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二次元の力はこの手の中に!!!  作者: 神咲 勇気
第二章 二日目の激動
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第29 夏に舞う桜

一歩・・・また一歩

ゆっくりゆっくりすり足気味に距離を取りながらネクタルとの間合いを確認しながら進む

ネクタルもそれに合わせ距離を取り歩く


互いに息をのみながら相手の隙をうかがう

目での攻防戦、手、腕、足、胴体、そのわずかの動きも見逃さず相手がピクッと反応しただけで互いに反応する

少しでも隙を見せた瞬間、一瞬で間合いを詰められ攻撃される

先ほどとは変わり一方的な攻撃ではなく、今度は賭もネクタルに攻撃を与えられる可能性がある

沖田の新しい技・・・この攻撃が通じればネクタルに他の技も通じることは間違いない

だからこそ・・・この最初の攻撃は肝心なのだ

それをネクタルもわかっているからこそ距離を保っているのだろう


しかし、この緊張状態も長くは続く訳にもいかない、集中が切れれば想像力も同時に切れてしまうのだから

その時こそ沖田の能力は解け文字通り敗北

ネクタルに思いも届かず、神子さんの願いも叶えられない・・・もちろん自分の願いも・・・

そう思いながらゆっくりと息を吐く

すると、一瞬ネクタルの身体が何かを避けるようにほんの少しだが傾く

その瞬間を見逃すこともなく息を思いっきり吸い込み

前へ足を踏み出した

ほんの数秒だがネクタルも前へ踏み出した


風を斬りながらお互いに一瞬で間合いを詰めお互いの剣と刀がぶつかり合う

キチキチという音を立てながら顔を見合わせながら武器がまじわる

互いの顔にはやはり笑みがこぼれていた


「あせりましたわ、さっきの一瞬で消える技を出されるかと思うとったのに真正面から突っ込んでくるなんて馬鹿正直なんかなぁ?」


「それはお互い様じゃないですか?僕が新しい技出すかもしれないのに真正面から突っ込んでくるんですから」


「確かにそうですなぁ、だけどまだ知らない技を真正面から打ち破ってみたいやないですか」


「あなたのそういう所好きですよ」


「ほんま??おおきになわたしも夢見間くんのことは好きやよ」


「そうですかっ!!!」


わずか数秒だが互いに言葉を交わしネクタルの剣を弾き返す

ネクタルが後ろにのけ反りそれと同時に技をくり出す


「白刀氷結三日月斬り!!!(はくとうひょうけつみかづきぎり)」


白刀を片手でつかみ横に回転し切り込むすると同時に冷気が出る

その一瞬の出来事にネクタルも反応し避ける

わずかだがネクタルの服にかすり切れたところが凍ってくだけた

「ちっ」思わず舌打ちを賭はしてしまった

それを見たネクタルは唇をペロッと舐めて「お返しや」とつぶやいて賭の横に切り込む

すると賭の刀とは違い剣は炎を纏っていた


「酒流炎一文字斬り!!!(しゅりゅうえんいちもんじぎり)」


炎を纏うその攻撃を賭は額のわずか10センチで避ける

チリッと熱気が額に感じたがあれをくらうだけで間違いなく致命傷

避けれたことをホッとしつつも次の技の態勢にはいる


バチッという音を鳴らしながら光る刀、反対の手に持っていた黒刀だ

避けた体制から下から思いっきり振り上げる


黒刀雷撃一閃こくとうらいげきいっせん


黒刀が雷を纏いながら下段から迫ってくる

その速さは光の速さ、いや雷を纏ってるので電磁砲レールガンに近いだろう

それほど速いのにこれにもネクタルは反応し避ける

少し無理な体制から撃ったせいもあり数秒だが隙が出来る

アニメでもこれの隙ができるのが難点だと沖田は言っていたがあの体制から打てると一瞬で思えたのがこの技だった

