表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二次元の力はこの手の中に!!!  作者: 神咲 勇気
第三章 激戦の最終日
40/96

第39 見たくないもの

「もうなんで目覚ましならないのよ!!!天照様達怒ってないといいんだけど」

息を切らしながら走りつづけようやくビッグサイトに到着した光

呼吸を整えて国際展示場前の駅の横を通りビッグサイトに近づきようやく異変に気付く

異様な黒い霧がビッグサイト中を包み込んでいるのがわかる

訝しげにその霧を見ると並んでる人々をどんどん包み込んでいる

「これって・・・」

明らかに異常事態そう確信した

しかし首をかしげた

こんな異変が起こっていれば天照様や賭さんそれに桜さんが対処しているはずだがとふと思う

辺りを見回しても三人の姿は見られない

とりあえずビッグサイト前の広場に歩を進める

右を見ても左を見ても歩くたびに見えてくるのは顔に生気を無くした人々が綺麗に座り込んでいる姿だ

すると後ろの方で話し声が聞こえた

見るとコミケを楽しみにして来た人たちだろう数十名が駅から出て来た

いけない!と声をかけようとしたときには遅く

駅から出た瞬間に顔から生気を失い虚ろになる

その場に倒れこむのかと様子を見ていると人々は歩き出し整列していく

よく見ると反対のモノレールから出て来た人たちも同じようにゆっくりどんどん並んでいく

その列は広場から橋の方まで伸び始めていた

誘導員の指示などもないのに静かに整列していくのを見るのはなんだか異常事態なのだが悪くないなと苦笑いしながら軽く複雑な思いを抱く

しかしこのままじゃいけないと思い座ってる人を動かせないかと軽く肩を叩いたり「お~い」など声をかけてみるがやはり効果はなくうつむいている

ん~と唸りながら頭を抱える

確かにこの霧が原因だという事は明らかに分かっているのだ

だが、こんなに広がった霧を消すなんて不可能だと思った

するとどこからか風が流れてきた

ふと風が吹いた方を見ると光の目の前に虚ろな顔をしたまま座ってる人が小型の小さい扇風機をぶら下げていたのだ

それをよく見ると霧がその風により少し動いているのがわかった

「もしかして・・・・」

そう思い鞄に入れていたスケッチブックなどを取り出す

シャシャっと素早く絵を仕上げていく

もし自分の考えが間違いでなければこの方法が上手くいくはずと思いかきあげた

そして唱える

「開け!!!私の力!!!絵に宿る力秘められし思いに答えたまえ!!!絵の魔術!!!(アートマジック)」

発光と共に現れたのはとても大きな扇風機

これならこの霧を一時的でも吹き飛ばせるのではないかと考えたのだ

さっそくビッグサイト広場の階段からそれを人々に向けてかざす

巨大扇風機の首を軽く空に向ける

この方向なら下にある霧を上に飛ばせると思ったのだ

「これでどうだ!!!スイッチ!オン!!!」

と元気に声を出して扇風機のスイッチを入れる

ゴウンゴウンゴウンといううねりをあげながら扇風機の羽が回り始める

するとみるみる霧が上空に上がっていく

いける!!!光はそう思った

霧はどんどん扇風機の風にのって巻き上げられた

徐々に薄くなるのを期待して見守る

しかし、一向に霧が薄くなることがない

むしろさっきより霧の量が増えているようにも見える

「どうして!?」

すると巨大扇風機がギュウウンという音をあげて止まる

えっ!?と戸惑い見てみると霧がどんどん扇風機を浸食していってるのだ

バッキという音を立てて扇風機が倒れ消滅しスケッチブックに絵として戻った

そんな・・と落ち込む光

自分が考えた方法が見るも無残に壊されたのだからやはりショックである

だが!

まだだ!!!

