第66 それぞれの特訓3
ふむ・・画面を見ながら女は考える
思い描いた通りの特訓がそれぞれできている
プラン通りにいっている
だが何故だか納得はできない
この胸のモヤモヤ感はなんだろうか?
複数あるうちの一つの画面を凝視する
画面に映る青年は必死になって攻撃を避けている様子が見える
それを見ながらため息をつく
「我が子ながら情けない限りだ、私直々にまた鍛え直す方がいいのだろうか?」
するとその画面を操作する男が振り向く
「そんな事したら雷龍と戦う前にあいつが倒れちゃいますよ未来さん」
苦笑いしながら男はそう答える
「なんだ優くんあの子はやるときはしっかりやれる男だぞ。だがそうだな、あの子があんなになんでも頑張るようになったのは急にだったな」
懐かしむように微笑む未来
「へぇ~そうなんですか、なんかきっかけでもあったんですかね?自分を変えれる様なできごとが」
優も画面を見ながら必死に特訓をしている青年を見る
そう画面に映る我が子、夢見間賭は幼いころイジメにあったりなどして大変だった。
涙もろい子でそのせいでいじめられていたのだ
当時から我慢強い子だったがある日自分に初めて弱音を吐いた
なのでツラいなら休みなさいと家で仕事をしながら勉強を私が教えていたこともあった
学校にも掛け合ったりしたが、子ども同士の事だからと学校側は対処しなかった
だが、ある日を境にその様子が急に変わり、イジメを乗り越えた事があった。
まぁ私も少しだけほんの少しだけ手伝ったが
何がきっかけかは知らない
だけど変わる前よく森に遊びに行っていたのを覚えている。
賭は毎日のように足を運んでいた
学校を休ませている期間はずっと森に遊びに行っていたと記憶している
森から帰ってきては楽しそうな笑顔を見せてくれたものだ。
それをしなくなったのもその日からしばらくしてからだった
一体何があったのだろうと当時は不思議だったが、乗り越えてくれたことを嬉しく思った。
もし変わるきっかけをくれた人がいるとしたら、お礼を言いたいものだ
あの事があったから私も変われたのだから
懐かしみながら画面の我が子を見続ける。
「まぁ我が子なら今回も乗り越えてくれるでしょう」
「ですね」
「さてでわこちらもはじめましょうか」
ニコッと笑い優を見る
へっという声をだして振り向くと未来はすでに鎧をつけた姿に変身をしていた
「あの・・未来さん?」
そう優が呼びかけると剣をさしだされる
「ふぅ今は交換してもらった、私はジャンヌだ」
そう言って未来元いいジャンヌは優から距離をとるようにして歩き出す
優は「ですよね~」といい剣を取りうなだれながらも準備を始めた
最初っから優はおかしいと思っていた
6人を別空間に移動させなくてもこの空間は超絶広い
むしろここでみんな一緒に特訓してもいいくらいだった
なのにわざわざ別の空間を用意したのもこの時の為だろう
ようやく納得が出来スッキリするようなしないような感じである
ジャンヌは優から距離をとった10メートル先で止まった
「さて今回は最初っからトップギアでいきますからね、私たちのこの空間はあちらとは違うので時間がありませんので、っとあとあなたにはこれを渡しましょう」
ポケットの中から何かを取り出し投げた
少し慌てたが優は無事にそれをキャッチする
というか10メートルも離れた位置からよく届いたなと思ったが気にしないことにした
渡された物をみると、腕輪だった
その腕輪は綺麗な透明でできておりキラキラと輝いていた
不思議そうに見ているとジャンヌが言う
「早くそれを右腕にはめなさい、そしてこう言いなさい「トライアクセス」と」
あまりにも遅いので少し怒り気味だ
急かされながら腕輪を右腕にはめた
そして唱えてみる
「えっと・・トライアクセス」
「トライアクセス確認いたしました。マスター登録をいたしますお名前をどうぞ」
腕輪が喋った
いや何かのプログラムだろう後で解析すればいいと思い答える
「水鳥優です」
「マスターを水鳥優様に設定いたします。よろしくマスター私の名前はメーティスです」
まるで普通の人間と話しているような感覚である
ジャンヌの方を見るとにっこり笑い
「さて準備ができましたね。あなたは違う世界の違う未来からきたので、こちらの知識などまだわからないこともあるだろうと思いサポートアイテムとして開発させていただきました。」
「これ!ジャンヌさんがつくったんですか!?」
驚くとジャンヌは首をふる
「いえ・・正確にはあの憎たらしい女が作ったのを今朝目を覚まして受け取りました。あの女また人の夢の中に・・ってそれは置いといて」
咳払いをし話をそらそうとする
あの女って確実にマーリン様の事だと思う
またあの人は何をやらかしたんだろうと頭を抱えそうになったが堪える
ジャンヌは説明を続ける
「あの女の話によれば、それはメーティス名前はギリシャ神話にでる神様から名前をとったようです。あなたはデータなどの読み込みなどいろいろハッキングなどできるようですが、それは何かと知識などがないとできないことの様ですね。なのでそのメーティスを使ってそれを補って戦ってもらうということのようです。」
優はふむと考える
確かに自分は止まってる相手や攻撃がどのようにくるかなどをデータアクセスで知ることができる。
だが動く相手などに関してはすぐにそれが出来ないそれにある程度知識が合わさらないとそれが完璧に発動できないのが唯一の弱点でもあった訳だ
それを補うように開発してくれたようだ
「つまりメーティスを使って今から実戦で慣れていけとそう言う事でいいんですか?」
そう問いかけるとジャンヌはうぬと頷き剣を構える
「その方がお前もすぐに慣れていくだろう、それに敵は雷龍だけではないのだからな」
ジャンヌがそういい手をクイッとし攻撃して来いと挑発してきた
敵は雷龍だけではないわかっている
賭が襲われた鬼閃衆
あいつらもひかえているからということだろうか?