ダメージを与えることができればスタンガンのように相手を痺れさせる事が出来るはずだったのだが、さすがのネクタルは技を知らなくても危険とすぐに反応したのだ

もちろん自分にできたこの一瞬の隙をネクタルが見逃すはずがない


二イッと不敵に笑い足を思いっきり振り上げる

「甘かったなぁ」と言いその足を思いっきり振り下ろす

かかと落としだ

頭では避けなきゃと分かっているが間に合わない

ドスンという音と共に賭に技が放たれメキメキという衝撃音と共に地面が割れる

ネクタルはそれに巻き込まれないように飛び上がり離れる


「賭くん!!!!」天照が叫ぶ


サポートといっても賭自身を守ってやることが出来ないので見ていることしか出来ない天照は賭が攻撃をくらったのを見て取り乱す

すると「おっ落ち着いてください・・神子さん・・・」とネクタルの割れた地面から賭の声がした

その声にひゅ~とネクタルは口笛を鳴らす

そう、賭は避けることは出来なかったが受けることはわずかに間に合ったのだ

もちろん手で受け止めることができるわけない

あの一瞬で白刀をネクタルが振り下ろす足に持ってくることがギリギリで間に合い、持ち手でネクタルの攻撃から身を守ったのだ


すぐに出てこなかったのは衝撃波で多少なりにダメージをくらい一瞬だが動けなくなっただけだった

割れた地面から這い出しふぅと息を吐き、パンパンと服のホコリを払い立ち上がる

そしてネクタルを見る

するとネクタルは頭を掻きながら笑う


「あはぁ~手ごたえがなかったからもしやと思ったけど防げたんやねぇすごいわぁ」

そう言うと賭はため息をついた


「嘘をつかないでくださいネクタル、あなたワザと少し手を抜きましたよね?衝撃波だけで地面が割れているのに刀が折れないなんてあるわけないでしょ」

と賭が指摘するとネクタルはなんのことやらという顔をしながら目線をそらす


賭はなぜ手を抜いたのかは何となくわかる

自分が思い当たる理由は一つ・・・もっと新しい技が見たいからだろう

ここで終わらすことは簡単だっただろうが、ネクタルもやっぱり新選組が好きなだけあってまだ見ていない他の技が気になってしかたがないのだ

アニメが見れてないから放たれる技を見てアニメを見てる感覚になりたいのだろう

だから終わらせられたかもしれないのにわざとあの一瞬手を抜いたのだ

本気、本気言いながら手を抜かれたりするので手の上で遊ばれてる感じが否めない

そう思いながらも心を落ち着かせ、呼吸を整えるためもう一度息を吐き思いっきり息を吸う

自分が知ってる沖田の技ももう残り少ない、そして体力もきっとそれをやれば限界だろう

ここが最後のチャンスだと思えた

ネクタルをまっすぐ見て言い放つ


「今倒さなかった事後悔させますからね」


言い放ち刀を鞘に納め手を前に構える

それを見てネクタルは顔色を変える

賭から闘気やら殺気が刀を収めた瞬間消えたのだ

なにかあるそう感じたネクタルは剣を構えるすると賭が目の前から消えた

「なんや・・・さっきと同じ技かいな」とつぶやき周りを警戒するが音や気配も感じない

先ほどはわずかでも感じたが今度は全く感じることができない

息を整えようと息を吐こうとした瞬間

賭が懐に現れた


「なっ!!?」

ネクタルがそう声を出したときには遅かった

賭はネクタルの胸に手を突きだし技を放つ


無刀駿動八卦掌むとうしゅんどうはっけしょう


ドンっと言う音と共にネクタルに衝撃波がぶつかる

その瞬間ネクタルの時が止まる


「{なんや・・・体がうごかへんあかん!!動け動け動け!!}」脳ではそう言っているのにまったく動かない体

賭が目の前でゆっくりと喋り始める


「無刀駿動八卦掌は沖田が刀をもし失った時にどう戦うかって考えてる時に一くんと考えた技です。一瞬で姿気配を消す、駿動しゅんどうと中国から来た八卦掌って技を掛け合わせたものだそうです。」


