第62 新たな空間へ
天照様の血が体内にあるおかげで雷龍との戦いから5日で医療室からでることができた
完全回復という訳ではないがどうやら軽く運動したりすることはOKだということだ
普通の人間だったら一か月は動けなくなる大けがだったそうだ
しかし発見が早かったのもありすぐに治療に入る事ができた
あと一歩遅かったら確実にやばかったらしい
雷龍の攻撃にはどうやら魂にまで響くようで自分は半分魂が飛び出そうになっていたそうだ
神子さんと神酒さんがそれを無理やり抑え込み、桜さんが結界を張り魂が外に出ない様に保護してくれたらしくなんとか魂は無事だったのに目覚めなかったから相当皆に心配をかけていた
まる一日も目を覚まさなかったらしい
そんな事とは知らなかったが自分はあのマーリンと会っていたなんて口が裂けても言えない
目覚めてすぐ修行がしたいと言ったら
桜さんや光ちゃんは凄い険しい顔をしていた
焔はほうと納得したような顔をし
神酒さんはやれやれと呆れた顔をしていた
優はまだみんなに正体を隠す気満々なのだろう壁際で様子を見ていたのだが何故かわからないのだが顔に傷があったり服がボロボロだったのが少し気になった
そして神子さんは厳しい顔をしてこう言った
「今の身体ですぐに修行はできないしばらく身体を回復させて動けるようになったら検討する」
その言葉を言われた時すぐにでもと言い返そうとしたが病室のドアが開きそこに現れたのわ
母親だった
凄いにこやかな顔をして現れたがわかる
明らかに怒っている時の顔だった
思わずぴょんと跳ねてベット上で正座した
すると母は笑顔でこう言ったのだ
「沖縄に帰ってきてすぐこんな大けがするなんて・・私は悲しいこんな弱い子に育てた覚えはないはずなのに、空手に水泳、剣術、そして銃の打ち方などありとあらゆることを教えて特訓していたはずなのにどこぞの馬の骨ともわからない奴にやられるなんてね、先ほどドアの前で修業がしたいと言う声を聞いたのでよろしいでしょう神子さんの言う通りその身体ではすぐにさせることは出来ないので検討なんてする必要ありません動けるようになったらすぐにさせましょう」
という事で何故か怖い笑顔でそう宣言した
昔から教育熱心でどんな仕事をしているか今だに明かしてはくれないのだが執事に焔を連れているだけで相当稼いでいることがわかる
なので金に糸目をつけず僕の教育に専念していた
お陰で身体や精神は凄い成長したものだ
その宣言を聞いた後の病室は本当に冷凍庫かと思うくらい居心地が悪かったのを覚えている
そんな事があった5日前からようやくこうやって病室を出られたわけだ
外に出ると沖縄の気持ちいい日差しが身体に当たる
気持ちよくなり伸びをする
このまま縁側でひなたぼっこをしたいくらいだ
だがそんな事をしている暇はない
「さて・・今日から修行かどんな事をするんだか」
昔の記憶を遡ってもスパルタになった母にいい思い出が全くないので若干不安に思いながら実家に向かう
「ただいま~~」
実家の玄関を開ける
昔と変わらず普通の家だ
東京で一人暮らししているせいか昔より広く感じるのは東京での暮らしになれてしまったせいだろうか?
