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二次元の力はこの手の中に!!!  作者: 神咲 勇気
第二章 二日目の激動
33/96

第32 それぞれの夜

携帯を見ると時刻は21時を過ぎていた

優と話してすぐにヴィーナスフォートを出たというのにもうこんな時間かと思いながら携帯をズボンのポケットにしまう

節約の為に池袋から歩いて家に向かう

いや・・・節約の為と思っているのも事実だが、反面やはり考えたい事もあって歩くことにしたんだとなんとなく自分でわかっている

朝来た道を歩きながら行き交う人を避けながら帰り道を進む

その道を見ながら朝から起こった出来事を思い出す


コミケに向かいながら歩き、駅で初めて会った光ちゃんとバトルをした、まさか女の子だなんて思いもしなかったが本人は女だと思われていたら戦ってくれなかったと思って隠していた。


光ちゃんの言う通りで、もしかしたら戦わなかったかもなと一瞬考えたが、あの戦いがなかったら今日は少し危なかったなとも思う

ん?とは言え桜さんと神子さんには少し反省してもらった方がいいのか?いくら少し気を引き締める訓練だとしても一歩間違えたら危なかったが・・・よしいつか仕返しをしようと心で誓う


でそのあとは、まさかの出会いで神酒 夢さんと知り合った

お互いにアニメや漫画で意気投合して楽しい会話をしていたが、まさかあれがネクタルだなんて誰が思うだろうか、むしろ昨日の今日で見分けられたらそれもそれで凄いがな

まぁネクタルは、何かしら理由があって僕に近づいてきたわけだけどまさかその話の中にネクタル攻略のヒントがあったのも驚きだ

でも、自分も意固地になって不利になるかもしれないキャラを選んだのは反省すべきではあるだろうが、あの場合はしかたなかったと自分に言い聞かせる


「はぁ~」


自分を甘やかすのも困ったもんだなと空を見ると、少しだが綺麗な星が見える

はっきり言うと生まれた出身地の沖縄に比べるととても綺麗とは言えないが、それを見るだけで今日の疲れを少し忘れることが出来る

でもまぁ・・ほんとならベランダのベンチに座って星を見ながら冷やしたリンゴ酢を飲めたらいいんだけどなと沖縄の空とやっぱり比べてしまう

少しクスッと笑ってしまった

結構大変な事に巻き込まれているのにこんなくだらない事考えて笑えるなんて、きっとなんやかんやでこの状況楽しんでるんだろうなそう思った

誰もいない路地に入り手を空に掲げる、手の隙間からは掴めそうで掴めない星たちが見える


「僕らの世界はまだ無事なんだな・・・」


何故か頭をよぎったのは、燃える街の中剣で人々を殺していく男の姿・・・

あいつが誰なのかはわからない、だけどあの男は優の世界を消し去ってしまった敵なのかもしれない

あの男にやめろ!と言おうとしたが言えなかった

開いていた手をグッと握りしめる

優がパラレルワールドの住人だったことにも驚いたが、ついさっき見た夢のようなものが繋がるとも思ってもいなかった


あいつは僕に「次はお前がこうなる」そうはっきり言った


なら僕らのこの世界にもあいつが来る可能性がある・・

ジェノサイド達だけでも大変なのに、あんなのが来たらたまったもんじゃない

手をおろしポケットに入れていたカードを出す


「この神子さんからもらった力であいつらを絶対倒す!そして二次元もこの世界も守ってやる!」


そう言いカードを見つめると、カードもそれに応えてくれるかのように光った気がした

一枚のカードを除いて・・・







「はああああああ!!!!疲れた~~~~~!!!」


そう言ってベットに倒れこむ桜

女の子らしい部屋で疲れを癒すためにいつも流すオルゴールのCDを流す、倒れこんだおかげでクマのぬいぐるみなどがその反動で飛び上がり桜にかぶさる

それを強く抱きしめてゴロゴロと転がる

はぁというため息がこぼれる

疲れている・・それもあるが自分でもわかっているが、これは疲れたとかのため息ではなく賭に恥ずかしい所を見られたなという今更になって思ったため息である

昨日あったばかりの男の子に、守られてばかり助けられてばっかりなので正直言うととてつもなく恥ずかしい

しかも、自分が解けなかった結界を解いて自分たちの仲裁に入ってネクタルも倒すなんて・・

クマのぬいぐるみをポーンと横に投げる

クマは無造作に転がったそれを横目で見ながら考える


天照様と今まで賭より先に心見などと戦っていたはずなのに、自分と同じ天照様によって偶然もたらされた血によって能力を得た男の子がわずか二日しかたっていないのにあの活躍ぶりだ、正直自分は役立たずじゃないのかとさえ思えてくる


