第3 出会いそして開戦だ!!!
ビッグサイト遥か上空、肉眼では視認することは出来ない位置から会場を見下す三つの影があった。
その者達は、全身を覆う漆黒のフードを身に纏っていた。
「ふん・・・・あれが人間共が好む祭りコミケというやつか・・・お~お~おぞましい数の人間がうようよいやがる今すぐにでも潰したくなるぜ!!」
三人の中でも好戦的な者が言い放つ
「お主もせっかちじゃのぉ・・まぁ気持ちはわかるが待つがいい今に暴れることができるんじゃから待っておくんなしゃんせ」
それを変わった喋りの者がなだめる。
「ふっ憎悪にも似たこの人間どもの力はつけいる隙がありそうだな・・・どれもう少し様子を見て心に闇が芽吹くのを待ってみるか・・・」
最後にフードの隙間から紅蓮に染まった眼光を鋭く放つ者が言葉を発すると影達は虚空へと消えていった。
照りつける太陽、雲一つない晴天まさに夏!!出かけるのには最高ないい日であろう。
だが!!!今はそんな気分になれるわけがない!!!まさに灼熱の日差しが攻撃を仕掛けてきてるんだからたまったものではない。
「あつい・・・あつい・・・・アイスみたいに溶けそうコミケとはこんなに地獄だったのか・・・」
コミケの列に並びながら小さな声でぼやく賭早朝から並び始めてすでに3時間・・・人は溢れんばかりに増え5万人はいるのではないかという錯覚をしてしまうほどである。
それもそうである、前を見ても人の大量の列、後ろを振り返ると更に軍隊のように並ぶ人の列これから戦争でも起こるんではないだろうかと思うくらいである。
友達が「コミケは戦場だ!!!」といったのも納得ができる。
「しっかし・・これからが本番だってのに最初でこんなに体力が奪われるなんて・・・・水分もマメにとらないと熱中症になるし気を引き締めなきゃな」
自分に言い聞かせて喋っていると隣に座っていた女の人がクスッと笑っていた。
それに気づき少し恥ずかしくなり座ると「コミケは初めてなんですか??」としゃべりかけてきたのである。
いきなりのことでびっくりしたがこくりとうなずいた。
「初めてで来るとビックリしますよね。私もこの人の数には圧倒されて動けなかったんですよ」
と微笑みながら話をしてくれた。
その女性は少し細身で髪は黒髪ミディアムショート、服装はカジュアルなスタイルで人柄がいい感じの人であった。
「あっすみません、つい話しかけちゃいました。いきなり話しかけて・・・ご迷惑でしたか?」
と不安そうな顔でこちらを女性は見てきた。
「あっいえ!いきなりで少しびっくりしてしまったので少し戸惑ってしまっただけですよ。すみません・・せっかく話しかけてくれたのに不安にさせてしまって・・・」
少し申し訳なくなり謝ると
「謝らなくていいですよ。いきなり話しかけてしまった自分も悪かったんですから、あっ私名前 盾見桜っていいます。」
「えっと 夢見間賭っていいます。」
「賭くんねよろしく。私の事は、桜って呼んでね。」
「じゃあ、よろしくお願いします桜さん。」
いきなりで戸惑ってしまったが一人でずっといた自分にはとても嬉しい出来事であった。
なぜなら、自分一人で初めてのコミケに来てしまい、周りもすべて敵に見えるくらいに緊張してしまっていた為こうやって話しかけてくれる人がいるのはとてもありがたいことであった。
すると桜さんが続けて話しかけてきた。
「賭くんもここに並んでるってことは始発できたってことだよね?初めてであの始発ラッシュを乗り越えてこの場所に座れてるってすごいね。」
「みんなについて行って並んだらここだったんで運がよかったんですよ。桜さんも隣に座ってるって事は乗り越えてきたって事じゃないですか凄いことですよ。」
そう言うと桜さんは少し恥ずかしそうに笑っていた。
その恥ずかしそうにしてる顔を見てドキッとしてしまったのはまぁ男としては当然の反応であろう。
たまたま偶然会った女性が、たまたま隣に居合わせた自分にここまで自然に話かけてもらっていたらドキドキするのは当たり前であろう。もしドキドキしなかったらむしろ自分の感情がおかしいと疑うしかないくらいだ。
そんなドキドキしてる自分の感情を知る由もない桜さんは楽しそうに話を続けてくれた。
「賭くんは何か欲しいのがあって始発できて並んだの?」