そう思いつつキッチンに向かう
いつもならここに母親がいるからだ
しかし
「あれ?いない・・」
予想とはずれ家の中をくまなく探してみるが母親、焔、みんなの姿がどこにもない
「いったいどこに行ったんだ?」
自分が今日病院から退院することは知っているはずなのに誰一人として迎えにすら来なかった時点で少しおかしいとは思っていたのだがまさか家にもいない
頭を悩ませていると実家の電話がなる
久々のベル音だなと聞きながら受話器を取る
「はい!もしもし夢見間ですが」
「あぁ賭くん無事家に到着したんだねよかった」
と電話は神子さんだった
「はいおかげさまで・・というかなんで皆さん迎えに来てくれないんですか?それに実家に来てもだれもいないって」
そう言うと受話器の向こうから凄い轟音が響いている
すると神子が
「いや・・その実は君が病院で修業したいって言ったあの日からこちらも修行することになってしまってね・・それで!!っとお母様!!!それ卑怯です卑怯!!電話ちゅっうですから!」
「問答無用です!!戦場でそんな言い訳が聞きますか!!」
と今度は電話口から母親の声が聞こえたがなんかいつもと声が違う気がする
首をかしげながら電話をそのままきいていると
「賭!!聞こえていますよね!今からあなたも修行つけますからね!覚悟しなさい!」
「なんか物騒な音を立てながら言わないでほしいんだけど母さん・・というか母さんもみんなも修行しているってどこにいるんだよ!!」
そう言うと電話先の轟音がピタッと止まった
そして電話先で
「焔~~あんた賭にこの場所の事伝えてなかったけ?」
「いえ!!!私はまだお伝えしておりません!未来様が自分でお話しするからという事でしたので」
「あれ?そうだったっけ?ん~じゃあいいか賭少し待っていなさい今から迎えにいくから」
そう言い電話先で母親の声が消えたと思うと神子さんが
「あなたの母親・・あれなんなの・・昔からこんな感じだったの??鬼よあれ」
「聞こえてますよ!神子さん!そんな愚痴が言えるならもっとハイレベルにしてもよさそうですね」
振り返るとそこには母が立っていた
自分から電話をひったくると受話器に向かって
「た・の・し・み・にし・ててね♪」
そういい受話器を置いた
「相変わらず私の気配はすぐにわからないのね賭」
髪をかきながらこちらを向く
「母さんのその気配消して後ろに忍び寄るスキルどうにかしてよ・・そのせいで何回ドキッとしたことかいくら小さい頃から教え込まれて僕もようやく最近少しはできるようになったけどさすがに母さんみたいには無理だよ」
ため息をつきながらそう言うと未来は足を叩きながら
「足の鍛え方しだいですよ!あなたはまだまだなようね!これくらいできないとアニメの勉強がしたいからと言ってたから東京に行かせましたけど、そうやって腕がなまっていくようならすぐにこちらに戻しますからね」
「いやそもそもアニメの勉強するのにそう言う力必要ないから・・」
冷静にツッコミをいれてみたがこういう特訓があったからあの無茶な戦いが出来ていたんだろうなと若干思えてしまう
そして対面してこんな会話も久しぶりだなと少し笑えてしまった
それを見て未来も笑顔になった
「改めてお帰りなさい・・本当に心配したんだから」
そう言い抱きしめてくれた
「焔から全部報告を聞いてわかっています、あなたに神様の血が流れていることもあの神子って子がその元凶だって事もそして今回連れてきたお友達みんなが関わっていることも」
抱きしめながら話を続けてくれるその暖かさに涙がボロボロと出てきた
すると未来は頭を優しく撫でてくれた
「あなたは優しいから言えないんでしょうけど本当は怖かったわよね・・人が傷つくのとか悲しむ所を見るのが人一倍嫌いだから怖くても自分を犠牲にして立ち向かうあなたはそう言う子だから・・今は泣いてもいいのよ・・今は母しかいませんから・・泣き終わったらまた強くなりましょう・・」
そう・・実際は怖かった
戦っている時なんで戦わなきゃいけないのかとかも思ったりもした
だけどみんなが好きな事を破壊したり人々を傷つけるという行為が嫌だった
あのビックサイトで自分がこんな力を持ったのは誰かのためだとも思った
怖くても今まで泣かないようにしていた
だが、母はやっぱり偉大だった
自分が無理をしていることを気づいていたのだ
だから沖縄に着いたときチロの墓へすぐに行けるように手配していてくれたのだ
自分が辛かったり悲しかったり泣きたい時必ず行くのを知っているから
もちろん楽しい話をしにも行くのだが母はそれを知っていたのだろう
暖かい・・
本当に心がどんどん回復していくのがわかる
少し泣くのが落ち着き涙をぬぐい顔を上げると母が厳しい顔をしていた