少しひっかかったが今は問わないでおこう
優も剣を構えるすると
「マスター、敵は初手の攻撃右からの斬撃可能性98%受けきってください」
えっとほんとかな?と優は疑いながらとりあえず地を蹴った
ジャンヌに正面から攻撃をしかけるふりをする
「正面からとはいい度胸ねくらいなさい!!!」
そういい右から攻撃がきた
メーティスの予測通り本当に右から攻撃がきたのに驚きはしたが言われた通りに受けきる
剣がぶつかり合い火花をちらす
そしてジャンヌは後ろに退きまた一気に距離を詰め直す様に走ってきた
ここでもメーティスが「上空からの立て切りがきます。マスター右に回避して攻撃を仕掛けてください」
半信半疑で構えなおしているとハッと言う声を出してジャンヌがジャンプし剣を振り下ろしてきた
言われた通りに右に避け攻撃を仕掛ける
するとジャンヌもそれに反応して避け後ろに後退し剣を構えなおす
ふぅ~と息を整えながらこちらを見てくるジャンヌ
優は腕輪をみる
このメーティスはどうやら未来演算ができるAIのようなものらしい事が今の攻防でわかった
だがそれは、100%とは言わないので外れる事もありそうだ
現に今言われた通りに攻撃したが避けられたのがその証拠だろう
だがこれは自分のジョブ能力ととても相性のいいアイテムだ
マーリン様はこの先の事を考えて開発してくれていたのだろう
そう言えば前にぼやいていた事があったな「天照がいろいろ開発できるなら私にだってひとつくらい」と
その試作品がこれなのだろうありがたいことだ
そう思いながら腕輪をなでると
「マスターくすぐったいですセクハラですか?でもマスターになら私・・」
と恥ずかしそうに声を出した
おいおいおい!!あのどんな機能組み込んでんだ!!
ツッコミを心で言っているとジャンヌが遠くから
「あっ言い忘れていたけどその子女の子らしいから扱いには気をつけないとすねたりするらしいから頑張って仲良くやらなきゃダメよ!!」
そう言ってジャンヌは一気に距離を詰めて来た
いきなりの事で反応が遅れた
今からデータシールドを展開しても間に合わないどうする!?と考えていると
「思考加速、身体加速有効にします!マスター5秒だけ超加速できます」
ならば!とデータシールドを展開を急いでしてみた
パキン!という音と共にジャンヌの剣が目の前で止まる
「あっぶね~~っつ!!」
ズキッと身体が痛むこの痛みはなんだ?そう思っているとメーティスがその答えを教えてくれた
「マスター加速により身体を少し損傷、身体がまだ慣れていなかったものと推定、身体を鍛え直して次回より使用してください」
つまりまだこの力はあまり使用してはいけないという事だ
今度からトレーニング少し増やさなければと優は心で誓った
メーティスが光だし何事かと思っていると
「これより加速モードをしようしたことによりインターバルが発生しばらく私のサポートができません。マスター全力で耐えてください。回復まで15分ほどかかります。ですが応援はしておりますファイト!マスター」
そう言い光が落ち着いた
おい!そんな大事な事は使う前に言ってほしかった
苦笑いをしているとジャンヌがニヤリと笑っている
「あら~あの女が作った物じゃそこらへんが限界なのかしらまぁいいわ、さて優君15分全力で自分の力で戦って成長してくださいね!」
そう言いジャンヌの剣が輝きだす
明らかにまたマーリン様にやられたことの憂さ晴らしに使われる
しかもあの剣の輝きは相当強い技をくり出す気だ
ため息がでるが遠くの画面から見える賭も頑張っている様子が見れたのでまっすぐ向き
覚悟し、優はジャンヌに立ち向かっていった




