第55 車内で・・・
「賭様こちらです」
焔に案内され一行が向かった那覇空港の駐車場には二台の車が用意されていた
一つはワゴンWそしてもう一つは
「「りっリムジン・・・」」
賭以外の五人は口を揃えて目の前の車に衝撃を受けていた
黒塗りで自分達が丁度乗れる長さのリムジンがそこにはあった
賭はワゴンWに近づき車体をポンポンと撫でる
「元気だったか~ワゴンくん僕が居ない間しっかり整備とかはしてもらっていたか?」
と車に向かって喋りかける
「はいしっかりと整備してましたよ賭様」
「お前には聞いてねぇよ!」
「これはこれは失礼いたしました」
賭に怒られ焔は一歩下がる
それを横目で見て確認し窓からワゴンWの中を確認する
しばらく見た後にみんなの方を振り返ると皆がきょとんとしている
ハッと賭は気づいた
明らかに今の車に名前を付けていたり声をかけたりするのはいかにも中二病じゃないかと
すると神子がワゴンWに近づき触れる
「そうかそうか君は相当可愛がられているんだねワゴンくんへ~そうかい沖縄に居たころは洗車も毎週してくれていたのかい?やっぱり賭くんは優しいんだね」
そういい賭の方を振り返る
「神子さん今のって・・・」
そう尋ねるとニコッと笑い
「あぁこのワゴンくんの思念を見たのさ物にはそれぞれ魂があるからね、君がいつもこの子に話しかけたり車で楽しそうに歌っていたそうだね」
そう言われ賭は赤面する
しかし神子は賭の肩をポンと叩いて
「今日も一緒に楽しく走ろうねだそうだよ」
そう声をかけられワゴンWをみる
恥ずかしかったがとても嬉しくなった瞬間だった
「さて・・ではそろそろお乗りください、皆様はリムジンの方へ賭様は・・」
「あぁいつも通りワゴンくんに乗って1人で家に向かう」
「かしこまりました。ではこちら鍵になります」
そう言い焔は賭に鍵を渡す
それを受け取り皆の方を向き
「ごめんねちょっと寄る所があるから先に家に行っててね」
そう言い焔の方を向きなおり
「いいかくれぐれも皆に余計な事をするな!そしていうなよ!!わかったか!?」
注意をすると焔はお辞儀をし
「かしこまりました。皆様を安全にご案内いたしますのでご心配なさらないでください」
その言葉を聞き疑いの目を向けながらも賭はワゴンWに乗り込む
そして窓を開けて
「いいな!絶対だからな!!絶対余計な事言うなよ!!!」
そう言って駐車場から出ていった
それを見送り五人はリムジンに乗りほどなくして駐車場を後にした
リムジンの中には小型の冷蔵庫、フカフカの座席、沖縄のお菓子などが置かれたテーブルが設置され、小さいテレビモニターもつけられたものだった
運転手は焔ではなく別の人が運転している
なので焔もその空間に一緒にいる
焔はニコニコ笑顔でお菓子や飲み物を用意している
皆それをじ~と眺めている形だ
すると焔が準備を整え終えたようで1人1人に飲み物を配る
配り終えると皆の見える位置に座るそしてニコッと笑顔をみせ
「さて皆様改めました沖縄へようこそ!私賭様の母君の秘書をやっております深山焔と申します。聞きたい質問にはできるだけお答えしていきますので何なりと言ってください」
そう言うとすぐに口を開いたのは神子だった
「では率直に聞くけどあんた一体何者なの?ずっと賭くんを監視していたようだけどそれに飛行機でのあの喧嘩のふっかけあれは一体なんだったの?そして」
そう言って一枚の人型の紙を取り出す
「これは式神符よね??飛行機で戦った時あんたを倒して出て来たあんたいったい・・・」
言い掛けたところで
「ちょっちょっと待ってください!戦ったってなんですか!飛行機でってえっ!?何もなかったじゃないですかそれに!なんでネクタ・・じゃなかった神酒さんがいるんですか!わけわからないんですけど」
わたわたしながら桜がそういうと光が