そう思い一回伏せた顔を上げる

絵描きが自分の描いたものを馬鹿にされたり無残な扱いをされるなんて一度や二度ある

いや言ったら数えきれないくらいもっと沢山あるだろう

自分もそれを経験して乗り越えてきた、こんな一回壊されたぐらいでへこたれてやるものかとペンとスケッチブックをもう一度手に取り描こうとする

すると


ズドン!!!という爆音がビッグサイト中に響いた

ビックリし振り返ると屋上展示場付近で沢山の爆音が鳴り響いている

これはもしや!!と思いエントランスを抜け大階段を登ろうとする

その途中でパキッと音がした

振り返るとモノレール付近の通路方向の空中にヒビらしきものが見える

光はそれをなんぞやと訝しげに見る

目をこすってじ~っとまたみるが見間違いなどではなくまさしく空中にヒビがはいっているのだ

明らかに怪しい

光は素早くスケッチブックから剣を実体化させ警戒する

もしかしたらこのヒビからこの霧の原因となる何かが現れるかもしれないそう考えたからだ

ゆっくり一歩一歩近寄りあと5mというところまで近づいた次の瞬間


「おりゃああああああああああ!!!!!」

という聞き覚えのある綺麗な声がヒビから聞こえたかと思うと

空中のヒビがパキーーーンと綺麗な破砕音を鳴らし

その中から人影がぶっ飛んできたのだ

おわっ!?と思わず飛んでくる物体を避けるとその物体は後方にあった壁にぶつかり止まった

ぶつかった方向を見るとそこには見たことがない格好をした男の人が倒れていた

「手間かけさせるんじゃないわよ」という声が聞こえ振り向くと桜が立っていた

両手にはめた手袋からは炎がゴウゴウと音を立てながら燃えている

そしてうっす!!と声を出して両手をパンッと軽快な音を鳴らして合わせると炎が消えた

するとこちらに気づいたらしく手を振ってきた

「あっ!!光ちゃん!!!よかった無事だったのね・・・ってあなた本当に光ちゃんよね?」

といいサッと拳を構える

なんのこっちゃと光は眉を細めて桜を見る

その姿は軽く擦り傷などあり服も破けたりとどうやら結構な激闘を広げたあとのように見える

桜の状態をしっかりと見てスケッチブックを取り出し見せると桜はそれを見てホッと息を吐き拳を下した

桜がゆっくり光に近づいて来ようとしたとき後ろの方でガラガラという壁が崩れる音がして声がした

「なんなんです・・今の技は・・まったく反応できませんでした・・・」

男はカフッと血を吐きながら立ち上がる

桜は光横を通り光の肩をポンと叩いてさがっててと小さな声をかける

言うとおりに桜の二歩後ろに下がる

桜は男を見ながら舌をべ~っと出して言う

「教えるもんですか!教えたらどうせあんた自分の本体に言って警戒させるつもりなんでしょ!お見通しよ!たくっこんなに服ボロボロにしてくれちゃって着替えがあるとはいえ大変なんだからね!」

いや!服の心配かよ!と光は心でツッコミをいれていると男が肩を押さえながら喋り始めた

「確かに・・敵に情報を渡す馬鹿は居ませんよね・・だがしかしやはり私の方が考えが正しかったようだ・・・本体はやはりあの男を買いかぶり過ぎだ、警戒するべきはこの女だという事を再認識させた方がいいようだ・・ふ~いやはやまさか異空間を力ずくで私ごと射抜いて叩き割るなんて発想思いつきませんよあなた脳内筋肉ゴリラですか?」

「誰が脳内筋肉ゴリラよ!」

と男のセリフに間髪入れずにツッコミをいれると拳を握りしめる

男はビクッとなり苦笑いをしながらもう力が無いのか座り込む

桜は一歩一歩男に近づき男の前に立ち言う

「さて!アヌビスもどき」

「誰が・・アヌビスもどきですか」

「あんたに決まってるでしょそれとも何??他に呼び方あんの??」

桜は眉を細めてアヌビス?という男に問いかける

そしたらアヌビス?は答えた

「・・・アヌビスブレーンだ・・」

「なに??」

桜が軽くキレ気味で返すと今度は大きな声で答えた

「アヌビスブレーンだ!覚えていろ!!!お前!今度は絶対私が勝つからな」

そういい桜を睨みつけるがほぼ負け犬の遠吠えである

桜はハイハイと聞き流しアヌビスブレーンを見て拳を握りしめて構える

「言いたいことはそれだけでいいわね?じゃあ・・・歯食いしばんなさい!!!」

桜が拳をアヌビスブレーンに振り下ろそうとした瞬間

凄い爆発音と共に屋上で二つ光の柱が見えた

光と桜は驚いて上を見上げるとククククっとアヌビスブレーンが笑い始めた

「何がおかしいんですか!!?」

光がアヌビスブレーンに問いかけると爆発があった方を見ながら喋り始めた

「何がおかしいかって??そりゃあわかるだろ・・決着がついたんだよありゃあ・・どうやら本体の野郎神器イガリマを使いやがったみてえだな・・あの光はイガリマを使った時に発生すんだよ・・・だからよお笑えたんだ・・・夢見間賭が負けたんだってなぁ!!!」

薄気味悪い笑いをしながら言い放った

桜と光は一瞬静まり返った

賭さんが負ける???そんなわけが・・と思っていると桜が動いた

「賭くんが負けるはずないじゃない!冗談を言うのは大概にしなさい」

凄い怒りの形相でアヌビスブレーンを首を掴んで持ち上げる

するとアヌビスブレーンは苦しそうにしながらも喋り始めた

「くっじゃあ・・うっ上に行ってみな・・そしたら・・・わかるじゃねえか・・・じゃあな」

と指をパチンと鳴らして霧状になり屋上展示場の方に飛んでいく

「待て!!!」

急いで2人して屋上展示場の階段を登る

そして屋上展示場に到着する

まだ土煙がモクモクと立っていたがブレーンの霧状の影が中心に行くのが見えた

それを追いかけ行くと二つの影が見え

1人は横たわり1人は仁王立ちしていた

2人して背中に寒気が走る

嘘よ嘘よと思いつつ歩を進める

ゆっくりゆっくり近づいていくと急に風が吹き土煙がわずかに晴れた

そこには地面に横たわる賭と仁王立ちするアヌビスが立っていた



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