第26 苦戦
乱戦より一対一の勝負、賭は沖田の力をダウンロードする瞬間から思っていた。
本当ならその役目は神子さんがやるべきことだろう、だけれど今の力を出し感情的になり過ぎている神子さんではどうしてもそれは上手くいかないだろう。
人間・・いやあの2人は神様とお酒が神になった存在だが、人間だったら自分達が好きなジャンルで争う事になった時必ずお互いに譲り合う事はまずない、むしろお互いの好きな物を推しをその人に押し付けようとする。
今、神子さんとネクタルがなっている状態は当たらずとも遠からずそれだろう。
ずいぶん人間に近い2人だなと思う、でもだからこそBLというジャンルでもこうやって言い争って仲がこじれて世界をコミケを巻き込んだ戦いになってるのかもしれない。
ある意味それは羨ましくも感じる。
別に争う事が羨ましいというわけではない。
むしろ、争わないでくれた方が僕らとしてはそれが嬉しい、自分が羨ましいと思ったのはこうやって言い合える人が居たという事だ。
少なくとも、自分は他人を否定するのが好きではない
自分の親は何故か、二次元のアニメなどをあまり触れさせようとしなかった。
だから、小さい頃いつも相手の気をうかがってうなずいてばかりだった気がする
だけど、年を重ねるごとに少しずつだが自分の言いたいことが言えるようになったし、今では親も諦めて今では許してくれるようになったのだが、すでに遅くそんな論争をする相手は周りにはいないだから少しだけど羨ましく感じる。
だから、どうしても仲直りとまではいかないかもしれないだが、もしかしたらの勘でこの戦いの元になったかもしれない「沖田颯太」を選んだ
神子さんが、笑ってまたネクタルと話せるようにそして、自分もまた一緒にアニメの話ができるように・・・
踏み込んだ脚で地面を蹴る、地面はバッキっという音を立てながらヒビがはいった
二刀の刀を持ちながらネクタルへと突っ込んでいく
同じくネクタルも剣を持ち賭へと突っ込んでくる
突っ込んでくるならこちらとしては好都合といえる
距離が更に近づく
二人が刃を交えるまであと少し
ネクタルの行動を見るが技を出す様子もない
ここだ!!刀が届く範囲まで近づいたところで賭が動く
「特攻瞬刀連武」
声は出さないが突進の威力に任せながら6連撃の斬り込みに入ろうとした瞬間
「させへんよ」
初撃を放とうとした所をすぐに防がれ蹴りをいれられ後ろに蹴り飛ばされる
「がはっ」
地面を何回か跳ねたりして転がり、体制を立て直しながら綺麗に着地する。
口からは血が出ていた
その姿をみながらネクタルはニヤニヤとしている
血を手でグイッと拭い取って構え直すとネクタルが、突っ込んできた
それを見て構えを変え、刀を二本とも鞘に納め仁王立ちをする
そして、ネクタルが攻撃範囲まで入る
今度こそと意気込み沖田の抜刀技「神桜抜刀」という相手から吸ったエネルギーを使って放つ神速の技をくり出そうとした瞬間
「残念でした」
ネクタルの声と共に抜こうとした刀をネクタルの剣により押さえつけられてしまったのだ
「なっ!!?」
またネクタルはニヤニヤしながら言う
「残念賞の君には蹴りをプレゼント!!!」
ネクタルが上へジャンプし一瞬で後方に周り回し蹴りをする
ミシッと言う音が身体中に走るのを感じながらまたもや吹き飛ばされ今度は瓦礫にぶつかって止まった
痛みのせいで一瞬意識を飛ばしかけたがなんとか耐えて前をみるとネクタルがゆっくりと歩いてくる
一歩、また一歩とゆっくりと進んで賭に近づいてくる
油断をしてるのかおちょくってるのかはわからないだけど、動けないふりをして目の前に着た瞬間にと待ち構えてると攻撃できる範囲あと一歩と言う所でネクタルが止まる
自分を見ながら、ニンマリと笑った
「今度は、土流神刀でも使うつもりかな?」
賭は出そうとしていた技を言われピクッと反応してしまう
それを見たネクタルはクスクスと笑いながら
「最初の技は、特攻瞬刀連武やね確かそうそう、6連撃の斬り込みを入れる技だったかな、そして二回目の技は神桜抜刀かな・・・技の出すタイミングやらなんやらわかりやすいわ、今放とうとした土流神刀それは相手が油断して近づいてきたところを地面に擬態させた黒刀で地面から不意打ちを与える技」
出そうとした技名もどういう攻撃をしようとしてこようとしたかもゆっくりと説明された
「まさか・・・」
賭が驚いているとネクタルは賭を覗きこみながら
「まさか・・・全部の技を覚えてるのか?って言いたげやね、その通り君が今思った通り大正解だよ沖田の技はどの技がどのタイミングで出されるかどの話でその技が出されたかもしっかりと暗記しとるんよ。だから、すべて簡単に防ぐことが出来るという訳やつまり君は選ぶ力を間違えたという訳やね」
そういい目線をそらし天照のいる方を見る
「当時あの子がなぁこう言ったんや「私が話を書いて、あんたが絵を描きなさい!!そのために何回もアニメを見直しなさい」っていうてなぁもうそれは何時間もかけて何回も見たからセリフまで暗記したんやよだから・・・」
「だから、すべての技を放とうとした瞬間・・・いやもっと前からどの技が来るかもわかっていたと・・」