動けないネクタルを見ながら説明をする賭

ネクタルは文字通り手も足もでない状態に陥っていた

賭はネクタルから距離を取りながら喋る


「衝撃波によって心臓を止めるとまではいきませんが、脳をビックリさせ身体を痺れさせる事で自由を奪うこの技はあくまで刀を拾う時間稼ぎのような技ですが、油断している相手には効果的なようでアニメでも多々使われてますよ、大技をくらわせるために・・・ねっ」


そう言うとネクタルの方に向き直り白刀と黒刀を鞘から抜き構える

大きく息を吸い、息を吐いたアニメの沖田がやっていた行動を思い出してなぞるように構える

右足を前に構え、右手の白刀を前に出し冷気を放出をするとたちまち周りに冷気が広がりネクタルの周りを凍らせていく

次に左手に持つ黒刀から電気が流れ始めるパリパリ音を立てながらどんどん電圧があがっていくように光が強くなっていく

準備は整った・・・これが今自分に思い出せる中での沖田が使う技、一くんとアニメの中で考案していた最大の技への前準備


すると、うめき声に似た声をあげながらネクタルがゆっくりとだが動き出す


「ま・・まだや!!もっと戦って・・みたい・・・戦って・・・そして・・・あの子を・・・」


無理やり動いているからかネクタルは顔を歪めながらも痛みに耐え動いている

凄い執念だ・・そこまでしてでも自分が好きになれないものを否定したいのだろう、そして自分が正しいと思う方向に戻したいのだ・・

それだけ、この人にも思いがあるのだ

自分たちがやることも本当はおせっかいに近い傲慢な事かもしれない

だけどまた一緒に笑って二次元の話をするためにはここで負けるためにはいかない

世界の為にも・・神子さんの為にも・・・そして・・・自分の為に・・・


「終わりです・・・」


そう言い刀をしっかり構えネクタルに向かって走り出す

そして白刀を地面につけ氷を削る

パリパリいいながら氷を宙に巻き上げる徐々に自分の周りとネクタルの周りには氷の粒が綺麗に巻う

ネクタルまであと少しと言う所で飛び上がる

ネクタルは目線でそれを追いながら剣を構え防御しようとするが持つのがやっとである


それを見ながら賭は黒刀を空に掲げ下に振り下ろす

すると周りに電撃でできた柱のようなものができる、それはまるで木々のような形

そして、白刀と黒刀を重ね合わせるすると二つの刀が光を放ち一振りの刀に変わった

その刀の色はとても綺麗な桜色


ネクタルはその刀を見てさっきまで抵抗していたのにそれをやめ刀を見つめていた


「あぁ・・そういう・・・技かいな・・・まったく・・完敗や・・」


そう言いながら今度は賭に目を向ける

「ほんま・・まっすぐな目して・・・強いなぁ・・・」

遠くて賭には聞こえないがぼそっとつぶやいた


空中を蹴り加速して賭が降りてくる

届いてほしいと願いながら放つ沖田最大の技


「氷雷一刀桜花繚乱切り!!!(ひょうらいいっとうおうかりょうらん)」


周りに浮いている氷の粒が綺麗にくだけながらまるで桜のように舞いながら落ちてくる

斬られたネクタルは綺麗に空中に舞い上がる


「あぁ・・なんや・・夏に咲く氷の桜なんて・・・まったく凄いわざやな・・・・」


そういい地面にどしゃっという音と共に落ちてきた


カチリと刀を鞘に納めネクタルを見る

ネクタルはとても清々しい気持ちよさそうな顔をして倒れているのを確認すると、急に力が抜けるのを感じると沖田の姿が解ける、どうやら限界の様だ

はぁと息を吐いて目を閉じて前に倒れこんだ

すると地面にぶつかるはずがやわらかいものにぶつかる

目を開けて見ると胸だった

上に目線を向けるとそれは神子さんだった


「ほんと・・君は・・・ほんとに・・・こんなにボロボロになるまでありがとう・・」


泣きながらお礼を言う

その手は周りに被害が及ばないよう頑張ってくれたのだろう神子さんの手も凍傷のようになっているのが見えた


「こちらこそ・・・みんなを守ってくれてありがとうございます」


手を掴みながらお礼を言うと神子は我慢していたのだろう今度は大泣きしながら賭を抱きしめた





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