第60 荒ぶる雷
四体の鬼はそれぞれ二体ずつに分かれ自分と少年に襲い掛かる
鎧鬼はどうやら動かないようだ
自分達など手下で十分ということだろうか
その場に座りこちらの様子を見ている
ならその考え油断を後悔に変えさせるまでだ
少年の事は気がかりだが先程攻撃を防いでくれた感じからすると少しの間は持ちこたえてくれるだろう
こちらの鬼二体を倒してすぐに加勢に参戦しよう
そう思いながら剣をかざす
退魔剣士レントそのキャラクターは妖怪・妖魔・化け物というたぐいのものを封印もしくは消滅させる技を多数有しているまさにこの戦いにうってつけのキャラクターである
実際にアニメの中では座り込んでいる鎧鬼のような鬼などと何回も戦って勝利しているなので逃げている時にもすぐに頭の中に思い浮かべていた
鬼達を睨みつけながらアニメの中でレントが使っていた技を叫ぶ
「退魔!!炎神剣!!!」
そう唱えると剣が燃え上がりすぐにその炎は剣を包み込んだ
技のイメージも上手くいき軽く振ってみるすると熱風が舞い上がる
それに警戒したのか二体の鬼は立ち止まる
そして何やら合図を送り合い左右に分かれた
多分だが剣が一本しかないので同時攻撃はないと踏んでの事だろう
どちらかがやられてももう一体は攻撃が出来る
まさに捨て身の攻撃を画策したのだろう
よほど鎧鬼が怖いとみた
しかし驚いた先程まで知性などはそこまでないと思っていたがこの対応
こちらも少し敵を甘く見ていたという事だ
人は見た目で判断できないのと一緒で怪物も見た目で判断してはいけない
反省すべき点だ
だが相手もこちらを甘く見ている
「舐められたもんだな」
乾いた唇をなめボソッとつぶやき相手の行動を覗う
すると鬼は丁度自分の左右真横に来て止まる
そして
「ぎゃうあがあああああ」
とうめき声をあげて左右同時に攻撃を仕掛けてきた
それを見てゆっくり息を吐く
この攻撃は予想通りだった
鬼二体はもの凄しスピードで迫ってくる
8、7、6、5よし!!!今だ!!
充分相手を引き付けたのを確認し剣を地面に刺す
「炎よ!!!駆け巡り舞い上がれ!!!」
そう叫ぶと刺した部分から円形に炎が賭を取り囲む
「ぐぴゃああぐがあああああああああ」
という声と共に二体の鬼が焼け消滅した
それを確認し剣を地面から引き抜き剣を振り炎を消した
今更ながらに一瞬で倒したいが為に大技ですぐに決めたが間違えて周りの木を燃やしたらまずいという事に気がついた
地面は少し焦げてしまったが木に燃え移ったりなどしていないことを確認しホッと胸を撫で下ろす
それを確認したのち少年に加勢しなきゃと少年の方を見るとそこにはすでに切り刻まれ倒れた二体の鬼が転がっていた
そしてその中央に少年は立っていた
様子から見るにこの少年を襲った二体も自分を襲った鬼達と同じ考えで攻撃をしかけたのだろう
左右に鬼が倒れてるのを確認できる
少し呆然として見ていると少年がこちらに気づき近づいてきた
「賭さん!!見てくれましたか!?僕の華麗な戦いぶりを!!こんな鬼なんて僕にとっては楽勝なんです!!!褒めてください!!!」
そう言い目をキラキラさせてきた
「おっおうすごいな・・でもいやすまない俺も今戦い終わった所だったから見れなかったよごめんな」
「あっそうなん・・ですか・・・残念です」
少年は先程輝かせていた目とはうって変わりショボンとする表情が本当に変わる子だなと思って褒めてほしいと言っていたので頭を撫でて褒めてあげようとした瞬間