「でも今回は自分で決めた事!だから!めげずにやりとげなさい!私も全力でサポートします!ですが!ひいきはしないから覚悟するように!」
そう言われ頷く
すると未来はニコッと笑顔をみせてまた頭を撫でる
「よし!いい子ね!頑張りましょうね!」
「もう子どもじゃないから頭撫でるのやめてよ」
と手を払おうとするがまた撫でてくる
「子どもはいつだって子どもなのよさっきまで泣いていたんだからまだまだよ」
笑いながらなでてきてしばらくすると手をおろし
「さて・・じゃあいこうか」
といい家の階段の下にある倉庫の扉に手をかける
「いくってどこに?」
首をかしげて聞くと
「えっ地下」
確か地下があることは知っているが皆が入れるような広さではなかったはずだがとまた首をかしげる
賭が考えていると、未来が扉の中に消えていきその後をついていくと確かにそこには知っている地下室があったが更に地面にドアがありその中に入ると階段が続いていた
「あのさ・・いつからこんな地下広くなったの?」
目を点にしながら聞く
「ん~~ちゃんとあなたが生まれた時からあるわよ、ただあなたにはこの先の地下については言ってなかっただけで」
淡々と答えながら未来は階段を下りていく
頭を抱えた
何十年も住んでいた家なのにまさか自分の家に地下の更に地下があったなんてと驚きを隠せない
そして一番下まで着くと壁一面本に埋め尽くされた部屋に着いた
もう開いた口が塞がらない
その驚いた顔に満足したのか未来は目の前にある扉を開けた
そこにはもっと驚きの光景が広がっていた
「え・・なにこれ??」
そこには先ほどよりも大きな空間が広がっておりそこにはようやく神子さん達がいた
皆もこちらに気づき手を振っている
振りかえすと皆嬉しそうにしてくれた
すると母親の顔から笑顔が消えた
こういう顔をする時の母はスパルタモードになるときだ
「さて賭も揃いましたのでこれより本格的に修行を始めていきますまず私が決めたグループに分かれてもらいます!まず一組目!神子・神酒グループ」
「あ~そらそうなりますよな~」
「そうよね・・嫌な予感しかしないわ」
神子と神酒は少し暗い顔をしているこの数日なにがあったのだろうか?
「二組目!!焔と光グループ」
「ええ!!!焔さんとですか!?」
「よろしくお願いします光さん」
光ちゃんは少しぶす~としているが焔はニコニコしている
「そして最後!賭と桜グループ」
「よろしくお願いします!桜さん」
「うん!頑張ろうね賭くん」
そう言いグループ決めが終わると優がやってきた
「今回未来さんと俺はサポートだからよろしくな!!とりあえずこれを渡す」
そう言って一人1個ずつヘッドセットを渡された
「なんに使うんだ?これ」
と疑問を投げかけると
「これよりお前たちは別々の空間で修業をしてもらうなのでこちらと連絡する手段がそれだ絶対なくすなよ」
「別々の空間???」
首をかしげていると奥に3つのドアが見えた
「名前の書かれているドアに入りなさい!そこから修行開始だ!修行時間はまずは1日!私と優君はこちらから試練を与えていくそれに立ち向かいなさい!では健闘を祈る!!」
そう言い机に座る
「ほなじゃあ行きますか天照」
「ええ・・はぁ加減してくれるといいのだけれど・・じゃあみんなまた1日後」
そう言い二人はドアに入っていった
「でわ我々もいきますか光さん」
「ほんとは賭さんと一緒がよかったのに・・桜さん!!賭さんに何かしたらゆるしませんからね!!」
「しないわよ!!!」
そう言うやり取りをした後焔と光はドアの中に入っていった
「さて!!じゃあいきましょうか!!!」
意気込んで言うと桜さんは少し顔を赤くしながら
「私何もしないからね!!!信じてね」
と先程の言葉を気にして抗議しながら一緒にドアに入る
すると
「え・・・・・」
「へ・・・・・・・・」
ドアの中に入るとなんとそこは空の上でドアがパタンと閉まる
その音と同時に身体が落ちていく
「ひゃあああああああああああああ」
桜さんが絶叫する
風でバタバタと洋服が揺れる
落ちながら下を見ると小さい島が見える
これがまず最初の試練という事かそう思いカードを取り出す
するとそれを見て桜が絶叫しながらも手にグローブをはめる
そしてこちらに向かって言う
「私がやるから!!賭くん捕まって!!!」
先ほどはいきなりの事で気が動転してしまったのだろうがすぐに冷静に戻ったようだ
言われるがまま空中を泳ぎ桜に捕まる
あと少しで地面に到着しそうな位置まで落ちてきてそして桜が下に向かって放つ
「リフレクション!!!!」
そう言い手から放たれた攻撃で勢いを殺し2人して海に落ちた
衝撃で気を失ったようで桜さんが海に沈みそうになったので抱えて島に上陸し自分も意識を失った




