは企業ブースも近いのでとても混雑すると聞いているしはぐれないか少し不安であった。

だけど、きっとこの提案は自分を喜ばせたいのもあるのだろうと解釈し返事をした。


「わかりました。じゃあご飯食べ終わったらいきましょうか。」というと嬉しそうに笑ってくれた。


ご飯を食べ終わると、お店を出て先程東館に来たルートを逆に戻り、エントランスに向かい入り口をでて左側の大きな階段を登る。

沢山の人が登ったり、降りたりしていたので階段も人で溢れていたが無事登りきるとやはりそこは人でいっぱいだった。

コスプレイヤーさんが道と区分されたカラーコーン内でポーズをとってカメラマンさんに撮られていた。

女性では少し肌の露出した衣装を着る人も多いので、マナーを守る人はいいのだが、悪質なカメラマンさんもいてローアングルつまり下から撮ろうとしたりする人もいるのでスタッフさんは常に大変そうに見えた。

そんな光景を目の当たりにしながら隣を見ると、桜さんはとても目を輝かせてコスプレイヤーさんを見ていた。

桜さんもコスプレ見るのやっぱ好きなんだなと思いながら一緒に見て回る。

ソードトリガーのアーサーコスプレをしているということもあり、何名かの方から写真を求められ一緒に撮ったりして楽しんだ。


桜さんとも写真を撮ったりもでき少しデートっぽいなと思いながら歩いてると。



「破壊・・・・破壊・・・・破壊・・・・アニメなんて漫画なんて・・・二次元なんて・・・二次元なんて・・・・・・この世界なんて!!!」


今度ははっきり聞こえた。

さっきよりもドロドロと地獄の底から聞こえてくるような声で。

破壊?二次元を破壊?どういうことだ?どこから今の声は聞こえたんだ?

辺りをキョロキョロ見回してもそれらしき事を言ってる人はどこにもいない。

それにこの声が聞こえていないようだ。


しかし、桜さんだけは違った。

さっきの自分のように固まっていた。


「桜さん!!桜さん!!!桜さん!!!!」


と何回か声をかけるとようやくハッと気づいてくれて顔を見合わせる。

凄い真剣な顔をして聞いてきた。


「賭くん今の声・・聞こえましたか?」


震えながら質問をして来た。

きっと桜さんも自身にしか聞こえないそら耳なんだろうと、確かめるように聞いてきたのだろう。


それがわかりすぐに答えた。


「桜さんも聞こえましたか?実は自分も聞こえたんです。」というと少しは不安が取れたのだろう、だけれどまだ身体は震えていた。

桜さんにも聞こえた・・・自分にも聞こえた。

いったい何がどうなってるんだと頭を悩ませた。

自分たち二人が同時に聞いたそれは間違いない、だから決して頭がおかしくなったわけではないのだ。


「とにかく一旦ここを離れませんか???何故か嫌な予感がするので」


提案すると桜さんも頷いてくれた。

アニメや漫画などの読みすぎかもしれない、だけど二人に聞こえてこれを偶然で済ませていいはずはない!とにかく人が少しでも少ないところに移動し、落ち着かなくてわ。


すぐその場を移動しようとしたその瞬間、轟音が鳴り響いたのであった。

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