第53 二人の・・・
シュッバッと剣が振られるたびに空を切る音がと轟く
燕尾服の男?いや男で間違いはないだろう喋り方体格など見てもどう見ても女性の体つきではない
攻撃しながら天照とネクタルは相手の出方を見る
だが男は攻撃などせず二人の攻撃を避けながら楽しそうに笑っている
時には攻撃を受け流すが全く攻撃してこようとしない
男もこちらの力量を見ているのだろうか?
そういう思考をめぐらせながら攻撃を繰り返す
だが、お互いに攻撃を譲ろうとせず身体がぶつかり合う
次第に天照は怒りが貯まっていった
それはネクタルも一緒の様で苛立っている
ついに剣がガキッという音と共にぶつかり
燕尾服の男を遠くに服飛ばしてからネクタルの方を見る
「いい加減にしなさいよ!ネクタル!私に合わせなさいよ!それが出来ないならあんたは後方支援に回りなさいよ!!」
ネクタルを怒鳴りつける
「ウチはウチで考えがあるんや!!あんさんの方が邪魔してるのわからんの?あんさんこそ後方支援に回ったらどないやの!!」
ネクタルもついに限界がきたのか天照に怒鳴りつける
「あんたが私に譲りなさいよ!!!あんた昔っからそうよね!相手の出方がわからなかったら小細工ばっかりやろうとしてチマチマした攻撃ばっかしてさ!」
「いいや!!今回はウチがやります!!!昔からというならそのバカみたいな大体大ぶりなんなん?そんな雑な振り方で出方のわからない相手に攻撃が通じると思ってるん?」
「バカみたいって私はバカじゃないです!!!バカって言う方がバカなんですぅ~」
「また子どもみたいなことゆうてからそんな事言ってるからバカなんやね」
「またバカって言った~~~」
と燕尾服の男を無視して喧嘩し始めた
剣でお互い攻撃し合って機体を縦横無尽に駆け回る
辺りで火花が飛び散るほどの攻撃のやり取り
しばらく斬り合いを続ける
男は軽くおろおろしている
「おっおい!!お前らの相手はおれ・・」
「あんたは黙ってなさい!!!」
「あんさんは黙っとき!!!」
「あっはい・・・」
と燕尾服の男は二人の剣幕に縮こまった
しかしおかしいと思い直し
二人に照準を合わせ剣を構え
「無視すんじゃねえええ」
二人に斬撃を放つ
すると二人同時にこっちに向き息ぴったりに
「「うるさい!!!!」」
と言い放ち斬撃を剣で受け流す
受け流した斬撃は光を放ちながら空の彼方に消えていった
燕尾服の男は唖然とした
男が放った斬撃は明らかに二人を吹き飛ばせるほどのパワーを込めて撃ったはずなのにそれをこちらを見ずに空の彼方に弾いてしまったからだ
男は少し後ずさりをする
確かにこの二人を相手にするのは正直心躍る
それに二人のデータを沢山取れるまったくもって願ってもない事だった
しかし、男は前もって入手していたデータを照合しこの二人には勝てると判断して放った攻撃
だがデータとは違う事が今目の前で起きたのだ
そんな事とは知らずに二人は喧嘩を続けている
男は思った
今がチャンスではないだろうか?と
今目の前で起きたことはこの二人はもしや気づいてないのではないのだろうかと
もしも自分が考えていることが実現したら後々脅威になりかねない
むしろその先が危険だと考えた
男はすぐに行動に移した
持っている二本の剣を飛行機の機体に軽くさす
すると赤い炎が立ち上がる
ハッと二人はそれに気づき喧嘩をやめた
「あんた!!!何やってんの!!!そんなことしたら飛行機が大変な事に!!!」
天照が叫ぶと今度は男が怒鳴る
「うるせええ!!!お前らが俺を無視して喧嘩すんのが悪いんだろうが!!!ほんとは他の人間どもには危害を加えたくないから機体には何もするつもりはなかったんだがな!もう予定変更だ!この機体を吹っ飛ばしてお前らを消し炭にしてやる!!」
そう言うと剣の炎がどんどん機体の上をメラメラ燃やし始める
しかしおかしい事に燕尾服の男は気づいた
「なっなんだ・・これは」
剣から燃え広がっていくはずの炎が天照とネクタルの前で止まったのだ
「なにが!なにが起こってやがる!!!」
するとネクタルがクスッと笑う