「賭さん!!!避けて!!!!」
そう叫び少年が自分の身体を突き飛ばした
「なっ!?」
そう声を出して突き飛ばされた勢いで後ろに下がるとズドンという音と共に刀が振ってきた
それは明らかに鎧鬼が持っていた刀であった
飛んできた方向を見ると鎧鬼が立ち上がり鎖を引っ張る
すると今目の前に振ってきた刀が鎧鬼の手元に戻る
一種の投げ鎌のような武器の様だ
少年が気づくのが一瞬でも遅れたら間違いなく危なかった
はっとなり少年の方を向きかけよる
「ごめん!俺が油断していたばっかりに!君が突き飛ばしてくれなかったら危なかっ」
「かっ賭さん大丈夫!?怪我ない?突き飛ばしたりしてごめんなさい!!しりもちついちゃったよね!?きっと・・えっと本当にごめんなさい!!」
お礼を言おうとした言葉を遮り凄い勢いで少年は謝ってきた
「おっ俺は大丈夫だよ!君のおかげだよありがとう」
そう言い笑顔を見せると少年はホッとした表情を見せる
そしてすぐにその表情が変わり鎧鬼を睨みつける
「よくも・・よくも・・・よくもよくもよくも!!!!賭さんを危険な目に合せたなぁああああああ!!!」
そう叫び低い姿勢で構えたと思ったらその姿が一瞬で消えた
えっと思っていると
「ぐがあああああああでがああああ!!!!いでぇええええええええ!!!」
そう叫びながら地面に膝をついている鎧鬼の姿が見えた
よく見ると鎧鬼の左腕が落ちていた
そしてその後ろに少年が立っていた
そして鎧鬼の方に振り返ると鎧鬼も右腕で刀を持ち上げ
「ごの!!!ジビスケがあああああああああ!!!!」
と叫んで刀を振り下ろす
ズドンという音共に地面が揺れる
そしてその勢いで土煙が舞い上がり少年の姿が確認できなくなる
「ぎゃあはははは!!!つぶれた!!つぶれた!!!」
そう高笑いをし勝ち誇っていると
「誰がつぶれたですって?」
少年の声が聞こえた
土煙がはれ見るとそこには割れた地面があるだけだった
「どごだ!!!どごにいるうう!!!」
鎧鬼は叫び周りをキョロキョロする
「ここだよ」
その声の方向を見る
10メートルくらい離れたそこには少年が普通に立っていた
それを確認し鎧鬼は叫び声をあげながら刀を投げる
少年はそれを見ながらまた低い姿勢になり構える
そして先程の様に一瞬で姿が消えた
それと同時に「ぐがあああああ!!!」という鎧鬼の叫び声があがる
見ると今度は右手が地面に落ちていた
今度は少年は鎧鬼の前に立ち
「簡単には殺さない・・賭さんを危険な目に合せたんだ!!ゆっくりゆっくり切り刻んでやる!!」
凄い殺気を放つ
その殺気に当てられ鎧鬼は泣きわめく
「もうじねええ!!もうおまえだとはかかわらねぇ!!!だからゆるじでぐれえ」
足をじたばたしながら少しずつ後ろに下がる
すると少年は鉤爪を構える
「許す?お前賭さんに武器を向けといて許されると思ってるのか??怪我がなかったにせよ危ない目に合ったんだ!ならお前を許す道理はない!!」
そう言って鉤爪を振り下ろそうとする
「ちょっと待て!!!」
そう言って声をかけると少年の動きがピタッと止まりこちらに振り返り直立不動になる
「賭さん!待てってどういうことですか!!」
声をあげながらも直立不動というおかしなことになっているが今は気にする時ではない
「少年確かに俺は襲われて危険な目にもあったがこの通り生きているし大丈夫なんだから何も命乞いしている奴を切り刻むことなんてないんじゃないか?
