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二次元の力はこの手の中に!!!  作者: 神咲 勇気
第三章 激戦の最終日
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第37 急げ

「ぐ・・・」

連絡を終えて端末を閉じると、頭痛が走った

頭を軽く打ったようだ、箱の中を見回すと何名かが傷を負いながら倒れている

近寄って傷の具合など調べてみたが、命に別状はないくらいだがすぐに動けそうにない者が多数いた

箱の中を動ける回復術師が忙しなく回復作業を行っている、そして箱の中を解析している解析班もパソコンをカタカタ鳴らしながら急いで箱の解析をしている

「どう状況は??セーフくん」

天照がパソコンで作業しているメガネをかけたセーフという男に声をかける

すると男はため息をつきながらこちらに振り向いた

「お疲れ様です。天照様、状況と言われましても見ての通りエレベーター外を何者かに細工されて爆発により完全停止今システムの復旧に全力を尽くしていますが、時間がかかる事は確実ですね少なくともコミケ開始前には間に合うかと思われますが・・・その実は嫌なデータが地上から観測されているんです」

「嫌なデータ??」

「これです」

天照はノートパソコンに移されたデータを凝視する

するとそこには、ビッグサイトの大気データが映し出されていた

赤と黒のグラフが行ったり来たりを繰り返している

天照はグラフを見ながら首をかしげる

「このグラフが嫌なデータってどういう事かしら?私にはよくわからないんだけど」

アニメや漫画の事ならすぐにぱっとひらめけるのだが、どうも数字やらグラフ系は苦手である

そう言ってセーフの顔を見る

セーフはこれならどうだと言わんばかりにキーボードを軽快に叩き今度はビッグサイトの立体図を画面に映し出した

見てみると、画面上に映し出されたビッグサイトの下部分が先程の黒い色に塗りつぶされていてその上を赤い色がおおっているがじわじわと黒い色に浸食されているようだった。

なんだか胸がざわざわするような感覚に襲われる

自分はこの感じを前にもどこかで体験していると考えた、瞬間頭に電撃が走ったように思い至った

「これって・・・まさか闇?」

天照が感じたことを口に出すとセーフはこくりとうなずきパソコンを操作する

「これは天照様の言う通り闇です。今現在ビッグサイト周辺で闇が霧のようになって人々の足元に広がっています、しかもこの闇が厄介で人々の思考を根こそぎ奪って放心状態にしているようなんです。今はまだ何も起こっていませんが、あくまでおそらくですがこの闇に触れ続けているとどうやら人々から夢や希望と言ったものが破壊されやがて人々が争いを始める可能性があります。」

セーフは画面にでた解析データを入力し終えてメガネを軽くクイッとあげて天照を見る

天照はセーフから説明を受けてデータをまじまじと見た

データを見る限り霧となった闇はもう大分ビッグサイト中を覆い尽くしている

国際展示場駅はもちろん近くにある橋付近にも広がりを見せているようで、その広がりは現在も徐々に進行しているようだった


天照は額に汗をにじませながら先程連絡をした賭は大丈夫なのかと気になった

今も広がっているであろうこの闇は賭達には影響はないのだろうかと不安そうにしているのに気付いたのかセーフは画面を切り替えた

「天照様の血をもらったあの三人にはこの闇は神の守護により効果はありませんので安心してください」

とセーフがパソコンを打ちながら言うと天照はホッと胸を撫で下ろしたがセーフの言葉はそれで終わりではなかった

「ただ天照様あなたに教えられた三人なのですが、昨日のうちにマーカーをつけさせていただいたんですがその数値が今どうやら二人が戦闘中の様です」

そう言いながら画面に賭と桜のデータを表示する

桜にはマーカーをつけてもらう事を承諾してもらってずっと前につけていたが、賭くんや光ちゃんにはまだつけろとも何も言ってないはずだがと少し思ったが追及は後にする事にして画面をみる

すると、2人の能力が発動しているのが映し出されていた

光のデータは通常時のようなのでまだ変化がない、もしかしたらまだビッグサイトについてないのだろうか?それとも敵と遭遇してないのか?と少し考えたが考えるのをやめて賭と桜のデータをみる

2人のグラフの一部が異常に上がっているのが見られる、たぶん前に桜のデータを見せてもらった時と仕様が変更されていないのならこれが能力を発動しているときにあがる所だ。