「限定品とか狙ってとかとくには無くて、実は初めてだから朝早くから来て自分が来たかったコミケを楽しみたいなと思って始発できたんです。」
そう言うと桜さんはウンウン頷いていた。
「わかる!わかるよ!初めての時私なんて夜も眠れないくらいだったからよくわかるよ。でも今でも楽しみで少し寝れないことあるんだけどね。」
とまた少し照れた顔で話してくれた。
「やっぱりさ、こんなお祭りめったにないんだから朝から楽しまなきゃ損するもんね!だから私も始発で来るんだよ。」
「わかります!自分もずっと楽しみにしていたんで!今日という日を全力で楽しまなきゃですよね!」
「その意気だよ!お互い楽しもうね」
「はい!楽しみましょうね!!」
さっきまで心細かったのが嘘のように急に気持ちがスッと軽くなりスッキリし始めたのを身体で感じた。
すると緊張が解けたせいか少しトイレに行きたくなってしまった。
ずっと気を張っていたのもあり忘れていたが水分補給をマメにやっていたので今頃になってそれを身体が思い出したのであろう。
少し恥ずかしかったが桜さんにお願いをした。
「あの・・・トイレ行きたくなってしまったのでその・・荷物見ていてもらっていいですか?」
そう自分がいうと桜さんは
「大丈夫だよ~しっかり見とくから行っておいでよ。あっでも時間がないからなるべく急ぐんだよ。あと場所わからなくならないように行く前に何が近くにあったか覚えておくとすぐ戻りやすいからね。」
当たり前のように引き受けてくれアドバイスまでくれた。
「ありがとうございます!じゃあ急いで行ってきます!」
「うん。気を付けていくんだよ~」
と優しく送り出してくれた。
そして桜さんに言われた通り近くに目印となる看板を確認してから急いでその場から近いトイレを目指し走った。
すぐに行って戻って来れるだろう。初めてだったのでそう思っていただけど・・甘かったやっぱこんなに人が居るんだからトイレが混むのは当たり前の事であった。
自分の考えの甘さを少し痛感してしまったが運が良かったのか10分程度ですぐに人が減っていきトイレを済ますことができた。
よかったとホッとしたがすぐに頭を切り替えて桜さんが荷物番をしている所に急いで戻ろうと走り出した。
その途中不思議な雰囲気をもった女性?とすれ違い気になりはしたが急いでた為チラッと見ただけで通りすぎた。
「あの小僧・・・・・まぁ気のせいであろう。」
その女性?が振り向いていたのに賭は気づいていなかった。
目印にしていた看板を見つけ荷物の場所にいくとすでに周りの人達が立ち始め移動する準備をし始めていた。
「あっ来た来た!こっちだよ~」
と桜さんが手招きをしていてくれてすぐに場所に戻ることができた。
桜さんも戻ってきたのを少し安心したのか安堵の表情が見てとれた。
「すみません。ずいぶん待たせてしまいました、自分の予想以上にトイレが混雑していました。」
「ううん大丈夫だよ!でも無事戻って来れてよかったね。もうすぐ列移動するってアナウンスしていたからさ、心配だったよ~」
「ありがとうございます。本当に助かりました。」
「大丈夫だよ!困ったときはお互い様だよ。それにコミケは助け合い大事!」
と笑顔で言ってくれてこの人は天使ではなかろうかと心の中で思ってしまうほどであった。
すると
「ただ今よりコミックマーケットを開催いたします!!!足元にお気を付けて順番にお進みください」とアナウンスが流れ周りで拍手が鳴り響いた、どうやらこれは恒例の合図みたいなものらしく桜さんと拍手を一緒にした。
「さて!いよいよだね!」
「はい!いよいよですね!」
互いに顔を見合わせた。
すると桜さんが思い出したかのように
「あっよかったら連絡先交換しておこうよ!ここであったのも縁だしさ!後でよかったらご飯も一緒食べようよ」と提案してくれた。
自分はすぐに頷き連絡先を交換した。
「これでOK!じゃあここからはバラバラになると思うからまた後で会おうね。」
「はい!また後で!お互い今日という日を楽しみましょうね!!!」
と会話をした後ドキドキする胸をつかみ前を見た。
夢にまでみたコミケどんなものなのか!どんな人達ともっと出会えるのか・・・
いよいよだ!さぁ!!楽しんでいこう!!!