「しかし・・・」
そういい反論しようとする
「しかしもかかしもないよ!命乞いする相手にこれ以上やったら弱い者イジメみたいだろ?それにこいつはそれなりに何か知っていそうだから生かして何か情報を得るのもいいかもしれないからな」
そう言うと少年は少し渋ったが「わかりました」と返事をしてくれた
それを聞いてニコッと笑顔を見せると少年はゆっくりと近づいてきてくれた
すると
轟音とともに鎧鬼の上に雷が落ちた
「ぐぎゃああああああああああああああ」
そう叫びながら鎧鬼の姿が消滅していった
「なっ!?なんだ!!」
「落雷!?でも空はこんなに青空なのに!?」
そう叫び二人で空を見るとそこには人影が見えた
「あれは!?人?」
するとその見えた人影はゆっくりと2人の前に降りてきた
金髪の髪をし目の色も黄色そして白い上着に黒のパンツをつけた男
腕を組みながらこちらを見る
あの鎧鬼を一瞬で消滅させる力
自然とわかる
目の前にいるこの男は相当に実力があるやつだと
そして自然と武器を構える
それを見て目の前にいる男はこいと言わんばかりに手首を動かして挑発をしてきた
ならと剣を振りかざし金髪の男目掛けて思いっきり振る
すると男はスッとそれをいとも簡単に避ける
「なっ!?これならどうだ!!!!」
下段から上段への斬りつけ更にその勢いのまま身体をひねり回転切り
退魔剣士レントの技「ルートラン」だがその技も金髪の男は避ける
「なっ!!!」
「ならこれならどうだ!!!!」
そう叫び後ろから少年が鉤爪を思いっきり振り下ろす
だがその攻撃も避けられる
嘘だろ?そう思っていると
「こんなものか?夢見間賭、ジェノサイドが大敗したと聞いていたからどのような男かと思っていたが・・なるほど未熟もいいところだな」
「なんだと!!」
「なぜこんな奴にジェノサイドが負けたのかわからぬ、やはり天照の力が大きかったのか?」
そう言いながら睨みつけてくる
その視線には背筋がぞっとするのを感じた
すると少年が震え始めた
「あっ・・かっ身体が動かない・・・」
えっと思ったが自分の身体は問題なく動く
「おい!!お前!!この子に何をした!!!」
そう叫ぶと
「何もしておらん、そいつは本能的に気づいたんだろう目の前にいるのがなんなのかを」
「本能的に?」
わけがわからないがとりあえずやばいという事だけはわかる
剣を構えなおす
「ふっまだ戦うというのかいいだろう実力の差を思い知らせてやる」
そう言い男は腕組みをやめる
手には武器を持たず拳のみしかしその動きには見覚えがあった
空手だ
沖縄の伝統的な武道の一つ
小さい頃にやっていたので何となく思い出せた
しかしその男から流れてくる気はとてつもなく強大だった
蹴落とされそうになる
だけど引くことはできない
そう思い少年に声をかける
「見ず知らずなのに助けてくれてここまで一緒に戦ってくれてありがとう、俺があいつに一瞬でも隙を作るからその間に逃げるんだいいね?」
伝え終わると同時に金髪の男に向かって踏込み斬りかかる
しかしすべて避けられていく
なら連撃技をまたと構えようとした瞬間
「遅い!!!」
そう言い腹に勢いよく拳を入れられた
その勢いで数十メートル後ろに吹き飛ばされ木にぶつかりそれが止まる
「ガハッ」
口から思いっきり血が噴き出した
ゆっくりと金髪の男はこちらに近寄ってくる
剣を支えに立ち上がる
「ほぅ・・まだ立ち上がれるか脆弱な人間にしてはタフだな」
「はっうっせぇ!!勝負はこれからだ!!」
朦朧とする意識の中剣を構える
すると遠くから自分を呼ぶ声が聞こえる
「むっ新手か・・まぁよかろう命拾いをしたな夢見間賭」
そう言いこちらに背を向ける
「まっ!て・・勝負はまだ・・・」
ゆっくりと前に歩を進める
「ふっ・・威勢のいいことだだがそのタフさ気合、敵にしては見事だいずれまた戦う事になるだろう我が名は雷龍!貴様らを屠るものだ」
そう言い姿を消した
「まっで・・・」
手を伸ばした瞬間目の前が真っ暗になりその場に倒れた