そして、その下に表示されているのが体力・蓄積ダメージ・筋力パラメータなどなどである。

桜のデータを見るとどうやらまだダメージらしきものがないようにグラフから見てとれる

少し安心しながら賭のグラフを天照が見ようとするとセーフが額に汗を垂らしながら固まっている

どうしたのだろうと賭のグラフをみると天照も固まってしまった


夢見間賭

能力発動力 80パーセント

体力残り 70パーセント

蓄積ダメージ 45パーセント

筋力など総合力残り 60パーセント

と表示されていたのだ


蓄積ダメージが45パーセント!?あまりの数字の大きさに目を疑った

だがあり得ない事ではないのかもしれない

この二日間賭はずっとバトルを続けているので、身体内部のダメージなどは残っていても可笑しくないのだが、ある程度天照が回復させていたはずだ

それが今現在、45パーセントと表示されているという事は今賭は戦いをしている中で相当ダメージを受けているという事だ

相手は相当強いのだろう

しかし、誰と戦っているのだろう?天照は額に手を当てながら考えた

ネクタルは昨日自分達と戦い今日は出てこないと言っていた、それにネクタルの話ではジェノサイドは今神化をした賭くんにダメージを負わされて療養してるらしい

ならば今知っている奴は1人しかいない

「アヌビスか・・・」

歯をギリッとして唇を噛みしめる

天照は相手がアヌビスと予想した時点でこの霧の正体がわかった

セーフも天照が口に出した名前に反応しパソコンのキーボードを走らせてデータをだした

「データ照合3・2・1・でました。霧の正体判明「冥界の霧ダークミスト」に間違いありません。アヌビス様が昔使われたものです。数年前に冥界で起きた「血の惨劇」で使われたものです。」

「血の惨劇」それはアヌビスが冥界で起きした事件で、冥界に住む住民達を殺し合わせたとされているものだ。

その「血の惨劇」で使われた「冥界の霧ダークミスト」がビッグサイトに広がっている

先ほどセーフが言ったおそらくと予想したのは大当たりでこのままでは人々が殺し合いをするのも時間の問題という事だ。

「賭くんはアヌビスにそのことを聞かされて人々をもしかしたら守りながら戦っているのか!?だから蓄積ダメージがあんなにひどい事になっているのかい!?どうなんだい!!!」

「落ち着いてください!!!!」

天照が取り乱すのを見てセーフは一喝いれた

ハッとなり天照は我に返る

それを見てセーフは襟を正してパソコンを急いでいじり始めて喋り始めた

「戦っている位置情報からして、桜さんはビッグサイト近くの異空間で戦っているようです。これも敵の妨害行為の一つでしょう、問題の賭くんはビッグサイトをあちらこちら移動しながら戦っているようですねだから体力も減っているのでしょう、加えて能力もつかっているようなのでダメージが身体に出ているだけという可能性もあります。なので落ち着いてください、今は一刻も早くこのエレベーターを直してビッグサイトに降りてあの霧を止めなくてはいけないのですから。」

そう言い天照を落ち着かせる

すると天照はセーフの言葉に諭されて落ち着きをとりもどす

「そうよね・・今私が焦っても何もできないわよね。ごめん」

そういいセーフに謝るとセーフは首をふる

「いいってことですよ、血を与えてしまった事であなたは責任を感じているはずですから焦る気持ちはわかりますから・・・さてと!!!そいじゃ急ぎますか」

そういいセーフは下で唇をペロリと舐めてそして叫んだ

「かいせきは~~~~~ん!!!!ロッケトデルタE5モードに移行!!!死ぬ気で動け!!!死ぬ気で働け!!!俺らはこれしかできないんだからな!!!そして一秒でも早く天照様をビッグサイトに届けるんだ!!!いいな!!!」

というとおおおおお!!!という声と共にセーフの仲間たちが1人三つずつキーボードを取り出し構えエレベーターにコードを接続し超高速タイピングを始めた

セーフはゴーグルをつけて画面と向き合いキーボードを6つ取り出して他の誰よりも早く打ち始めた

「この技疲れるんであまり使えないんですがね、事情が事情なだけに四の五の言ってられないんでね、だからここからは俺たちの勝負なんで天照様は地上に降りた時の為にしっかり傷を癒していてください」

画面をみながらセーフが言うのを聞き天照は涙をぬぐいコクリとうなずき


「わかった!お前たちを信じる!だから頑張って直してくれ!!!」

大きな声で言うとセーフも合わせて「イエッサーマム!!!」と返事を返した


セーフから離れ回復術師たちが用意してくれたベットで横になり傷を癒しはじめながら願った

私が行くまで無事でいてくれ!そう願いながら目を閉じたのだった


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