第52 迫る刺客
「間もなく離陸いたしますシートベルトをお締めになってください」
機内にアナウンスが流れシートベルトをつける
自分の席は窓際がよかったのだが、外を見ていないと体調が悪くなるということで桜さんが窓際に真ん中が自分で通路側が光ちゃん、神子さんはその一つ先で優はその隣に座っている
神酒さんは通路を通る時見当たらなかったのできっとバレない様に後方の席で座っているのだろう
ひとまず争いごとにはならなそうだから安心する
座席の前に置いてあるイヤフォンを取り座席の肘掛けにある穴にさしてイヤフォンをつけると音楽などいろいろ流れていた
小さい頃から飛行機に乗るとこれで聞くアニメ曲に感動したのを覚えている
しかし、最近はこの中に落語があることを知り今回もそれをチョイスした
落語の内容は「饅頭怖い」というものが流れていた
それを聞きながら空に飛び立つのを待とうとしていると
桜さんが袖を引っ張ってきたのでイヤフォンをはずした
「賭くん!!!もうすぐ飛ぶよ!!!」
そう言い窓を指さし子供みたいにはしゃいでいる
その窓を見ると飛行機が滑走路を動きだしスピードを上げる瞬間だった
みるみる窓の景色が変わり
そして飛び立った
桜さんは「ワー」と言いながら楽しそうだ
この感じからすると桜さん外見てないと体調が悪くなるというのは嘘だったんだなとわかってしまった
考えてみたらわかる事だった
あんな激しい戦いで己の技で飛んだり跳ねたりしている人が寄ったりなどするはずないのだ
少しやられたと心で思ってしまった
そのまま飛行機は空にしっかり飛び立ち東京の街がどんどん小さくなっていくのが見えた
そして前の画面をみると空の雲に入る瞬間が見えた
「あ~見えなくなっちゃった」
桜さんは少し残念そうにしていると隣に座ってる光ちゃんが「賭さん」と袖をひっぱってきた
「ん?どうしたの?」と光の方を向くと光が気持ち悪そうな顔をしている
「光ちゃん!?大丈夫かい?」そう声をかけると
「その・・体調とかは大丈夫なんですけどなんか急に耳が痛くなって・・」と耳を抑えている
どうやら気圧の変化で耳なりなどしているらしい
「それ知ってるよ~気圧の変化でなるやつだよね?確か唾を飲み込んだりしたら治るはずだったからやってみてごらん」
隣に座っている桜がそう言うと光は頷いて実行してみる
しかし「治りませんね・・」と光がうなだれ桜は「そっかぁ」と頭をかかえる
「じゃあ鼻をつまんでゆっくり鼻に力を入れてごらん」
「鼻に力ですか?」
そう教えると光はそれを実行しようとするが恥ずかしそうにしている
あぁとなり光から目線をそらす
すると光は賭が見てないことを確認してからその行動を行った
数秒して光が「治りました!」と嬉しそうに報告してくれた
その後に光は「でもなんで飛行機にのると耳鳴りとかするんですかね?それにこうやって鼻に力入れるとなんで治るんですか?」と疑問を投げかけてきた
対処法は知っていても人づてなのでそこまでは知らなくて確かにと自分自身も桜も首をかしげた
すると「あ~飛行機が飛んだ時に耳が詰まったり痛くなったりすることがあるのはね、さっき桜が言ってたとおり機内の気圧が変化した為なんだ、人間ていうのは鼓膜の奥にある中耳ってとこに少しだけ空気があるので、その空気が膨張・収縮しようとするからなのよ。で鼻をつまんで何故治るのかというと中耳は耳管という細い管で鼻とつながっていて、気圧が変化したときに耳管が鼻側で開くことにより体外と中耳の圧が同じになるから治るという訳なのよ」
それを隣で聞いていた神子が答えた
へ~っとなり感心した
だが思ってみたら神子さん神様なんだから知らないはずないかとなった
すると神子さんがその感じを悟ったのか
「神様だからって何でもは知らないんだからね」と小声で言われ少しドキッとした
しばらくするとシートベルト着用のランプが消え自由に動けるようになった
「光ちゃんトイレ行きたいから少しいいかな?」と声をかけて後方にあるトイレに向かって歩いていくすると手をヒラヒラさせてこちらに合図する人がいた
神酒さんだ
他のお客さんが不快にならない様にゆっくりと通路を歩きトイレ近くの通路側にいる神酒さんに声をかける
「神酒さん後方に席とっていたんですね」
「せやよ賭はん達が前の席に座るのはなんとなくしっとったからばれない様にと席ここにしたんよ」
だからその情報はどこからもれてるんだと少し不思議になったが頭の隅に追いやることにした
「しっかしなんでかなぁあの子なんで飛行機に乗っ取るんやろな」
「あの子?あの子って誰の事ですか?」
首をかしげると神酒は神子を指を差す
「あまっじゃなかった神子や神子あの子なこんな飛行機に乗らんでも神火というのがあって天界とその場所をゲートでつなぐ事ができるものがあるんやけどそれ使わないで沖縄向かっているから不思議なんよ」
「そんなのあるんですか?」
驚くと神酒がうなずく
「この前のビッグサイトで最初あんさんの前に天照として現れたのだってあれ神火の応用技で、印を書いたところになら一度だけジャンプすることができるんよ、応用技だから一回こっきりなのが難点なんやけどな」
あの時目の前に現れた時光ったのは神火の光だったのかと納得する
「だけど沖縄には正式な神火のゲートがあるから行き来は自由だから申請すれば使えるはずなんやけどな、でもあの子の事やもしかしたら申請がめんどくさいからとかなんだで使わなかったのかそれとも・・」
チラッとこちらをみる
「なんですか?」と首をかしげると神酒はかぶりをふる
「いやなんでもない、ただのわたしの考えすぎや気にせえへんでよろしいよ君は何も気にしないでゆっくりと沖縄に着くまで休むとええよ」
笑顔でほほえむ
するとトイレが開いたのが確認できたので神酒さんに礼をしてトイレに入った
トイレに入りながら考える
神酒さんには気にするなと言われたが正直気になる
なんで神子さんは神火という便利な物があるのに一緒に飛行機を使ってくれたのだろうか?