「ネクタルで大丈夫だと思いますよ・・どうやらこちらの情報はすべて知っているようですし、それに桜さんがわからないのも無理はありませんよ桜さん天照様にもらった飴で眠っちゃったんですから、あれ睡眠薬が入っていたんですよね?」
そう天照に光が尋ねると天照は頷く
「さすが光ちゃんやっぱ気づいていたか~だから飴はいらないって言って拒んだのね」
「はい、あまりにも桜さんが寝るスピードが異常だったものでそして天照様の様子がおかしかったので悪いと思いましたが能力を使って天照様に盗聴器を仕込んでました」といい袖の方を指さすと小さな丸い球がくっついていた
「いつ付けたのよ!!」天照が驚く
まあまあと桜がなだめるとはじに座ってる優が手をあげて
「あの~そろそろ話戻しませんか?戦いだとかなんだとか自分にはわからないんですが重要な話なんですよね?それに深山って苗字俺はよく知っているんですが、焔さんあなた陰陽師ですか?」
そう焔に質問をすると
「さすが賭様のご学友ですね、その通りです私は陰陽師でございます正確に言えば元が付きますが、その天照様がお持ちの式神符は私の思念体を入れさせていただきました」
そう言いカップに入れたコーヒーを一口飲み一息つき
「今回喧嘩まがいな事をしたことはお許しください、あなた方の実力を測らなくてはいけなかったものでワザと敵のふりをさせていただきました申し訳ございません」
そう言い一礼する
「私たちの実力を測る?」
天照が首をかしげると続けて焔が
「はい、といっても本当は天照様だけの実力を測るつもりだったんですがまさかネクタル様の力も見れるとは嬉しい誤算でした。」
ニコニコ笑いながら焔が言う
「なんやウチの事は眼中になかったんか?」
そう言い少しむくれるネクタル
「いえいえそう言う訳ではございません。ネクタル様の実力は本来沖縄に着いた時に測ろうと思っていたんです。ですがまさかお二人のコンビネーション技が見れたりと本当に偶然だったのです」
焔は一礼をする
「ふ~んそうなんかまっならよろしい」
ネクタルはかごに入っていたちんすこうを取り出して食べ始める
「で!一番聞きたいのはそこなのよ!なんで私たちの事も知っていてそれに実力を試すようなことをしたの?」
天照が尋ねると焔が笑顔からスッと顔を変え真剣な顔になった
「あなた方の事をお調べしたのは賭様の周りにどんな方が関わっているかお調べする必要があったのです。賭様の母君にご報告もありますですが一番はビッグサイトで見せたあなた方のあの力・・あの力があれば奴らを止められるかもしれないからです・・・・」
「奴ら?」
みんな口を揃えてそして首をかしげる
ちんすこうを食べながらネクタルが
「奴らって・・ウチ達の事やないのか??」
そう尋ねると焔が首を横に振る
「じゃあ・・ビッグサイトの戦いに出て来た・・・」
桜が聞くとまたしても焔は首を横に振る
「そのどちらでもありません・・奴らの名前は」
「鬼閃衆その奴らってのは鬼閃衆かな?」
天照が焔の声を遮り答えると
「ご存知でしたか天照様」
焔が天照の方を見る
「鬼閃衆ってなんですか??」
光が尋ねると天照はそばに目の前に置いてあった紅茶を一口飲み
「鬼閃衆、文字の通り鬼の集団なんだが確か奴らは千年前以上前にある場所に封じられたはずではないのか?私は当時管轄ではなかったからよくは知らないんだが上から沖縄に行くと言ったら封印の海の確認についでに行ってくれと言われたんで確認に行く予定だったんだがしかしそれをなんでお前が」
すると焔の後ろにいる運転手が前から鏡をコンコン叩いている
「どうやら着いた様ですね、この話の続きは賭様の母君からお聞きください」
そう言いドアを開けようとする焔の手が止まりこちらに向き直り
「たぶん・・天照様は少々驚くかもしれませんが腰を抜かさないでくださいね」
ニコリと笑ってドアを開ける
「私が驚く?」
不思議になったがみんなと一緒に車を降りるのだった




