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二次元の力はこの手の中に!!!  作者: 神咲 勇気
第一章 世界はコミックマーケットから
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第4 装備を整えると何だか楽しく

「すごい・・・」


もうそれしか言葉が出なかった。

桜さんと連絡を交換してすぐに大移動が始まり桜さんの姿は見えなくなってしまった。

最初は、桜さんのすぐ近くを歩けていたのに、慣れないせいかどんどん人に追い越されていく。

皆我先にと歩をどんどん進めていく。

コミケ開始と同時に始まった大移動、それはいわゆる開戦だったのだろう。


皆目の色を変えて目的地の会場を目指して歩いている。

少し不安ではあった・・・だけど、胸の高鳴りがやまない。

ドクン!ドクン!とまるで心臓が外に出てくるのではないかと思うくらい激しく鼓動する。

一歩、また一歩会場に近づいていく・・・・・


会場前の大きな階段を登り切り少し振り返ると、そこには何百人いや何千人という人々が同じ目的地に向かって歩いているのだ。

そして登り切ったその先に大きなスクリーンモニターがあり、【コミックマーケットへようこそ!!!】と大きく表示されていたのだ。

それを見てようやく実感した。あぁ・・僕は今あの憧れていたコミックマーケットに来たのだと。


感動しながら歩いているとスタッフさんらしき人が大きな声で叫んでいた。


「押さないで下さ~~い!!!怪我したら勝ち取れるものも勝ち取れませ~ん!安全にまっすぐ目的のブースへ向かってくださ~~い!そして、お金は落としても命は落とさないでくださ~~い!!」


などと、コミケの注意を面白おかしくして皆を誘導してくれていた。


これもコミケの風物詩となっているそうだ。

他にも「走れとはいいません。なるべく素早く駆け抜けるごとく歩いてくださ~い」もう走れと言ってるようなものじゃないか?と思いつつ最初から楽しませてもらった。


そのまま人に流されながら歩いていると、企業ブース・コスプレ更衣室・一般ブースと書かれた看板を見てさまざまな場所に分かれてる事がわかった。

ちなみに、企業ブースとはアニメの商品を発売している会社が沢山来て限定品などを主に扱ってる場所で、コスプレ更衣室は、アニメの格好をして出歩きたい人の為に沢山の更衣室を用意してくれている場所だそうだ。

最後の一般ブースは、二次小説、同人漫画、歌い手さん楽曲などあらゆる趣味嗜好が見られる場所で沢山の一般で参加した人のブースが点在しているのである。


事前に少しだけ予習していたので、なんとなく場所を見定めて人生で一回はしたかったコスプレをするために更衣室と書かれた看板を目印に歩いて行った。

会場の入り口を入って左側を見る、そこには長いエスカレーターがあり登っていく。

登るとき右側を見ると、さっきまで自分も並んでいた場所に軍隊のように人の列がわらわらと集まっているのが見えていた。

あの人数がこの会場に入ってくると考えるだけでも結構凄い事である。

そう思いながらも、目を輝かせながら登っていくと更衣室があった。


更衣室を利用するには更衣室料というものがあり、入り口で1200円払わないと入れないのだ。その際に渡されたパンフレットらしき物を帰りにまた提示しないと、また料金が発生するということですぐにカバンへしまった。


更衣室へ入ると沢山の人が着替えていた。

見渡すと、自分の知っているキャラのコスをしている人が沢山いて、もうたまらなく嬉しくなってしまいニヤニヤしてしまう。


「あぁ・・・なんてすばらしい場所なんだ。自分の憧れているキャラクターの衣装を着て歩くことができるなんて、そして更にいろんなレイヤーさんが見られるなんて・・まさに最高の空間だ。」


広さは申し分なく広く、すでに50人以上の人が着替えを始めていた。


その光景を見て思わず独り言を言いながら自分の着替える場所を確保する。

皆真剣に化粧をして、ワックスなどでウィッグと呼ばれるキャラクターの髪を整え、アニメからそのまま出てきた様な格好に着替え次々更衣室を後にする。


販売されている衣装から、オリジナルで作った人もいるがみんなとても楽しそうに、そして真剣にこの日に備えて準備していたのがわかった。

自分もそれなりに自宅で練習したりしたが、あまり上手くなくて少し恥ずかしかったがやれる事をやるんだと心を奮い立たせて着替えていると、「か~ける!」と聞きなれた声が聞こえて振り返るとそこには俺にコミケの事を教えてくれた友人のゆうが居た。


水鳥 みずとりゆう同じ大学で、僕にコミケの恐ろしさなどを教えてくれた奴だ。

名前通りとても優しい奴で、とにかく明るい性格のいい奴で、学校でも仲良くしてもらっている。髪型はショートで少し茶髪、服装はカジュアルな格好が多い。年齢は18歳の出身地は東京の浅草、実家で暮らし両親は煎餅屋を営んでいるそうだ。



「いや~賭は来るのが早いな。いったい何時に来たんだよ」と笑いながら聞いてきた。


ゆうに言われた通り始発で来たに決まってるじゃんか。」と返すと


「やっぱかぁ~いやぁ~俺何回も来てるせいで緊張感薄れていたせいかその・・・寝坊してしまいました。」と苦笑い。


あんなに自分にはメモも渡していたのに寝坊とは・・・まぁ優らしいって言ったら優らしいのかもなと一緒に笑った。


「そういや賭は何のコスプレするんだ?聞いてなかったんだけど。」


「あ~優には内緒にしてたっけか、俺はアニメソードトリガーの主人公アーサーをやるんだよ」


着替えている衣装を自慢して見せた。

アーサーとは、金髪のウィッグに白いローブを着け、中の洋服は黒い薄い長袖、胸元には鉄の板があり黒いズボンに青いブーツ、武器は一メートルくらいの剣で銃にもなるとてもかっこいい主人公である。

この作品がとても好きすぎて部屋に飾ってあるポスターやグッズはアーサーでいっぱいなのだ。


着替え終わった自分を見て、優は感心したように頷きながら見ていた。


「そういう優こそ何のコスプレするんだよ」と聞くと優は自信に満ちた顔で言った。


「よくぞ聞いてくれた!!俺はアニメ新選組の主人公沖田颯太おきたそうたをやるんだよ!」と自慢気に言い放った。


沖田颯太おきたそうた、新選組という幕末に生きていた剣客の集団の一人で、黒髪の長髪白い洋装に誠と書いてある羽織を羽織っているが印象的なキャラだ。ちなみに武器は二刀流の刀で神速の技を誇る人気も高いアニメキャラである。


まぁ・・予想通りと言えば予想通りの選択だなと思った。

というのも、優のスマホの待ち受けも沖田の画像だったのだから。優も自分がアーサーを好きなくらい沖田がお気に入りなんだろう。


お互い話しながら衣装に着替えていき先に着替えていた僕が更衣室を先に出ることになった。

また後でとお互いに挨拶をし更衣室を先に出た。


そして、軽くなった荷物をクロークと呼ばれる荷物置き場に預け、またエスカレーターに乗り下に向かう。

すると、反対側の登る方の人達が手を振ってくれたりしてなんだか恥ずかしくもあったが嬉しかった。


入り口前に着くとまだ中に入れていない人達が次々と入ってきていた。

ここでも、アーサーの格好をしているからか手を振ってもらえたりしたのでどんどん楽しくなった。

やっぱりここに来ることが出来て良かったと思いながら反対側を向き一般ブースの場所を確認する。

どんな同人誌や作品があるのだろうかと思いながらその会場へ向かい歩み始める。


そうコミケで一番の戦場一般ブースへと・・・・・


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