「あはっよかったよかった天照やっぱり敵さんに気づかれなかったみたいやなぁ」
天照は腰に手を当てうつむきながら
「ほんとよぉ~まったくひやひやしたわよまったく」
「何がだ!!?気づいてなかったって何がだ!!」
燕尾服の男は焦りながら聞き返す
すると天照が指をパチンと鳴らすと急に景色が変わった
「なっなんだこれは!!!いったい何をしやがった!!!」
ネクタルは一歩一歩前に出ながら
「ん~簡単に言うと空間を固定させてもらったんやこれからやることにはちと機体が耐えきれるかわからんからなぁ」
男は剣を機体から抜き
「いつからだ・・・」
「はい?」
ネクタルが聞き返すと
「いつからだって聞いてんだ!!!!お前たちはお互いが譲ろうとせず喧嘩を始めやがったこんな事する暇なんてなかったはずだ!!!ならいつこんな事できたんだ!!!」
燕尾服の男は剣を震わせながら聞く
すると天照が前に出てきて
「あんた今答え言ったじゃない」
そう言うと男はハッと気づく
「まさか・・あの喧嘩をしながら・・」
「correct answer(正解)」
得意気に天照は英語で答える
ネクタルがじ~と見るとコホンと天照は咳払いをし
「あんたは私たちのデータをどこかしらから入手しているんでしょ?だから私たちの攻撃どんなものがあるかが知っていただから当たらなかった違うかしら?それに気づいたのは癪だけどネクタルよだから喧嘩をしながら念話で話して下準備をし今さっき空間を固定できたってわけ少し遅かったらやばかったけどね」
そう言いながら天照はゆっくりと燕尾服の男に近づいていく
「だけどそうね・・どうやらそのデータも結構古い物みたいねそれがわかったのはあなたが放ったあの斬撃あれは確かに私達を吹き飛ばせる威力だったわよ以前なら・・ねw」
そう言うとネクタルが天照のそばに立つ
「あんさんも気づいたんやろ?あの斬撃を跳ね返した辺りに私たちが手を取り合ったらやばいって」
クスッと笑いながら言う
男は歯をギリッとしながら額に汗を流している
「ならみせよか昔できなかったあの技」
チラッとネクタルが天照を見ると天照はマジで?という顔をしながらネクタルを見返すやがて諦めたように「わかったわよ」とうなだれる
天照とネクタルが手を握り合い反対の手を前に出す
深呼吸をし息を吐き燕尾服の男をみるそして
「「ユニゾンレジェンド」」
そう言い放つと二人の身体が光り始める
男は身構える
「「待たせたねぇそれじゃ覚悟しなさい」」
すると燕尾服の男が瞬きをしたであろう一瞬
「なっ!?」血をいつの間にか吐きながら空を舞っていた
いつだ!いつだ!!いつだ!!!男の頭にはそれしかよぎらなかった
身体の感覚的に10発は拳で殴られ五回は斬りつけられている
態勢を立て直し下を見るが二人の姿は見えない
どこだ!!と焦りながら見回すと後ろから風を切る音が聞こえ見ると二人が目の前に居た
「どう?データにない攻撃をくらうのって?最高じゃない?」と聞くと
男は苦笑いを浮かべながら
「えぇほんとにまったく最高ですよあんた達」
そう聞こえた後天照とネクタルは燕尾服の男に思いっきり拳を振り下ろした
二人の拳をもろにくらった男は「がはっ」と言う声と共に切り取られた空間に叩きつけられる
その時男によぎったのは最初天照に斬りかかった時に避けられたことだった
あの時まぐれで避けたと思っていたもしその時にデータの古さに気づいてればこの結末にはならなかっただろうとそう思いながら意識が遠のいた
それを見て天照とネクタルはゆっくりと男に近づく
呼吸をしてるのでどうやらしっかりと生きているようだ
だがどうやらもう戦える感じではない事が見て取れる
そう判断しユニゾンレジェンドを解除する
すると男の身体が急に光り始める
二人は身構えたがすぐにそれが攻撃の類じゃないことがわかったので見ていると
ポンっという音と共に男が消え人型をした紙切れに変わった
「なっ!?」
「えっ!?」
「えええええええええええええええええええ!!!!!」
二人の驚きの声が空中を舞って消えていった