もしかして飛行機のチケットがあるから気を遣わせてしまったのだろうか?
など考えてみるがやはりわからない
トイレを終わらせ外に出ると優が立っていた
「なんだお前もトイレかよ」
「いや~やっぱ今のうちにいっとかないと後々いけなくなるかもだからな、それに沖縄までなんせ1500km以上あって約2時間45分の旅っていうからな」
優が笑いながら言いトイレに入っていく
よく調べてるなと感心しながら席に戻ると光は前のテーブルをだし絵を描いていた
「ごめん光ちゃん通っていいかな?」というと光はすぐにテーブルをあげ中に入れてくれた
窓際を見ると桜さんがスヤスヤと眠っていた
離陸するまではしゃいでいたから疲れてしまったのだろうか?と少し笑いそうになった
でも楽しかったらはしゃぎたくなるのもわかる昔の自分も飛行機に乗ってはしゃいで寝たりしたし、家族で小さい頃旅行に行ってはしゃぎすぎて電車の金網に乗っけられたのも今ではいい思い出だ
席に座ってイヤフォンを着けようとすると
「賭くんこれ食べる?」と神子さんが飴玉を差し出してきた
とても綺麗な紙に包まれておりなんだか不思議な感じがある飴だ
「ありがとうございますもらいますね」と神子から受け取り包みを開けて見ると中にあった飴はとても綺麗な透明で中心に丸い赤いものが入っている
しばし見とれた後それを口に入れるととても甘くてまろやかでなんだかホッとする味だった
イヤフォンを着け飴をしばらく舐めているとなんだか急に眠気がき始めた
目をこするが変化がない
昨日しっかり睡眠をとったはずだが異常に眠気を感じる
不思議に思ったがなんだか心地よいその睡魔に負け眠ってしまう
「さて私はちょっとトイレに行ってくるわね光荷物なんかならないように一応気にしといてちょうだいね」
光は首をかしげながら「わかりました」と声をだす
神子の隣にいた優もいつの間にか眠っていた
神子は機内を見回す
しかし目的の人物が見当たらない
トイレはあいにく使用中になっていたが目的はトイレではなかったのでトイレを待つふりをして壁に背を預け目を閉じる
すると脳内に機体が透けて見える映像がでてきた
「後方・・いない、中間・・いない・・・前方・・いない」
意識をもっと集中させるすると
「見つけた!」
目を開ける
バタバタバタバタと空気にふれ衣服がばたついている
上空25,000~30,000フィート、メートルに直すと8000~9000mの空の上で機体に座っている人物がいた
「ほう、よく気づいたものだ」
後方をその人物はチラッと見るするとそこには人間の姿を解いた天照が立っていた
その人物は立ち上がり天照の方へと向き直る
その人物はハット帽子をつけて服は燕尾服を着けていた
「さすが日本の創造神私の気配遮断も見破ったという訳だ、しかし1人で来るとは・・夢見間賭はどうした?」
と圧を飛ばす
すると天照はふっと笑い
「こんな極寒の上空で飛行する物体の上に人間を連れてこれるわけないじゃない!あんた馬鹿?てかあんた秋葉原に行ったあたりから賭くんを見張っていたわよね?それに最初は機内に居たくせにどういうつもり?てか何者?」
睨みつけると前に立つハット帽子の人物は笑いだす
「おやおや、最初から気づかれていたとはね意外だったよだからあんなに神気を出していたってわけか人間の姿である時も」
といいハット帽子を手で支える形で立つ
「それでそれで?今まで気づかないふりしていたくせになんで神の姿までさらけ出して追っかけて来たのかな?」
は~と息を吐きキッと目の前に立つ人物を見て
「予想をしていたのよ飛行機の時なら賭くん達は外に出ることが出来ないなら機体を落とされたら終わりだって、で最初あんたが飛行機内に居たのは私が乗らない可能性があるかもそしたら暗殺できると予想していたから・・違うかしら?」と答えると目の前にいる人物は拍手をした
「いや~ご名答ご名答さすがだね、やっぱりあんた・・・切れ者だね」
そう言い素早く動き斬りかかってきた
しかしそれを天照はかわす
「へ~今のスピード見えるんだすごいね」
そういうと剣を構えなおし天照を見直す
すると機体の後ろ側からカランカランと音がした
その方向をみると
「あんさんが神火使わなかった理由が解けたわぁしかしなんやけったいな者と戦ってますなぁあても混ぜてくれまへんかぁ」
とネクタルが後方から歩いてきて立ち止まる
「ねっネクタル!?なんであんたがここに!?」
天照が驚くと
「なんややっぱ気づいてなっかたんやね悲しいわぁ、まぁそんな事よりこの子何者なん?」
指を差すとハット帽子の人物は高笑いをする
「なんと!なんと!!なんと!!!まさかあのネクタルまででてくるとは!!!なんていい日だ!!あの方にいい報告が出来そうだぁ!!!さぁ!!踊ろうじゃないか!!お前らを食い散らかしてやるよ!!!!」
そう叫び剣をもう一本取り出し二刀流になる
「ネクタル話はあと!!いくよ」
「せやねせっかくの旅邪魔されたくないからなぁとっとと終わらせよか」
二人も剣を取り出し戦いが始まった。