でも・・・「賭くん・・・かっこいいな・・・」


ぼそりとつぶやいた瞬間顔が急に熱くなった

この感情がなんなのかはわからないだけれど

あんなに自分の好きな物を守るために戦えるなんて、なんかとても輝いて見えてしかたがなかった

枕をつかみボスボスと音を立てながら叩く


「今度は私が役に立てるようにがんばらなくちゃ!!」

そう言いながら枕を叩き続けた






~~~~~♪

鼻歌を交えながら光はお風呂から上がりベットに座り込む

横に置いておいたスケッチブックを見返す

今日バトル中に描いた武器たちだ

一枚一枚ゆっくりめくりながら考える


「ん~~~~まだまだだなぁ~自分もうちょっとこうしてこうすれば!!うん!よくなった!これが戦ってる時にでもしっかりできるようになれば私も役に立てる・・・よね」


そういいベットに寝転がる

スケッチブックを上に掲げる

今日は自分の描いた武器は多少なりに通用していた

だけど、それがずっと通じるかもわからないそう言う不安が押し寄せてくる

絵を描いているときと一緒で、自分が良くても他人にはよく思われていないかもしれない

そんな感じに似た気持ちが出てくるのを感じた

今まで沢山の武器など描いてきた、同人誌とかも沢山売れて大成功を収めていると言っても言いかもしれない

それでも、やっぱりもっと良くなるんじゃないかと思えてくる

今日のバトルを思い出してもまだまだ戦略を変える武器が必要だと感じた

ガバっとベットから起き上がり机に向かう


「もっといろんな武器を考えておかなくちゃ」

そう言いペンを走らせるのであった





白い部屋の一室

カッチコッチカッチコッチと時計が鳴り響く

その中で必死に書類を読む天照

横には山のように書類が積み重なっていた

それにどんどんハンコを押したりサインをしたりしている

天照は高速でそれをどんどん片づけるが黒服天使によって書類がどんどん追加されペンをプルプル震えさせた

そしてついに・・・



「いいかげんにしろおおおおおおおお!!!!」



バンッと机を叩く

周りにいた黒服天使達はついにきたかという顔をしながら目線をそらす

それを見た天照は更に怒る


「なんなんだよ!!!この書類の山は!!!昨日もコミケ行くために片づけたのに今日もなんて!理不尽すぎるぞ!!!労働基準法違反だ!!!もう!!!いやだ~~~」


とバンバンと机を叩きながら駄々をこね始めた

天使達は苦笑いをしてしまう

その一人が言葉を発した


「でも・・・天照様この書類は人界で戦ったあなたがたの書類でもあるんですよ・・・隠すの大変なんですから・・それに明日もいくんですよね?コミケ・・ならあと少しなんですから頑張ってください」

そう言い持っていた残りの書類を置く


うっと天照はうなりゆっくり席に着くと周りの天使たちは他の仕事に戻った

天照は机の横に置いてある新選組の本をチラッと見た

それはネクタルと読んだ懐かしい本

まさかネクタルに記憶を操作されて忘れさせられたとはいえ、敵として戦う事になるなんて思いもしなかったので困惑した

だけど、それをまた賭くんに助けられた・・そう思いながら今日の被害などの書類をみる

もしあの子が居なかったらこれ以上の被害が出ていたかもしれない

そう思いながらハンコを押した

偶然とはいえ、賭くんに自分の血が入りこの戦いに巻き込んだことは少しは負い目がある

でも、なぜだろうか


昨日初めて会ったはずなのに賭くんとすれ違ったあの時何か懐かしく感じた

あれは一体なんだったのだろうか


それも気になったが、あの深い闇を纏ったジェノサイド、あいつも何者なのだろうか

ルシュファーの身体を乗っ取りこの世界を危険にさらしている

ジェノサイド・・・

なぜかあれにも見覚えがある気がするが思い出せない・・・

だけどわかっている

絶対倒さなきゃいけないという事だけ


そう考えながら最後の書類を片づける

時間を見ると午前0時を回っていた

椅子から立ち上がり伸びをする


「ん~~明日は最後の日だし・・なんもないといいんだけど・・・まぁ寝なきゃよね・・シャワーは朝でいいか・・・」

そういいベットに横になった


「あした・・もかけるくん・・・と・・・・・」

そういい眠りに落ちたのだった









カツンカツン・・・カツンカツン・・・・



「よぉ!随分暴れたそうだな・・・」


そういい壁にもたれかかりながら男はニヤリと笑いながら自分を見る


「なんや・・・あんさんかえ?別に・・ただやりたかだけや文句あらへんやろ?」


そういいながら通り過ぎようとすると

「同人誌とやらは・・・上手くいったのかよ・・・」

頬を掻きながらそう聞いてきたので笑ってしまった


「あはっあんさんがまさか気にするなんてね、上手くいきましたよ金もたんまりだから給料も入ったらどこかいきますか?」

振り返ってというと相手は顔をそむけた


「けっ二次元を利用した金でなんていけるかよ」


「そうですか・・お金は悪いものではないはずなんですがね・・ほな疲れたんであては休みますよ」


そう言い歩るきだすと男はつぶやく


「明日は俺が出る・・・・邪魔はするなよ・・・」


そう言いネクタルに背を向け歩き出した


「ん~今の賭はんでは・・ちょっと荷が重いかもしれまへんが・・・ジェノサイドはんが出ないだけましかもですがね」


そう言うとジェノサイドが入る緑色の液体が入ったポットに触れる

コポコポいう音が鳴り響く

まだあの子に思い出させるのはまずい・・・

だから・・・


「頼みますよ・・・・」


そういいカプセルから離れた









「はい・・はい・・・大丈夫です・・・今の賭なら・・・たぶんまだあの覚醒まではいかないかと思います。今日聞いた限りでは・・はいでわ」


そういい携帯をきる

ふぅと優はため息をつきながら空を見上げる


「さて・・計算通りにいくといいんだけどね・・・」


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