そう賭がいうとネクタルは目線を戻し目の前で拍手する
「さすがやねぇ理解がはようて助かるわぁだからな、あんさんその沖田の能力使うのやめなはれ」
するどい目つきで言い放つ
「あては、沖田の能力も今賭はんが使っている能力の正体も実は言うと知っているすべてにおいて不利なんや、そんな状態で真剣勝負もなにもあらへんむしろイジメをしてるみたいで気が引けるん、だから・・な違う能力もつ力宿してたたこうてくれへんかな?」
今度は諭すように優しく問いかけられた
言われたことを考えうつむいてしまう、ネクタルは自分が宿したメーカーつまり能力がなんなのか何故か知っている、先ほどマーリンが言っていた天界にもしかしたらいるネクタル達との内通者から聞いたのか、それともどこかでこの能力を見た事があるのか、可能性としてはやはり内通者の疑いだろうと思うがどちらにしても後回しだ
今この状況をどうするかを考えなくてはならないのだ、能力を変えるか・変えないか
うつむいてるとネクタルが指を出し
「そないな難しい事ゆうてへんはずなんやけどなぁ・・・なら五秒あげる、その五秒で答えを聞かせてなほな、ひと~つ、ふた~つ」
数を数え始めた
五秒なんて一瞬だが、賭にとってはとても長く感じた
そして冷静に深呼吸をして息を整える
そうしてる間にネクタルが「いつつ」と言う
賭は顔をあげネクタルを見る
「答え・・・聞かせてもろうてもええかな??」
ネクタルは少し悲しそうな顔をしながら問いかける
「ネクタル・・・・答えは・・・・・能力は変えない・・沖田の・・この力を信じてあなたと戦います。だって・・・」
賭は少し息を吸ってネクタルの目を見て言う
「あなたは沖田の能力そしてその技がどこでどう出たのかって覚えてくれている・・それはあなたが神子さんと一緒で新選組が好きだから、アニメが好きだから覚えてくれてるって事の証拠だから・・・だから僕は変えない!この力であなたに勝ってみせます!」
まっすぐ曇りもない目でネクタルに宣言する
ネクタルはきっと自分の目を顔を見て今から言うであろう言葉を察していただろう、だから悲しい顔をしていたのだとなんとなくわかった
ネクタルは空を見上げながら言う
「はぁ・・・ほんになんなんやろなぁ・・不利だから変われって言ってるのに・・・バカなんやろうか・・この人間は・・・」
空を見上げるネクタルの顔には少し涙がこぼれていた
「本当に変える気はあらへんのやな?」
そう上を見ながらネクタルは問いかける
「変えない!どんなに言われてもこの力であなたに勝ってみせます」
力強く言い放つとネクタルは目線を空から賭に見直す
「ならわてはもういう事はあらへん・・・あんさんがたとえ負けたときの言い訳にしようとしてるわけではないことがわかるさかい、ここからはもう一切手加減なしでいきます」
そう言うとくるっと回って賭から距離をとる
「あれで手加減していたんですね・・・真剣に戦うって言っていたのに・・・」
賭も擬態していた黒刀を元に戻し鞘に納めて白刀だけを持ち構える
「ここからやよ・・・ここからが本当に本番や、もう心おきなく戦えるからなぁ覚悟しぃあても、覚えてる限りの知識を使ってあんさんの技全部防いで勝つから・・後悔して泣いてもしらんからね」
背を向けたまま歩き数歩離れたところでこちらに向きなおした
その瞬間にネクタルは凄い殺気を放つ
先程とは違う気迫に空気がピリピリしてるのがわかる
ネクタルの周りに小さな竜巻のようなものが起こり葉っぱを巻き上げていた
賭は、白刀をしっかりと握りしめる先程の気迫に負けることなくネクタルを見続ける
すると、目の前からネクタルが一瞬で消えた
!?辺りを見回すがネクタルの姿はない
先程のネクタルの威圧感もなくなり周りに静けさが訪れる
どこだ・・・どこに行ったと焦りながら見回すが影さえない
もしやと思い上を見上げてもそこにはネクタルはいなかった・・・が
「残念・・したや」
声がしたかと思うと地面から手が現れ足を掴まれ、そのまま引きずられていく
「うわっ!!がはっ!!」
引きずられながら手で防御しようとするが凄い速さで引きずられる
「くそっ!!!!このっ!!」
かろうじて少し動ける状態に一瞬なった時を狙って地面に白刀を刺すがネクタルに届きもせず、勢いも少ししか止められず更に引きずられた
少しずつ着々とダメージを与えられていく
何とかしなくては・・・・そう考えながらいると賭はあることに気づく
あの時話した言葉が嘘ではないなら・・・
神酒さんとして話していた言葉に嘘偽りがなかったのなら・・・
これはもう一種の賭けに近いだが、自分の考えが間違ってなければ・・・
そう思いながら白刀を握りしめタイミングを見計らい先程と同じように少し動かせる状態になるのを待った
「なんもできんのかいな!!!なんや威勢だけよろしかったんやな~このままひきずり倒したる!!」
と地面の中から声が聞こえてきた
罵声を浴びらせても耐えて機会を待ちそして一瞬だがその時が来た
「今だ!!!!!」
そうしてまた地面に白刀を刺すのであった。




